塩素
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/20 08:42 UTC 版)
歴史
1774年にスウェーデンのカール・ヴィルヘルム・シェーレが、海塩酸(塩酸)と二酸化マンガンを加熱させることによって単体を分離。
1810年にハンフリー・デービーが元素であると認めた。
塩素の化合物
塩化物イオンあるいは置換基として塩素を含む化合物は塩化物あるいは塩素化合物と呼ばれる。塩素はほとんどすべての元素と安定な化合物を形成し、また有機化合物にも塩素を含むものが多く知られている(記事塩化物に詳しい)。個々の化合物については、「塩化物のカテゴリ」および「有機ハロゲン化合物のカテゴリ」を参照されたい。
有機塩素化合物は、安定で、かつ安価に合成できるために、クロロホルムやジクロロメタンのような代表的な有機溶媒として、あるいはポリ塩化ビニルなどのプラスチックとして、大量に生産・使用されている。
反面、多くは毒性を持ち、環境中に放出された際に化学分解されにくい点、さらに焼却時にはダイオキシンを発生する点から、法令などで規制されている物質も多い。
塩素のオキソ酸
塩素のオキソ酸は慣用名を持つ。次にそれらを挙げる。
オキソ酸の名称 | 化学式(酸化数) | オキソ酸塩の名称 | 備考 |
---|---|---|---|
次亜塩素酸 (hypochlorous acid) |
(+I) | 次亜塩素酸塩 ( - hypochlorite) |
次亜塩素酸塩は塩基性を示し、遊離酸よりも安定で漂白剤、殺菌剤として使用される。 |
亜塩素酸 (chlorous acid) |
(+III) | 亜塩素酸塩 ( - chlorite) |
亜塩素酸は中程度の酸(pKa2.31)。亜塩素酸塩は危険物第1類。 |
塩素酸 (chloric acid) |
(+V) | 塩素酸塩 ( - chlorate) |
塩素酸は強酸。塩素酸塩は危険物第1類でマッチや火薬などの酸化剤として用いられる。 |
過塩素酸 (perchloric acid) |
(+VII) | 過塩素酸塩 ( - perchlorate) |
過塩素酸は強酸で危険物第6類。過塩素酸塩は危険物第1類。 |
※オキソ酸塩名称の '-' にはカチオン種の名称が入る。
塩素のオキソ酸はいずれも酸化力が強い。代表的な化合物に次のようなものがある。
- 次亜塩素酸ナトリウム()
- 次亜塩素酸カルシウム(さらし粉() - 不純物として原料のを含む
同位体
注釈
出典
- ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds (PDF) (2004年3月24日時点のアーカイブ), in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
- ^ Robert T. Baldwin (1927). “History of the chlorine industry”. J. Chem. Educ. 4 (3): 313–319. doi:10.1021/ed004p313.
- ^ 沖 久也「グリフィス講述『化学筆記』について」『化学史研究』第39巻第4号、2012年、13–20頁。
- ^ 宇田川榕菴 (1834). “元素編第二”. 遠西医方名物考補遺. 8
- ^ 日本化学会(編)『化学便覧 基礎編』(改訂4版)丸善、1993年。
- ^ 『化学大辞典』共立出版、1993年。
- ^ 『塩素白書』p10-21
- ^ F.A. コットン、G. ウィルキンソン、中原勝儼(訳)『コットン・ウィルキンソン無機化学』培風館、1987年。
- ^ 経済産業省生産動態統計年報 化学工業統計編
- ^ 容器保安規則 - e-Gov法令検索
- ^ 『塩素白書』p45
- ^ 毒物及び劇物指定令 昭和四十年一月四日 政令第二号 第二条 十七の三
- ^ 塩素ガス漏れ住民バタバタ 東大阪約百人が入院『朝日新聞』1976年(昭和51年)3月26日夕刊、3版、11面
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