大人買い 大人買いの概要

大人買い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 22:37 UTC 版)

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大人買いされる物品の例に、食玩漫画などがある[4]

文化庁の2014年の調査で「大人買い」という表現を78.6%が「聞いたことがある」と回答した[5]

語義

  1. (原義)食玩おまけ)などパッケージを開封しないと中身が分からない(ブラインドパッケージ販売おまけ入りの子供向け商品を、金銭的に余裕のある大人が一度に大量に購入すること[1]
  2. 転じて、子供向け商品に限らず通常人が買う平均を大幅に上回る量の物を一度に買うこと。主に趣味の分野(漫画の全巻/映画やテレビドラマの全シリーズ/音楽ソフト/書籍/キャラクターグッズなど)で同シリーズで何種類も販売されている商品を、一括で全て購入することを指すが、趣味以外のものを対象とする場合もあり、実質的には「まとめ買い」の言い換えに過ぎない例も多い(用法の拡大の節の具体例参照)。

殊更に「大人」の語が含まれているように、この語には本来は子供たちがその小遣いで少量ずつ買うべき子供向け低額商品を、大の大人が財力に物を言わせて一括大量購入するというニュアンスが含まれている。さらには大量購入した結果、本体の食品や「ダブり」のおまけに大量の余剰が出ること、子供の列に大人が混じって購入すること、中のアイテムによって一喜一憂する姿や、良識のある大人ならばこういった品のない行為はしないという意味を踏まえ、大人買いとはすなわち「大人気ない買い方」であるとの皮肉った言い方もある[2]

なお、音がほぼ同じで起源も語義も全く異なる異義語に「ヲトナカヒ」がある。これは明治時代中頃の盗っ人仲間の隠語を当時の警察関係者がまとめた『日本隠語集』(1892年)に収録されているもので[6] 、「店頭ノ物ヲ盗取スルコトヲ云フ」(愛知県管内ニ通スル語)と説明されている。この語は『日本国語大辞典』(小学館[7]にも同書を引用するかたちで収載されており、その語源については「『音無買』の意か」との注釈がなされている。

発祥とその背景

「大人買い」という語の発祥の詳しい経緯は必ずしも明らかではないが、本来はオタク用語[8]とも言われる。 背景にはペプシコーラ1998年以降に商品のおまけとして付けたキャラクター型ボトルキャップや、1999年9月からフルタ製菓が発売したチョコエッグのおまけなどを熱心に集める大人たちによる「食玩ブーム」があった[8]。食玩収集を目的に、子どもにはできないまとめ買いをする行為を指して「大人買い」という言葉が誕生した[9]

絵本作家相原博之は、キャラクター商品の大人買いについて、1997年頃の(女子高生女子大生OLなどを巻き込んだ)ハローキティのブームがきっかけで始まった現象だとする[10]

用法の拡大

この語の流布にともない語義の拡大傾向も見られるようになっていった。ネット上ではすでに2000年の時点でマンガ本の全巻一括購入やボウリング場のレーンの一日中の独占、あるいは子供時代にできなかった習い事を自腹で始めることなどを「大人買い」と表現したサイトが存在し、食玩に代表されるような子供向けの商品とは無関係なものへの使用例が見られたという[8]。一方、雑誌などでも2000年代前半から、古書(2002年[11]、あるいは万年筆の詰め替え用インクや帽子(2003年[12]など、必ずしも子供向けでないものや明らかに大人向けの商品であっても、一度にまとめて購入することを大人買いと表現する例が見られる。さらに2000年代半ば以降では、単に子供向けではないというだけではなく、グッチ2006年[13]ルイ・ヴィトン(2006年)[14]、あるいは一流の仕立て職人を呼んで採寸させる一着60万円以上のオーダースーツ(2007年[15]といった、一般的な大人でさえ大量には買わないような高額商品のまとめ買いにも使用されるようになり、語義が拡大・拡散した。


  1. ^ a b 新村出(編)『広辞苑』第六版(普通版)、岩波書店、2008年、410頁。ISBN 978-4-00-080121-8 C0500
  2. ^ a b c 「〔早耳〕 大人買い」(読売新聞 2005年10月21日 西部版朝刊 35頁 社会面)-「大人買い」の解説-
  3. ^ 谷川建司, 王向華, 呉咏梅『拡散するサブカルチャー 個室化する欲望と癒しの進行形』 p.37
  4. ^ 今日から役に立つ! 常識の「国語力」2600、p.79
  5. ^ 平成26年度「国語に関する世論調査」の結果の概要
  6. ^ 稲山小長男(編)『日本隠語集』、1892年47頁
  7. ^ 日本国語大辞典刊行会編 『日本国語大辞典』第二版・第二巻、2004年、小学館、1273ページ。ISBN 4-09-521002-8
  8. ^ a b c 片桐圭子「大人買いという快楽 お菓子のおまけにはまってしまう」(『AERA』 2001年1月1日号 83頁)
  9. ^ 「新製品トレンド リポート 鉄人28号、キョロちゃん…おまけつき菓子が人気 懐かしいキャラに大人もうっとり」日経ビジネス 2002/03/11号
  10. ^ 相原博之 『キャラ化するニッポン』 講談社、2007年、42-43頁。ISBN 978-4062879101
  11. ^ 「本の虫が薦める本好きのための極上読書案内 予算2万円!古本買い物ゲーム 大西祥平さん・吉田豪さん 降ってわいた臨時ボーナスで古本“大人買い”を実況中継!」(『ダカーポ』2002年8月21日号 32-33頁)
  12. ^ 石田衣良「私のごひいき 138回『大人買い』がたのしいそこそこ価格のグッズベスト3」(『週刊文春』2003年11月13日号 119頁)
  13. ^ 「芸能ワイド ネタウンミーティング ホリエモン 裁判のストレス!? 銀座グッチで超大人買い?」(『週刊女性』2006年12月12日号 175-176頁)
  14. ^ 「芸能人のお値段 日米スター買いまくり伝説 忙しいスターは値段きにせず大人買い」(『日経エンタテインメント』2006年12月号 38頁)
  15. ^ ニック・フォークス「スーツ200着の『大人買い』」(『ニューズウィーク日本版』2007年12月26日号 62頁)
  16. ^ 「乗れるチョロQ、お酌ロボ‥‥ 少子化ゆえ大人向け おもちゃメーカー必死」(読売新聞 2002年7月17日 東京付夕刊 18頁)の記事中における関沢英彦(博報堂生活総合研究所長)による分析。
  17. ^ 爆笑問題「爆笑問題の世紀末ジグソーパズル 147回 大人買い ゲットできなかったガキ時代の恨み、大人になって晴らします」(『週刊プレイボーイ』2001年4月17日号 82-83頁)
  18. ^ カーツさとう「カーツさとうの一度はやってみたい!庶民の夢 5回 駄菓子を大人買い! 食った!当たった!遊んだ!30数年来の“庶民の夢”お値段はビックリの…」(『DIME』2004年3月16日号 171-175頁)
  19. ^ 野口豊「いまこそサンダーバード大人買い いよいよ実写版映画公開で再び『国際救助隊』に入隊!」(『ラピタ』2004年9月号 92-97頁)
  20. ^ 林真理子「夜ふけのなわとび 942 大人買い」(週刊文春 2005年10月6日号47巻38号 68-69頁)
  21. ^ 林真理子『オーラの条件』214-218頁、「大人買い」
  22. ^ 日経エレクトロニクス、2003/01/20号, 59-66ページ
  23. ^ “大人買い心理”をくすぐる絶妙な戦略 「漫画全巻まとめ買いサイト」が大人気! これが気になる! - 第261回 , 2010年3月2日 , DIAMOND online


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