園城寺 黄不動

園城寺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 23:57 UTC 版)

黄不動

国宝指定名称は「絹本著色不動明王像」。通称「黄不動」と呼ばれ、高野山明王院の「赤不動」、青蓮院の「青不動」と共に日本三不動の1つに数えられる、古来著名な画像である。「金色(こんじき)不動明王」とも呼ばれるこの像は、承和5年(838年)、比叡山で籠山修行中の円珍(当時25歳)の前に忽然と現れ、「自分は金色不動明王である。仏法の真髄を伝える汝(円珍)を守護するために現れた。」と告げたとされる。その後、この不動明王は、円珍が唐への航海の途上、海賊に襲われそうになった時に出現するなど、円珍の生涯の危機に際して現れたとされ、円珍の守護神的な性格をもっていたと思われる。

画面の大きさは178センチ×72センチ。平安時代初期、9世紀頃の制作と推定されているが、近年修復が行われ唐時代の作とする説も出ている。不動像は両眼をかっと見開き、上半身裸形、筋骨隆々とした姿に表される。背景を描かず、像は画面一杯に描かれる。像の足下には台座がなく、虚空を踏まえている。頭髪に弁髪を造らない点など、通常の不動明王像とは図像的にかなり異なるものである。

三井寺では宗祖ゆかりのこの像を厳重な秘仏としており、出版物への写真掲載を厳しく制限している。かつては伝法灌頂という密教の儀式を受けた者にのみ黄不動像の拝観が許されていたが、昭和時代以降、在家の一般信者も参加できる「結縁灌頂」という儀式が何度か実施され、その際に黄不動像拝観の機会が与えられた。20世紀後半以降、黄不動像が公開された機会は以下の通りである。

  • 1954年昭和29年) - 東京日本橋高島屋において結縁灌頂と記念秘宝展開催。
  • 1973年(昭和48年) - 横浜高島屋において結縁灌頂と記念秘宝展開催。
  • 1989年平成元年)10月から1990年(平成2年)9月 - 東京国立博物館など4会場で「智証大師一千百年御遠忌記念三井寺秘宝展」開催。
  • 1990年(平成2年) - 寺内で「智証大師一千百年御遠忌大法会」が行われ、11月6日から11月12日の7日間、結縁灌頂受者に限り黄不動像拝観が許可された。
  • 1995年(平成7年)5月 - 奈良国立博物館開館百年記念「日本仏教美術名宝展」に黄不動像を1週間だけ展示。なお、特別展図録には黄不動像の写真は掲載されなかった。
  • 2008年(平成20年)11月から2009年(平成21年)5月 - 智証大師帰朝1150年記念「国宝三井寺展」(大阪市立美術館、サントリー美術館、福岡市博物館を巡回)に出展。
  • 2010年(平成22年)10月9日から10月31日 - 「大津市歴史博物館開館二〇周年記念 大津国宝への旅」に出展。







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