土工 名称問題

土工

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 10:08 UTC 版)

名称問題

江戸時代に生まれた呼称「土方(どかた、つちかた)」(ドカタ(主としてインターネット掲示板で表記される)、ドカチンとも称される)は、土建屋という呼び方と共に差別用語および放送禁止用語と扱われることがある。しかし「方」は古来より火付盗賊改方、各々方および奥様方など、敬称として用いられていたため、本来は「土方」にも差別的意味合いはない。

かつては、馬方(陸運荷役)や船方(水運荷役)など、様々な職業において下働き、雑役および重労働を担う職業が存在したが、昭和30年前後から、モータリゼーション機械化に伴い、職業としても名称としてもほとんど見られなくなった。しかし、地業に係わる細部についてはどうしても人の手が必要であり、これが馬方や船方などの名称と併せて土方という名称に集約された。

田中角栄尋常高等小学校を卒業後、土木の仕事をしていたが、工事現場でとある老爺に言われた「土方、土方というが、土方はいちばんでかい芸術家だ。パナマ運河太平洋大西洋をつないだり、スエズ運河地中海インド洋を結んだのもみな土方だ。土方は地球の彫刻家だ」という言葉に感銘を受けている。

名称問題の要因

主因
建設業、電力鉄道又はイベント業者などの業種に対し、手配師と呼ばれる者、ヤクザ又はその企業舎弟似非右翼、似非人権団体、在日外国人など、かつての鳶職などにおける顔役が、自らの組織に属する者や同胞である不法就労者、債務者又はドヤ街に住む者を直接又は自前のタコ部屋に住まわせ、半ば強制的に日雇い契約で土工として派遣した。これが労働者派遣法違反と扱われ、土方と呼称された。[要出典]このように、土方と呼ばれる人たちには、住所と契約などの一種の身分的不安定のイメージがついている。
社会的認識
戦前戦後の成長期に、日雇い労働者を中心とした建設業従事者に対する以下のようなイメージが、土方という言葉を差別用語として忌避する原因となった。[要出典]
  • きつい・汚い・危険、いわゆる3K
  • 手配師と呼ばれる暴力団などとの癒着から、過重労働およびサービス残業(長時間労働)の強制・監禁労働および飯場(僻地の場合もある)と呼ばれる粗末な生活環境で働くこと。
  • 犯罪者捜査から逃れるために飯場を隠れ蓑にすること。
  • 地方公共団体(自治体)で余った予算(税金)を消化するため、年度末(毎年2月~3月頃)に集中して行われる季節労働とそれに伴う行政との癒着。

上記のようなイメージの連想から、IT業界で働いている者が、豊富な知識・技術と比較し、割に合わない低賃金の労働現場に仕える自らを卑下してIT土方と呼ぶことがある他[1]、生物系の大学を卒業したにもかかわらず博士研究員を続ける又はこれに関連した派遣業に従事している者をピペット土方と呼ぶことがある。[2]またインターネットスラングとして、援助交際性風俗店売春して生計を立てている者をドカタと呼ぶことがある。

その反面、大型工作機械を自由に動かしたり、緻密な計算と職人技術、純粋な成果主義と他の職業よりも高収入を得る可能性からメタルカラーと呼ばれ、バブル景気崩壊後、会社勤めを嫌った若者があえて建設業界に従事するケースも多い。日本の優れた建設技術を支えているのは自分達という自信と誇りから、建設業従事者の中には自ら土方又はガテン系と称する者も現れている。[要出典] なおブルーカラーといわれることもある。

女性作業員の名称

土木業界で働く女性(主に技師)の通称として、2010年代頃から土木系女子(ドボジョ)などの名称が使われだし『ドボジョ!』のような漫画のタイトルにもなったが[3]、2014年10月に日本建設業連合会ではドボジョに代り公募で選ばれた「けんせつ小町」を愛称とすることを発表している[4]。ただネーミングセンスがないとの意見も多い[5]

その他の名称問題


注釈

  1. ^ 土木構造物は人類が文明社会を築き始めたときから存在してきたもので、古くはエジプトのピラミッドや日本の古墳のように権力の象徴として築かれた。また、ピラミッドや古墳のように王の権力の象徴として築かれたものとは別に、初期の土木構造物には万里の長城のように軍事目的で建設されたものも多い。古代ローマでは非常に大がかりな土木工事が行われた。例えばアッピア街道アッピウス・クラウディウス・カエクスの命により幅3.6mの道路をローマからカプアまでの約200kmにほぼ一直線に建設するという大規模なものであった。幅3.6mは兵士が三列縦隊できる長さを基準としたもので、幹線となる道路では馬で引く戦車が通行できる12mの幅員がとられていた。古代ローマで建設された道路は約600年の間に延べ8万5000kmに達した。(溝渕利明『コンクリート崩壊』PHP新書、2013年、132-136頁。 
  2. ^ 「電気土木」「通信土木」という語は、一般に「地下構造物を対象とする土工」のみを指す場合が多い。架空構造物を対象とする土工は、ケーブル架渉や装柱設備の取付けなどと併せて「外線工事」と称される。

出典






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