天海 異説

天海

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/10 16:18 UTC 版)

異説

輪宝

その出自の曖昧さもあり小説等で出てくる説として天海が足利将軍家12代・足利義晴の子という説や明智光秀と同一人物という説がある(墓所である日光に「明智平」という場所があることなどが根拠に挙げられることが多い)。1916年大正5年)、天海の伝記『大僧正天海』を著した須藤光暉は、天海は船木兵部少輔景光と妻の芦名氏の子であると推定しているが[9]、一部の考証家に「光秀が天海となり、豊臣氏を滅ぼして恨みを晴らした」という「奇説」を唱えるものがいると記述しており[10]、この頃にはすでにこの説が唱えられていたとみられる。戦後には明智光秀の子孫と称する明智滝朗が流布している[11]。天海と光秀が同一人物だとすると享年は116歳となり天海を光秀とするのは年齢的にやや無理があるとする説もあるが、両者は比較的近い関係にあるという主張が現在も引き続きなされている。 また、明智光秀の生年自体にも諸説あり、1540年以降の生まれであるとする説もある。

蘆名説の問題は曖昧な根拠しかないうえに、天海と蘆名氏を結ぶ人脈が何もないことである。例えば、蘆名氏の家紋は三浦であるから「丸に三引き両」である。しかしながら天海の用いた紋[疑問点](今日においても喜多院あるいは上野の両大師堂、日光山輪王寺三仏堂で見ることができる)は「丸に二引き両」と「輪宝紋」であり、蘆名氏のものとは明らかに異なる。しかし、最有力説の船木説であれば問題はない。

「丸に二引き両」は足利氏のものであるが、足利氏の庶流(斯波氏吉良氏今川氏等)や美濃国に発祥する遠山氏も用いている。一方の「輪宝紋」は、仏教法輪から発生した紋章で、寺院や神社の装飾としてよく使われる紋である。武家でも摂津国三河国三宅氏が三宅輪宝と呼ばれる紋を使い加納氏津軽氏も用いている。家紋は苗字と同じであり、自らの出自と無関係に用いることは普通ない。天海の存命中から足利氏説は広まっていたが、家紋が足利氏のものと似ているのがこの風説の発端であったと須藤光暉は考察している[2]


注釈

  1. ^ 「御諱を犯すのみならず、豊臣家の為に当家を呪詛するに似たりといふ事を天海一人御閑室に召れたりし時密々告奉りといふ」
  2. ^ なお、浅草寺の東照社は覚永19年(1642年)に焼失した。
  3. ^ a b c d 明智光秀と天海を同一人物として描いた作品。
  4. ^ 明智光秀関係者が天海となった可能性を描いた作品。
  5. ^ 芦名銅伯と天海を双生児として描いた作品。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 宮元健次 (2013年3月28日). “江戸を大都市にした天海は、何を仕掛けたのか”. PHPビジネスオンライン衆知. http://shuchi.php.co.jp/article/1389 
  2. ^ a b c 須藤光暉『大僧正天海』冨山房、大正5年。[要ページ番号]
  3. ^ a b c d e 辻達也『日本の歴史 江戸開府』中公文庫
  4. ^ a b c d e 東叡山寛永寺”. 東京国立博物館. 2019年10月28日閲覧。
  5. ^ 『台徳院殿御実紀』巻廿七より[注釈 1]
  6. ^ 【戦国こぼれ話】現在は学者受難の時代?戦国時代は重要だった知識人たち!(渡邊大門)”. Yahoo!ニュース (2020年10月5日). 2020年12月22日閲覧。
  7. ^ 日光ウォーキングガイド (PDF)”. 日光市観光協会. 日光旅ナビ. 2021年12月4日閲覧。
  8. ^ 絵画に描かれた関ヶ原合戦 関ヶ原合戦400年記念「戦国博」-情報・デザインミュージアム-
  9. ^ 須藤光暉 1916, p. 10-11.
  10. ^ 須藤光暉 1916, p. 595-596.
  11. ^ 明智滝朗『光秀行状記』中部経済新聞社、昭和41年






天海と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「天海」の関連用語

天海のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



天海のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの天海 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS