孫武
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孫子の子孫
上記の『新唐書』「宰相世系三下」によると孫一門は、田完から五世の子孫である孫武の祖父が軍功あって孫姓を賜ったことに遡る。
それによると、孫武につき「(孫)憑は武を生む。(武の)字は長卿。田・鮑四族の謀、乱を為すを以て,呉に奔り,将軍となる。三子あり、馳、明、敵なり」とし、孫武には孫馳・孫明・孫敵という三人の息子がいたと記述する。次男の孫明は呉の富春郡を賜り、後の富春孫氏の祖となったと伝わる。富春孫氏はまた富春龍門孫氏と称され、『四庫全書』によれば三国時代の孫堅、孫策、孫権父子はこの家系とされる。
一方で『三国志』の著者陳寿は「孫堅は孫子の子孫だといわれる」と曖昧に記し、さらに南朝の宋代の『異苑』は、孫堅の父は「瓜売り」の孫鍾なる人物であったとする。同時期の『幽明録』(現在は散逸)や、東晋の裴啓の『裴子語林』にも孫鍾の名が記されているなど反証も多く、孫堅が実際に孫武の子孫かどうかは疑問が多い。
現在の浙江省杭州市富陽区南部のある村では、住人の9割が「孫氏」を名乗り、富春孫氏の末裔を称する。村に伝わる族譜によると、客家の孫文もまた富春孫氏に連なるという。中国政府の調査によると、この族譜は清代のものである[8]。
孫武を題材にした作品
- 小説
- 初出時は『小説孫子』。戦後の孫子ブームの頃、毎日新聞から依頼され海音寺が書いたものである。作者によれば、史記・孫子呉起列伝は簡潔すぎて書きようがなく、兵法書・孫子から類推して人物造形を行ったという。この本の創作が史実のように引用されることもあるため注意を要する。
- 鄭飛石、李銀沢訳 『孫子の兵法(上・下)』 光文社、1986年。
- 漫画
参考文献
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- 天野鎮雄訳著『孫子 呉子 新釈漢文大系36』明治書院、1972年
- 新版『孫子 呉子 新書漢文大系3』 三浦吉明編、明治書院、2002年
- 山井湧訳著『孫子・呉子 全釈漢文大系22』集英社、1975年
- 金谷治訳注『新訂 孫子』[9]岩波文庫、2000年、ワイド版2001年。
- 浅野裕一『「孫子」を読む』講談社現代新書、1993年
- 浅野裕一『孫子』講談社学術文庫、1997年
- 元版『中国の古典 孫子』講談社、1986年
- 貝塚茂樹『諸子百家』岩波新書、1961年
- 佐藤堅司『孫子の思想史的研究』原書房、1980年
- 河野収『竹簡孫子入門』大学教育社、1982年
- 大橋武夫『兵書研究』日本工業新聞社、1978年
- 海音寺潮五郎『孫子』講談社文庫、1974年、改版・全2巻、2008年
- 『図説 孫子 思想と実践』国書刊行会、2016年
- 趙海軍 主編/孫遠方・孫兵 副主編/浅野裕一 監修、三浦吉明 翻訳
- 平井洋一「孫子の兵法国際会議参加所見」『防衛学研究』第5号、1991年
- 宇佐見哲男「中国第二回孫子兵法国際会議に参加して」『防衛学研究』第5号、1991年
- Crossland, R. L. 1983. Review of the art of war. in Naval Institute Proceedings. November, pp.105-6.
- Liddell Hart, B. 1976. Sun Tzu: From the art of war. in The sword and the pen: Selections from the World's greatest military writtings, ed. A Liddell Hart. New York: Crowell.
- Ramsey, D. K. 1987. The corporate warriors. Boston: Houghton Mifflin.
- Sun Tzu. 1963. The art of war. trans. S. B. Griffith. Foreword by B. H. Liddell Hart. New York and Oxford: Oxford Univ. Press.
- Tashjean, J. E. 1987. The classics of military thought: Appreciation and agenda. Defense Analysis 3:245-65.
- Tun-Hwa, K. 1972. An introduction to the Chinese military classics. Military Review. Fort Leavenworth, Kans.: U.S. Army Command and General Staff College.
- ^ 出口治明『哲学と宗教全史』ダイヤモンド社、2019年、154頁。
- ^ この点には論争あり。論争の内容は『孫子 (書物)』を参照。
- ^ 字は『新唐書』宰相世系三下による。名を武とするのは呉越春秋である。天野鎮雄は『孫武』という名前を名乗った人間が兵法に優れるということ自体が偶然すぎることであり、史記孫子呉起列伝に「孫子武は斉の人なり」とあるところから、字が子武、若しくは後世の諡が武である可能性を示唆している。
- ^ 『呉越春秋』では呉の人だとする。天野鎮雄は孫武は呉の人だと考えており、孫武の友人であった伍子胥が子供を斉に預けた(『春秋左氏伝』哀公十一年条)ことから、孫武の子供も伍子胥の子供と一緒に斉に預けられたのではないかと考えている。
- ^ 司馬遷 (中国語), 史記/卷065, ウィキソースより閲覧。
- ^ くつわ。ウマの口にかませ、たづなをつける道具。力をもっておさえ整えること。転じて命令を強制すること。
- ^ 銭穆によれば勢篇に登場する「形名」は法家思想の「形名参同説」に由来、斉志和は虚実篇の「五行」は陰陽家の「陰陽五行説」ではないかと考えている。いずれも戦国末期の思想家が唱えたものであり、孫武生前には存在しないことを証拠として、孫子の書が孫武と無関係であることを主張している。
- ^ NHK『三国志の子孫を探せ』
- ^ 岩波版・金谷治訳の初版は1963年。単行・ワイド版も刊行。
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