姦通 姦通の概要

姦通

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/26 18:18 UTC 版)

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本来は、不倫(ふりん)又は不義密通と同じどちらか又は双方が既婚者がいる場合の浮気を意味する言葉であるが、昨今ではあまり用いられない古い言葉になっている。そのため、現代日本語では、「既婚者が配偶者以外の者と性的関係を持つこと」を主に不倫と呼ぶ[3]

概要

社会的に承認される性行為は通常、婚姻によるものであるが、世界の地域・時代によっては、婚姻以外にも社会的に承認される関係は存在した。儒教においては、を持つことが認められており、日本でも側室などは公的な存在であり、一夫一妻制が厳しかったキリスト教でも公妾が存在することがあった。また、娼婦奴隷等と性交渉を持つことが公的に認められた時代も多かった。

一方、社会的に容認されないものには、既婚の女性の他、他人の妾、側室、親の保護下にある未婚の娘、儒教圏において、儒教が厳しく解釈された地域・時代における父系親族(同姓不婚)、異教徒、異なるカーストの相手などがあった。また、宗教民族地域時代によっては、同性愛が含まれる場合もある。近親相姦は、いくつかの社会でそれにまつわるタブー(インセスト・タブー)が存在する。

語源

不倫という言葉は本来は、倫理から外れたこと、の道から外れたことを意味する。近年では特に、近代的な結婚制度(一夫一婦制)から逸脱した男女関係、すなわち配偶者のあるが配偶者以外の異性と恋愛性行為を行うことを指して用いられる(配偶者のいない男や女が、配偶者がいる異性と恋愛・性交を行う場合も含む)。古くは姦通、不義密通といった(くだけた表現では浮気と呼ばれる。この言葉は未婚の恋人同士でも使われる)。

TBSのテレビドラマ『金曜日の妻たちへ』(1983年)により「不倫」という言葉が広まった[4]

日本

江戸時代、不義密通により公衆にさらされる男女『日本の礼儀と習慣のスケッチ』より、1867年出版[5]

不義密通というのは、要するに他人の保護下にある女性に対して保護者の許可無く(不義)、密かに性交渉を持つ(密通)ことであり、他人の妻、妾、娘が対象となる。男が未婚の場合、未婚の娘に結婚を申し込むことは可能であるが、家同士の関係で結婚が決まる時代においては、身分や貧富の差があった場合、許可されないことが多く、駆け落ち心中といった悲劇につながった。

古代日本においては、一夫多妻制の上に招婿婚(妻問婚)という社会制度のため、夫が妻(正室)の家にいつもいるわけではないこともあり、夫が他の女性の家へと行っている時には別の男性が来ることもあったらしく、また男性が恋人の女性の家へと行くと、すでに他の男性が来ていたということもあった(『古今和歌集』に収録されている歌にも、多くその時に歌われたと思われるものがある)。ただし、その夫や恋人がそのことに対して声高に訴えたり、ましてや公にすることは、面子もあって滅多に無かったようだ。

平安時代では、やはり男は多くの女の元へ通うのが常識であり、一人の女性しか愛さない男は真面目人間として軽く見られた。しかし人の妻を奪うことは非常識とされ、世間の非難を浴びた。

鎌倉時代には、御成敗式目第34条において不倫密懐に関する処罰が規定され[6]、不倫は所領半分没収の上職務罷免とされ、武家文化の中で厳しく処罰される端緒となった。御成敗式目は戦国・江戸時代を通じて各家法に強い影響を与え、武家法の基礎となった(「密懐法」を参照)。

これに対し、庶民の性風俗に関わる明確な取り決めは見られず、近世(江戸時代)以前には配偶者以外との性交渉は珍しいことではなく、近代に入っても戦前では特に農村などではその風潮が一部に残っていた。その一方では寛保2年の公事方御定書47条[7] には不義密通を死罪とする重罰規定が見られるなど、かならずしも当時の真相を覗わせる研究に一貫性はみられない[8]

近代に入ってからも、「浮気は男の甲斐性」などと既婚男性が未婚女性と不倫にいたる限り、容認する風潮が長く続いていた。当時既婚男性が未婚女性を愛人に持つことは容認されても[9]既婚女性が浮気をすることは容認されないとされており、既婚女性が不倫に及んだ場合、1947年昭和22年)までは、相手の男性から男女とも姦通罪という刑法の罪に問われた(現在の日本の法律では刑事的責任を問うことはない)。

現代日本

単にのいる男性や女性が男性・女性(既婚未婚は不問)とデートするなどの浮気で、相手方の合意があれば犯罪行為とされないため、刑事罰に問うことはできないが、道義的に問題のある行為であり、その代償は非常に大きい。つまり、現在の日本としては、不倫に日本国政府が介入し刑事罰を与えるほどの問題ではないと判断している。しかしながら犯罪でないとはいえ、家庭友人関係を一気に崩壊させる危険をはらみ、経済的・精神的に深刻な打撃を受け、社会的信用はもとより、自身の社会的な基盤すらをも失う可能性がある(旧刑法だと姦通罪で罰せられることもあった)。

不倫は民法第770条離婚事由に相当し、家庭崩壊の場合は配偶者訴訟を起こされることがあり、慰謝料民事責任に問われることになる[10]。実子がいる場合は、年齢に関係なく心を激しく傷付けトラウマを植えつけてしまいかねない。子供が心身を激しく傷つけられた場合には、不倫をした本人の配偶者からだけでなく、子からも訴訟を起こされることがある。

重婚内縁関係に於いては、実子を邪魔な存在と感じて児童虐待に及ぶケースがある。

関係の解消の際には、今までの関係を暴露すると脅されたり、口止め料や手切れ金を要求される場合もあるため、これらのトラブルも代償とされる。

他方、芸能人政治家スポーツ選手などの有名人の場合は、不祥事として非難を受け、イメージ悪化に繋がり、潔癖な人間からの支持を大幅に失う。ただしお国柄によっては不祥事とはならないこともある。

結婚生活を、恋愛感情の延長と考える「ロマンチック・ラブ」思想が男女双方に受け入れられ、不倫を罪悪であると考える者は、男女問わず多い。しかし、明確な統計こそ存在しないものの、既婚者同士の不倫についてもよく語られる(既婚者同士の不倫はダブル不倫とも呼ばれる)。

法律上の不倫

日本の法律上、不倫は「不貞行為」(貞操義務の不履行)という。

  • 夫婦がお互いに他の異性と性的交渉を持たない義務に反する行為である。
  • 一度きりの性的交渉も不貞行為とされるが、離婚理由になるには反復的に不貞行為を行っていることが必要とされる。
  • 男女間の密会が性的交渉を伴わない場合は「不貞行為」にはならない。



  1. ^ 「重婚の禁止」(732条)、結婚により夫婦間に発生する「同居・協力・扶助義務」(752条)そして「不貞行為が離婚原因となること」(770条1項1号)。上記の6条文から、「夫婦は互いに貞操義務(配偶者がいる者が、配偶者以外の者と性的結合をしてはいけないこと)を負う」という不倫禁止が課されている。そのため、双方が未婚者の場合に起こりうる「浮気」と異なり、既婚者には被害を受けた側に法的な保護、加害側に法的な罰を与える権利が与えられてる。
  2. ^ 岩田 剛 インドネシア・ブギス-マカッサル社会におけるシリ(恥-名誉)を核とする行為集団に関する一考察 アジア・アフリカ地域研究 (8-1), 75-88, 2008
  3. ^ 福原愛 続く不倫騒動ドミノ…新会社のオフィスが2カ月で閉鎖(女性自身)” (日本語). Yahoo!ニュース. 2021年4月26日閲覧。
  4. ^ 南谷覺正戦後日本の性とメディア」『群馬大学社会情報学部研究論集』第19号、群馬大学社会情報学部、2012年3月、 55-74頁、 ISSN 1346-8812NAID 120003987655
  5. ^ CHAPTER VIII.CRIMES AND PUNISHMENTS."Sketches of Japanese manners and customs" Jacob Mortimer Wier Silver, 1867
  6. ^ 他人の妻を密懐する罪科の事 右、強奸、和奸を論ぜず、人の妻を懐抱するの輩、所領・半分を召せ被れ、出仕を罷め被る可し。所帯・無んば、遠流に処す可き也。女の所領・同じく之を召せ被る可し。所領・無んば、又、之を配流せ被る可き也。」「次に、道路の辻に女を捕う事、御家人に於ては、百箇日の間、出仕を止む可し。郎従・巳下に至りては、右大将家の御時の例に任せて、片方の鬢髪を剃除す可き也。但し、法師の罪科に於ては、其の時に当たりて、斟酌せ被る可し。
  7. ^ 一、密通致し候妻 死罪
    一、密通之男死罪 但、實之夫を殺し様ニ勸候歟、又ハ手傳殺候におゐてハ、獄門
    一、密夫いたし實之夫を殺し候もの 引廻し之上 磔
    一、密夫いたし實之夫ニ疵付候もの 引廻し之上 獄門
    一、主人之妻江密通之手引いたし候もの 死罪
  8. ^ 御成敗式目、公事方御定書とも既婚男性が未婚女性と交情に及ぶ件に関しては規定がない。
  9. ^ 既婚男性が既婚女性と不倫関係にある場合は、女性の夫から姦通罪で告発され罪に問われる可能性がある
  10. ^ 不倫を行った者の配偶者は、不倫の相手に対し「夫(妻)の立場を不当に侵したもの」として訴訟を起こすことが可能であり、訴えが認められた場合は損害賠償責任を負う。
  11. ^ a b c 川崎佳代子 文学にみる恋愛と結婚について
  12. ^ 星川啓慈 カルスタ、あれこれ(23)――『源氏物語』は「不倫物語」か? 大正大学


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