圓 日本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 15:19 UTC 版)

日本

貿易一圓銀貨、1871年
一圓金貨、1872年

江戸時代の貨幣制度は金、銀、銭の三貨が併行流通するというものであり、それぞれの単位は「、分、」、「」、「」であった。しかもそれぞれが変動相場で取引され、金貨は四進法と複雑なものであった。開国により通貨の国際化を迫られた幕府慶應2年(1866年)の改税約書において国外から持ち込まれる金銀貨を日本の貨幣に改鋳することを請求できる自由造幣局の設立を確約した。

明治2年3月4日(1869年4月15日)、京都で開催された‌議事院上局会議において大隈重信は「親指と人差指の先で丸をつくると三歳の童児でもそれが貨幣を意味していることがわかる」と発言したとされ、このことが「圓」の名称は円形の新貨幣の形状に由来しているとの俗説を生んだとされるが[5]、先の銀圓の由来からすれば単に俗説として切って捨てるべきものでもない。また『古事類苑』には「一両ヲ一圓…ト云フガ如キハ、徳川時代、漢字書生間ノ通語ナリキ」と記されているように、江戸時代後期には一部の知識人の間で両を圓と呼ぶ風習が普及していたという[1][5]。新貨幣の通貨単位として「圓」が採用されることとなり、この日付は明治2年3月4日とされる。しかしその議決書には「…各国通行ノ制ニ則リ百銭ヲ以テ一元ト定メ…」と記されていた[6]

また圓は「Yen」と表記されるが、なぜ「En」でなかったかは定かでない。しかし「En」では「イン」と発音される恐れがある、「十円」を「Ten en」と表記すると「テネン」と発音される恐れがある、あるいは三文字とした方が安定感があるとの説がある[1]

明治2年7月12日(1869年8月19日)の高輪談判では日本政府は近代貨幣制度に移行することを確約した。明治3年11月12日(1871年1月2日)太政官裁定において、一圓銀貨を本位貨幣、金貨その他を補助貨幣とする案がまとめられたが、明治3年12月29日(1871年2月18日)、アメリカに出張中の伊藤博文は、「現在、世界の大勢は金本位に向かいつつあり」と伊達宗城大蔵卿に対し建言し、金本位制が採用されることとなった。

明治4年5月10日(1871年6月27日)には近代的な貨幣制度を定めた新貨条例が制定された。新貨条例において、新貨幣の呼称は圓を以て起票とし、一圓金を原貨と定め一圓金は1.5グラムの純金を含むことが規定された。通貨補助単位は圓の1/100が「錢(Sen)」、1/1000が「厘(Rin)」であった。また貿易取引専用に香港の一圓銀貨と同じ量目、品位の貿易一圓銀が発行された。すなわち新貨条例には2つの「圓」が規定され、当初貿易一圓銀100圓は金貨101圓に等価と定められた。旧一両は新貨幣一圓と等価に定められ、通貨単位の移行は比較的スムーズなものとなった。

明治30年(1897年)10月1日に施行された貨幣法では「純金ノ量目二分(0.2匁、0.75グラム)ヲ以テ価格ノ単位ト為シ之ヲ圓ト称ス」と金平価が半減することとなった。

第二次世界大戦の敗戦による戦後インフレーション対策として昭和21年(1946年)3月3日には新円切替が実施された。昭和21年(1946年)11月16日には国語審議会常用漢字表を作成し、「圓」は新字体では「円」と表記されることとなり、硬貨では昭和23年(1948年)発行の一円硬貨および五円硬貨日本銀行券では昭和25年(1950年)発行の千円紙幣より「円」の表記となった。中華圏では、「日圓」あるいは「日元」と表記される。


  1. ^ a b c 刀祢館正久 『円の百年―日本経済側面史』 朝日選書、1986年
  2. ^ 三上隆三 『江戸の貨幣物語』 東洋経済新報社、1996年
  3. ^ a b Chester L. Krause and Clofford Mishler, Colin R. Brucell, Standard catalog of WORLD COINS, Krause publications, 1989.
  4. ^ 貨幣制度調査会 『貨幣制度調査会報告』 1895年
  5. ^ a b c 三上隆三 『円の社会史―貨幣が語る近代』 中公新書、1989年
  6. ^ 明治財政史編纂会編 『明治財政史(第11巻)通貨』 大蔵省編纂、1905年
  7. ^ a b 『明治大正財政史(第13巻)通貨・預金部資金』 大蔵省編纂、1939年
  8. ^ モンゴル科学アカデミー歴史研究所『モンゴル史』恒文社1988, pp.245-246
  9. ^ 平石国雄、二橋瑛夫 『世界コイン図鑑』 日本専門図書出版、2002年



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円(まどか)

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