地図
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/10 02:06 UTC 版)
地図の要素
地図の要素には (1) 距離・面積、(2) 位置・方向、(3) 高さ、(4) 地形・地物・地名などがある[12]。
距離・面積
地図上の距離・面積は縮尺によって定まる[13]。
位置・方向
地図上の位置・方向は投影法によって定まる[13]。
高さ
地図上の高さは水準測量によって定まる[13]。
地形・地物・地名
地形は水平曲線(等高線、等深線)あるいはボカシ・ケバ・段彩などによって表現される[13]。
地物には都市・集落・鉄道・道路・河川など縮尺化して地図上で真形を表すことのできる骨格地物と、縮尺化しても地図上では真形を表すことのできない記号地物がある[13]。記号地物はさらに、独立樹や井戸などの小物体、学校など建物の性質を示す副記号、水田や森林など地類の状況を示す地類記号などに分類される[13]。
地図上の地名とは国名、地理的地名、路線名など図形で表現することが困難なもので、日本の地図では漢字、かな、数字などで記載される[13]。
立体地図
立体地図(りったいちず)、あるいは3次元地図(さんじげんちず)とは、地形の起伏(大縮尺の場合は建築物の高低を含む)を見る人に感じさせる地図の総称であり、大別すると平面の紙に記したもの、模型で起伏を表したもの、コンピュータのデータで高さの情報を持っているものがある。
平面地図を用いた手法
隣接した視点からとった2枚の平面状の図を見ることによって、人間は脳内に立体的な像を再現することができるという立体視の技術によって作成された地図で、ステレオグラムとも称する。裸眼で見たり、赤色・青色の色眼鏡をかけて見る。この原理は写真測量法においては、標高が不明な2枚の航空写真から、写真内の地点の標高を求める際にも用いられる。
模型
工作物で高さを表す。「浮き彫り」のことをレリーフと呼ぶことから、レリーフ地図ともいう。また、ジオラマと称することもある。児童・生徒の工作の場合など、等高線の形に切り取った厚紙を重ねて作成することもある。なお、地球儀を立体地図の一種として扱う場合もある。
コンピュータ地図

コンピュータ内のデータとして3次元情報を持ち、これを3次元コンピュータグラフィックスの技術によって画面上に地図として表示する。コンピュータ地図の一般として拡大・縮小・移動(スクロール)ができるほか、立体視特有の操作として空中の一点を「目」の位置として、ここから視線を上下左右に移動して見ることができる場合が多い。
データは、離散的な点の3次元座標を数値標高モデル(DEM)の形式で持ち、ここから地表面をポリゴンで表すようにソフトウェア処理する場合と、はじめからポリゴン形式で持つ場合がある。カーナビゲーション用の地図などで都市の建物の3次元情報を持つ場合はポリゴン形式が多い。
地図と法的関係
日本における権利
- 著作権法
- 地図は著作権法第10条1項6号で図形の著作物として例示されており、同法で保護される。保護期間はおよそ次のように定められている。
- なお、古い地図の中には『版権』と記されているものがあるが、これは『著作権』の旧称である。
不動産登記法による地図
不動産登記法第14条(地図等)には、
と定められている。地図という普通名詞では紛らわしいので、一般に法14条地図と呼ばれている。この地図は、地籍調査に基づいて作成された地籍図、土地区画整理事業や土地改良事業に基づいて作成された土地の所在図などの、精度の高い測量成果に基づいて作成されている。
登記所には、法14条地図の条件を満たさない、地租改正や、その後に作成された精度の低い同条第4項に規定する地図に準ずる図面がまだ多く存在している。この図面のことを公図と呼ぶ。公図は、筆の距離・面積・方位・角度が歪んでいるが、筆相互の隣接関係による配置は概ね信頼できるとされている。
測量法と地図
国土地理院およびその前身(例:内務省地理局・参謀本部陸地測量部)が発行した地図のときは、1890年(明治23年)に陸地測量標條例が施行されたときに遡って、測量法の規定が適用される。
注釈
- ^ 先駆的な例としてロンドン地下鉄路線図がある
- ^ このようにビットマップ形式以外のデータをビットマップ化することをラスタライズと言う。
出典
- ^ a b c d ブリタニカ百科事典「地図」
- ^ 靑野寿郎・保柳睦美監修『人文地理事典』 p.37 1951年 古今書院
- ^ 柴崎 (2008):34ページ
- ^ a b c 靑野寿郎・保柳睦美監修『人文地理事典』 p.38 1951年 古今書院
- ^ 竹内・杉浦 編 (2001):316ページ
- ^ 灰谷 (1958):17 - 18ページ
- ^ 灰谷 (1958):20ページ
- ^ 靑野寿郎・保柳睦美監修『人文地理事典』 p.181 1951年 古今書院
- ^ 飯田剛彦「古代の地図」館野和己・出田和久 編『日本古代の交通・流通・情報 3 遺跡と技術』(吉川弘文館、2016年) ISBN 978-4-642-01730-5 P322-353
- ^ ソ連発表の地図に異変 西部の町、鉄道位置が大移動 核攻撃を想定し偽装?『朝日新聞』1970年(昭和45年)2月4日朝刊 12版 14面
- ^ a b c d e f g h i 靑野寿郎・保柳睦美監修『人文地理事典』 p.40 1951年 古今書院
- ^ 靑野寿郎・保柳睦美監修『人文地理事典』 p.40-41 1951年 古今書院
- ^ a b c d e f g 靑野寿郎・保柳睦美監修『人文地理事典』 p.41 1951年 古今書院
- ^ Google マップ ベータ
- ^ goo 地図
- ^ Yahoo!地図
- ^ MapFan Web
- ^ マピオン
- ^ Bing Maps
- ^ NAVIEW
- ^ FLASH EARTH
- ^ MAPION LABs
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