外来語 外来語と方言

外来語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/26 07:12 UTC 版)

外来語と方言

他の言語との接触頻度や形態に地域差がある場合、一部の地域においてのみ借用が行われることがある。

日本語における方言特有の外来語の例をいくつか挙げると、朝鮮語で「友達」を意味する「チング」は長崎県山口県の一部など朝鮮半島と距離的に近い地域で日常的に使用されている[3]長崎県郷土料理ハトシ」は広東語からの、鹿児島弁などで「黒板消し」を意味する「ラーフル」はオランダ語からの外来語と考えられ、西九州地方の「縁台・長椅子」を意味する「バンコ」は「ベンチ」を意味するポルトガル語由来であり、西日本および北陸地方で「かぼちゃ」を「ボーブラ」と言う地方があるが、これもポルトガル語からとされる。また、琉球方言には「咆腹了(チュファーラ=満腹の意)」など中国語(吃饱了喫飽了、IPA: tʂʰɨ55paʊ̯31lɤ)由来の外来語が散見されるほか、現代沖縄方言ウチナーヤマトグチ)には英語由来の単語や表現が日本本土とは異なる表記・発音で取り入れられている。

派生語

外来語の浸透にともなって、和製英語を含む和製外来語など、外来語からの造語も用いられるようになった。また、「テレビジョン」を「テレビ」、「コンビニエンスストア」を「コンビニ」というなど独自の略語も用いられている。中には「コスチュームプレイ」から派生した「コスプレ」のように日本語以外の言語に逆輸入の形で広がり示す言葉も存在する。

制限論

ある言語の中に極めて大量の借用語がある場合、国立国語研究所による「外来語」言い換え提案のように、利便性や言語の自立性の観点から言い換えが提案されることがある。また、日本では和語で表現できる事物ですら外来語や漢語に言い換えられることがしばしばあるため、外来語が必要以上に多用されることで意味がわかりにくくなっているという教育関係者からの批判もある。特に外来語は、なるべく漢字を用いた語に言い換えたほうが分かりやすいとされる。国立国語研究所「外来語」委員会 は「オンデマンド」を「注文対応」のようにカタカナ語を漢字に置き換える例を提案している[4]。一方、外来語だけでなく、日本語すべてをカタカナにすべきとする団体「カナモジカイ」(1920年発足)もあった。

現代国語の外来語の使用頻度は高いが、あらゆる言語は他の言語からの借用語を含むものであり、このような主張は言語の自然な変化というものを無視した意見であるという主張がある。日本では明治維新後、近代化に伴って外来の事物を表現するために漢語や外来語の使用を増やし、従来固有語で表現していた事物ですら漢語に置き換えたが、アイスランド語のように新しい事物や概念を取り入れた際も固有語での表記を原則としている言語や、トルコの言語純化運動スペインポルトガルでのイベリア半島の言語純化運動韓国北朝鮮での朝鮮語の国語純化運動など、借用語の置き換えなどをおこなって言語を純化した例もある。

国語学者の山口仲美は、言い換え案のほとんどは漢語であり、ただでさえ多い漢語をふたたび増やし、同音異義語の問題を大きくしてしまうと主張している。和製漢語は中国文化が浸透していた時代にあっていた方法なのであって、現在の日本はアメリカ文化が浸透しているのだから、片仮名の外来語のままにしておいて意味の定着を待つべきではないかと主張している[5]

日本語以外の言語における外来語

外来語は、言語接触によって自然に起こる現象であり、多数の言葉が入り交じる地域ではむしろ当然のようにあらゆる言語から借用語として取り入れられている。

例えば、ノルマン・コンクエストイングランドノルマン人に支配されることによって多くのフランス語の単語が英語に取り入れられた。イスラム教徒に支配されたイベリア半島スペイン語ポルトガル語にはアラビア語ベルベル語から大量の単語が流入した。キリスト教徒によるレコンキスタ完了後はイベリア半島の言語純化運動が起こるものの、ポルトガル語ではアラビア語単語の追放に成功したが、スペイン語ではいまだに多くのアラビア語の単語がみられる。また、多くの民族が流入したタイタイ語はその3分の2が外来語といわれている。

交通網、マスメディアインターネットが発達した現在では、よほどの未開地の言語でもない限り、世界中のどの言語も外来語の影響を常に受け続ける環境にあるといえる。

しかし、自然に起こりうる外来語ではなく、外国への憧れや崇拝などによる外来語もある。例えば、アメリカでも英語本来の語彙があるのに、フランス語の単語を使用する例がある。これはフランスもしくはヨーロッパ文化をより高いものと観ているからと思われる。




  1. ^ 陣内正敬「外来語を育てるとは」2004年11月6日、国立国語研究所主催 第23回「ことば」フォーラムより。『当日記録 (PDF, 0.3MB) 』、14頁、および『配布資料 (PDF, 1.1MB) 』、7頁を参照。2011年8月17日閲覧。
  2. ^ 外来語の表記 内閣告示第二号 本文 3 第1表・第2表に示す仮名では書き表せないような,特別な音の書き表し方については,ここでは取決めを行わず,自由とする。
  3. ^ 『日本方言大辞典』ISBN 4-09-508201-1 のp1495ではこの他に島根県益田市香川県伊吹島を掲載。
  4. ^ 国立国語研究所「外来語」委員会編『わかりやすく伝える外来語言い換え手引き』ぎょうせい、2006年6月30日 ISBN 4-324-07958-7
  5. ^ 山口仲美『日本語の歴史』岩波書店岩波新書〉(原著2006年5月19日)、初版、p. 218。ISBN 40043101802009年4月25日閲覧。
  6. ^ 「カタカナ語」が持つ問題とは? 日本人の発音を「カタカナ英語」にする悪の根源”. 英語びより. 2020年2月7日閲覧。


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