地方銀行 概要

地方銀行

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/17 23:47 UTC 版)

概要

定義としては上記のように全国地方銀行協会に加盟する銀行という形であるが、北海道東京都等を除く大多数の加盟行はその本店所在府県で最大規模の金融機関であり、地域経済にも大きな影響力(傘下に不動産デベロッパーを置いていたり、地域主要企業の主要融資を担っていたり、メガバンクとの繋がりがあったり等)を持っていることが多い。また、アメリカの地方銀行に擬えてリージョナルバンク(Regional Bank)とも呼ばれる事がある(ただしこの語の意味は信用金庫を含むため注意が必要)。

1990年代初頭はいわゆるバブル景気に乗って、東京都や近隣府県、外国に進出する銀行が続出したが、その後の不景気によって、事業譲渡などで撤退し、地元に経営資源を集中させるケースが増えた。ただ、2000年代に入り、京都銀行山口銀行などのように事業の拡大を狙って、地元の隣接地域に再び進出し始めている。

なお、一般社団法人第二地方銀行協会の会員である銀行(第二地方銀行)との対比から、第一地方銀行と呼ばれる場合もあるが、俗称であって正式なものではない。

2020年10月現在、地銀協加盟の地方銀行は全部で63行存在している。

2014年11月4日に、東日本銀行横浜銀行が経営統合協議に入り、同月7日には肥後銀行鹿児島銀行が経営統合に向けた交渉に入った。地方銀行は、第二地方銀行含め、少子高齢化の急速な進展や、地方経済の疲弊になどの要因により経営環境が2010年代に入って以降はかなり厳しい状況であるとされ、この統合交渉を皮切りに、経営体力強化のための業界再編が加速する可能性が高まっている[1]

2020年5月20日、参院本会議で地方銀行同士の統合・合併を独占禁止法の適用除外とする特例法が成立した[2]

分布状況

愛知県を除いた、46都道府県に分布している。

都道府県別で最も多くの本店を擁しているのは、県内に4行を擁する福岡県(福岡銀行西日本シティ銀行筑邦銀行北九州銀行山口FG傘下))である。

また、静岡県は、県内に3行を擁している(静岡銀行スルガ銀行清水銀行)。

本店を置く地方銀行が2行ずつ存在するのは、青森県岩手県秋田県山形県茨城県千葉県富山県岐阜県三重県大阪府及び沖縄県の11府県である。

その他33都道府県において、本店を置く地方銀行が1行のみとなっている。

なお、以下の県の県庁所在地に本店を置く地方銀行は存在しない。

  • 兵庫県神戸市 - 戦時中に県内の有力銀行が統合し、都市銀行として神戸銀行が設立されたため。県北部の豊岡市に但馬銀行が本店を置いている。
  • 愛知県名古屋市 - 戦時中に県内の有力銀行が統合し、都市銀行として東海銀行が設立されたため。以後同県に本店を置く地方銀行は存在しない(第二地方銀行は存在する)。2022年1月現在、愛知県は本店を置く地方銀行の存在しない日本で唯一の都道府県である。
  • 山口県山口市 - 現在の山口銀行の前身である第百十国立銀行は当初山口市に本店を置いたものの、すぐに下関市に本店を移転させた。その名残から現在も第一地方銀行である山口銀行は同市に本店を置いており、山口市には第一地方銀行の山口銀行と第二地方銀行西京銀行が山口支店を置いているのみである。
  • 埼玉県(1969年 - 2001年4月の間)- 埼玉銀行が都市銀行へ転換してから旧浦和市に本店を置く地方銀行は存在しない。武蔵野銀行は旧大宮市に本店を置いており、さいたま市発足によって名目上県庁所在地に本店を置く地方銀行となった。

総資産

2000年代より不良債権処理にともなう資本増強や業務効率化などの目的で、地方銀行においても合併金融持株会社設立による経営統合が盛んに行われるようになり、地方銀行から発展した金融持株会社を含めると以下の順位となる[3][4]

大手地方銀行

資産、信用格付け、自己資本比率、運用額、店舗数などで他の地方銀行よりも群を抜き規模が大きい地方銀行は大手地方銀行と呼ばれ[5][6]

横浜銀行静岡銀行千葉銀行常陽銀行京都銀行福岡銀行

の6行を指す[7][8]

特に横浜銀行静岡銀行千葉銀行の3行は三大地方銀行メガ地銀)と呼ばれる[9][10]


  1. ^ “地銀:再編加速 肥後・鹿児島銀、県境越え統合へ”. 毎日新聞. (2014年11月8日). http://mainichi.jp/shimen/news/20141108ddm008020057000c.html 2014年11月8日閲覧。 
  2. ^ “「多すぎる」地銀 独禁法の特例で再編後押し 異業種への参入も幅広く=編集部”. (2020年6月15日). https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200623/se1/00m/020/029000c 2020年10月6日閲覧。 
  3. ^ 時々ドットコム:【図解・経済産業】地銀・地銀グループの預金量ランキング(2014年11月)
  4. ^ 2019年 銀行業 総資産 ランキングStrainer 2020年10月24日閲覧
  5. ^ 地銀の預金量・総資産ランキング - 地方銀行ランキング”. chigin.fmd4.com. 2020年11月1日閲覧。
  6. ^ 2019年 銀行業 総資産 ランキング | Strainer”. strainer.jp. 2020年11月1日閲覧。
  7. ^ 三大地銀 - 定期預金の金利の比較”. www.woman110.com. 2020年11月1日閲覧。
  8. ^ キャリタスFINANCE (2016年12月14日). “「メガ地銀」誕生の序章? 再編が進む地銀 | 注目記事 - 金融を目指す就活生必読のニュース・情報 | キャリタスファイナンス”. job.career-tasu.jp. 2020年11月1日閲覧。
  9. ^ 三大地方銀行”. bullet-movie.jp. 2020年11月1日閲覧。
  10. ^ 「地銀の雄」が横浜から千葉に移り変わった事情 りそなを越える「メガ地銀化」に活路”. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) (2019年9月18日). 2020年11月1日閲覧。






地方銀行と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「地方銀行」の関連用語

地方銀行のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



地方銀行のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの地方銀行 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS