地震計 設置環境による影響

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地震計

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/06 21:08 UTC 版)

設置環境による影響

地震計の設置環境によっては、本来の地盤の応答を正確に記録できないことがある。日本国内で発生した地震においても、震度計が周辺のものに比べて際立って高い結果を出すことがある。その理由として、地震計の設置された地盤や路盤によるもの(崖の周辺や泥地への設置など)と、地震計そのものの設置状況によるもの(地震計と土台の間に隙間があいている、地震計が傾いているなど)がある。

  • 1995年1月17日 - 兵庫県南部地震 : 兵庫県神戸市などで最大震度7を観測。大阪府大阪市中央区にある震度計が震度4を示したが、震源から遠い京都府京都市の震度計が震度5を示した。それは気象庁が設置した震度計が地盤が強固な上町台地にあり、実際よりも震度が低く出た。日本道路公団阪神高速11号池田線に設置した震度計は、震度7を示した。
  • 2008年5月8日 - 茨城県沖を震源とする地震 : 茨城県水戸市と栃木県茂木町で最大震度5弱を観測。茂木町の震度計では、1キロ程度離れた位置のものが震度3を示したことや、周辺住民から体感震度と違うなどといった声があり調査。結果、斜面の近くに設置されていたことから1〜2段階高い震度を表示することがわかった。2009年に別の場所へ移設。
  • 2008年6月14日 - 岩手・宮城内陸地震 : 高感度地震観測網一関西観測点(岩手県一関市)では、最大加速度4022ガルを観測したが、観測施設の設計上の問題によりロッキング振動が生じ、自由地盤(地表そのまま)の加速度を記録していなかった[17]。2013年現在、観測施設は休止中。
  • 2008年7月24日 - 岩手県沿岸北部地震 : 岩手県洋野町で最大震度6強を観測。その後、数百メートル離れた位置に仮設震度計を設置したところ、既設のものが1段階程度高い観測をすることが判明。確認後に震度観測をやめたほか、気象庁での使用を中止した。
  • 2011年3月11日の東日本大震災の余震では、茨城県鉾田市にある震度計1箇所が盛り土の上に設置されており、近隣の震度計よりも高い結果が出ることが多かった。4月21日にこの震度計の使用は中止された。

注釈

  1. ^ やや時代が下がるが、132年には張衡が、酒樽のような形の壷のまわりに8つの竜をあしらった地震計、地動儀を作っている。地震動を検知すると竜の口から玉が落ち、下に置かれた蛙型の容器に落ちて音が鳴る仕組みであった。張衡は138年3月1日には無感地震を検知している。地震学会(1979)

出典

  1. ^ a b c d e f 増田徹. “地震と私たち(5)”. 一般社団法人東北地質調査業協会. 2019年11月26日閲覧。
  2. ^ 大迫正弘. “ユーイングの円盤記録式地震計について”. 国立科学博物館. 2019年11月29日閲覧。
  3. ^ 震災と復興を巡る一考察藤尾直史、土木史研究講演集25号、2005年
  4. ^ 教育品製造合資会社『東京案内. 下巻』東京市市史編纂係 編 (裳華房, 1907)
  5. ^ 幻燈使用法 屋井琢編、教育品製造会社、明22.12
  6. ^ 屋井の乾電池『少年日本科学史. 進歩の巻』神田丈三 著 (畝傍書房, 1942)
  7. ^ 宇津(2001)、pp.15-18。
  8. ^ 宇津(2001)、pp.19-20
  9. ^ 宇津(2001)、pp.20-23
  10. ^ 新潟県中越地震の震源隣接域における微小地震観 産総研 地質ニュース607号,34―38頁,2005年3
  11. ^ 平成16年(2004年)新潟県中越地震 -臨時観測点設置後の震源分布- 京都大学防災研 地震予知研究センター
  12. ^ 気象庁 1.震度計と震度観測体制 (1)震度の観測について
  13. ^ 防災科学研究所 強振動の基礎 1.3.1 地震動の周期区分
  14. ^ 10.今村式2倍強震計” (PDF). 岐阜県博物館 (2011年9月). 2015年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月6日閲覧。
  15. ^ 田中館の地震計”. 理工学研究部 電子資料館. 国立科学博物館. 2004年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月22日閲覧。
  16. ^ 濱田信生「地震計の写真に見る気象庁の地震観測の歴史」(PDF)『験震時報』第63巻3・4号、気象庁、2000年3月、97頁、ISSN 134256842018年8月22日閲覧 
  17. ^ 2008年岩手・宮城内陸地震のKiK-net 一関西における大加速度記録の成因の推定 日本地震工学会論文集 Vol.11 (2011) No.1 P 1_32-1_47


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