太陽の王子 ホルスの大冒険 同時上映

太陽の王子 ホルスの大冒険

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/18 02:58 UTC 版)

同時上映

タイトル 製作会社 原作 (声の)出演 備考
魔法使いサリー
小さな魔法使い
東映動画 横山光輝 平井道子千々松幸子白石冬美加藤みどり山口奈々
ゲゲゲの鬼太郎
(第1作)
水木しげる 野沢雅子田の中勇大塚周夫
ウルトラセブン 円谷プロダクション 森次浩司菱見百合子中山昭二石井伊吉 [注 8]

『鬼太郎』はモノクロ作品であるため、1967年春興行以来続いたオールカラー興行が途絶えた。

春楡(チキサニ)の上に太陽

『春楡(チキサニ)の上に太陽』はアイヌの民族叙事詩「ユーカラ」を題材とした人形劇である。人形劇団・人形座によって1959年夏に上演された[28]

知里幸恵の『アイヌ神謡集』に収録された、オキクルミと「悪魔の子」の争いを扱った話を題材に、脚本の深沢が創案した「悪魔(人形劇では「モシロアシタ」)の妹」であるチキサニを加え、アイヌの村人も含めた交流と戦いを描いた[29]。チキサニはオキクルミに誘われたアイヌの集落での暮らしに惹かれながらも兄の命令との間で苦悩し、最後は兄がオキクルミに放った矢を身代わりとして受け絶命する[29]。そのあと、アイヌたちとオキクルミは力を合わせてモシロアシタを倒す[29]

1959年7月に東京で初演され、8月にはNHKテレビでの放映もあった[30]。『ホルス』の最初のスタッフとなる大塚と高畑は、1959年8月の人形座東京公演を観覧したとみられている[31]。しかし、本作は「舞台規模が大きく旅上演に不向き」という理由で翌年には演目からはずされた(劇団は小中学校を中心とした地方巡業に収入を依存していた)[30]。その後、人形座は経済的な理由で1963年に解散した[31]

1983年に徳間書店が『ロマンアルバム・エクセレント(60) 太陽の王子ホルスの大冒険』を刊行した際に、『チキサニの太陽』のタイトルで本作を紹介した[32]。『ロマンアルバム』に掲載された『春楡の上に太陽』に関する資料は東京公演時のプログラム表紙のみで、「編集部で入手できた」唯一の資料と紹介されている[33]

アイヌ民族叙事詩より
春楡(チキサニ)の上に太陽』 オキクルミと悪魔の子

スタッフ

  • 脚本:深沢一夫 
  • 演出:井村淳、手島修三 
  • 美術:小室一郎 
  • 音楽:丸山亜季
  • 舞台監督:今泉俊昭

キャスト

  • オキクルミ(アイヌの少年) … 大井六太
  • チキサニ(悪魔の妹) … 石井マリ子
  • モシロアシタ(悪魔・銀狼) … 河合さき子
  • ケムシリ(アイヌの古老) … 田島嘉雄
  • 酋長 … 平野一郎
  • チカップ(アイヌの青年) … 江原正典
  • シュパチ(アイヌの男) … 大井数雄
  • フレップ(アイヌの少女) … 石原仁美
  • フレップの母 … 後藤和子
  • 男1 … 和気八郎
  • 部落の男女、動物たち … 佐田弘子、久保多美子、塚越寿美子

二次使用

岩井俊二監督の映画『花とアリス』で主人公二人が映画館で本作を観ており、映像も少し登場する[34]




注釈

  1. ^ このうち『ゲゲゲの鬼太郎』(TVブローアップ版)は、公開当時のフィルムが紛失していたため、テレビ放送版のフィルムを再編集して収録した。
  2. ^ 本作品には、制作開始から完成までの間に中断期間があり、その間に東映動画を退社、あるいは降板するなどしたためクレジットされていないが、林静一、倉橋孝治らも参加している[2]
  3. ^ 宮崎駿は当時この文書を大塚から見せられたと、2018年の高畑の「お別れの会」のコメントで述べている[7]
  4. ^ 大塚によると、関からは演出(監督)について芹川有吾矢吹公郎を勧められ、高畑については「もう少しあとでやってもらおうと思っている」と言われたという[6]
  5. ^ 『龍の子太郎』はそれから14年後の1979年に東映動画によって長編劇場アニメ化された(監督は浦山桐郎)。作画監督を務めた小田部羊一は東映動画から依頼があったときにスタッフの条件として「演出(監督)は高畑勲」と述べたが、東映動画側は「高畑は絶対に認められない」という返事だったと回想している[9]
  6. ^ 東映動画の社内組織上1965年3月に「長編漫画製作部」「TV漫画製作部」「技術部」が統合されて「製作部」となっていた[14]
  7. ^ 当時、ソ連が横浜港とナホトカ港を結ぶ定期船を運航していた。
  8. ^ 『東映まんがまつり』系統で、円谷プロ作品、ならびに同プロ製作のウルトラシリーズが上映されたのは、これが唯一のケースとなった(前年公開の『キャプテンウルトラ』は東映作品)。これ以降、ウルトラシリーズを筆頭とする円谷作品は、『東宝チャンピオンまつり』で上映されている。

出典

  1. ^ a b 松野本、2009年、p.38
  2. ^ a b c 大塚、2013年、pp.305 - 307
  3. ^ 大塚、2013年、p.151
  4. ^ 東映アニメーション、2006年、p.32
  5. ^ a b 大塚、2013年、p.159
  6. ^ a b 大塚、2013年、pp.160 - 161
  7. ^ a b c “高畑勲さん「お別れ会」 宮崎駿監督は声を詰まらせながら、亡き盟友を偲んだ(追悼文全文)”. ハフィントンポスト. (2018年5月15日). https://www.huffingtonpost.jp/2018/05/14/isao-takahata-farewell_a_23434642/ 2018年5月16日閲覧。 
  8. ^ a b c d 大塚、2013年、pp.162 - 163
  9. ^ 叶、2004年、pp.111 - 112
  10. ^ a b 大塚、2013年、pp.164 - 166
  11. ^ 富沢、1983年(同書収録のインタビュー)
  12. ^ 高畑勲監督お別れ会で号泣の宮崎駿監督...鈴木敏夫Pは「宮崎駿はただひとりの観客、高畑勲を意識して映画を作っている」と LITERA 2018年5月16日
  13. ^ a b c d e 大塚、2013年、pp.168 - 169
  14. ^ 東映アニメーション、2006年、p.33
  15. ^ 大塚、2013年、p.167
  16. ^ 社長が訊くニンテンドーDSi 小田部羊一さんと『うごくメモ帳』篇 - 任天堂
  17. ^ 叶、2004年、p.66
  18. ^ 叶、2004年、pp.100 - 101
  19. ^ 叶、2004年、p.102
  20. ^ a b 大塚、2013年、p.170
  21. ^ a b 大塚、2013年、p.171
  22. ^ 木村智哉「東映動画株式会社における映画製作事業とその縮小」谷川健司(編)『戦後映画の産業空間: 資本・娯楽・興行』森話社、2016年
  23. ^ なつぞら:劇中アニメを振り返り! 「神をつかんだ少年クリフ」 小田部羊一さん作「キアラ」も話題に 2019年9月24日 まんたんウェブ 2019年9月26日閲覧
  24. ^ a b 東映アニメーション、2006年、pp.42 - 43
  25. ^ a b 池田宏「永遠の『先達』のままで逝ってしまったパクさん」『キネマ旬報』2018年6月上旬特別号、キネマ旬報社、pp.18 - 19
  26. ^ 小田部羊一「"死"は"果種"(たね)なんだとパクさんは言った」『キネマ旬報』2018年6月上旬特別号、キネマ旬報社、pp.20 - 21
  27. ^ もりさんのヒルダ”. アニドウ. 2019年1月13日閲覧。
  28. ^ 鷲谷花「美しい悪魔の妹たち 『太陽の王子ホルスの大冒険』にみる戦後日本人形劇史とアニメーション史の交錯」『ユリイカ』2018年7月臨時増刊号(総特集 高畑勲の世界)、青土社、p.261
  29. ^ a b c 鷲谷、2018年、pp.265 - 266
  30. ^ a b 鷲谷、2018年、p.264
  31. ^ a b 鷲谷、2018年、p.268
  32. ^ 鷲谷、2018年、p.263
  33. ^ 鷲谷、2018年、pp.263 - 264
  34. ^ 岩井俊二「僕の「やぶにらみの暴君」 - スタジオジブリ(『王と鳥』公式サイト)





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