国璽 大韓民国の国璽

国璽

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/01/21 04:11 UTC 版)

大韓民国の国璽

大韓民国の国璽は、大統領令である「国璽規定」に基づき、憲法公布文の全文、重要な外交文書や勲章・褒章証及び国家公務員任命状などに使われる。現在の国璽は5代目で、2011年10月25日から使用されている。印文は訓民正音ハングル)で「대한민국 (大韓民国)」と横書き(2行横書で上側が「대한 (大韓)」、下側が「민국 (民国)」)で刻されている。

初代
初代国璽は大韓民国が建国された翌年の1949年5月に製作され、1962年末まで使用されたが、この国璽は行方不明となっている[11]。6.6cm四方の正方形で、印文は漢字篆書で「大韓民国之璽」と彫られていた。握り部分の形状はの形とされるが、文化広報部(当時:現在の文化体育観光部)が国家記録院に渡した1958年の写真資料では、握り部分がの形をしており、デザイン自体も不明である。追跡調査で、国璽の製作所がソウル市中区忠武路の「天上堂」である事が判明している[11]。なお、行方不明の初代国璽を見つけるため、懸賞金をかけると報道されている[12]
2代目
第2代国璽は1962年に製作され、1963年から1998年末まで使用された。7cm四方の正方形で、印文はハングル篆書体で「대한민국 (大韓民国)」と横書きで彫られている。材質は製、把手にはの模様が施されている[13]。初代国璽を紛失したため、以降、役目を終えた国璽は国家記録院で永久保存されている[14]
3代目
第3代国璽は1999年1月26日に政府樹立50周年の記念事業の一つとして行政自治部(当時:現在の行政安全部)の依頼で製作された。10.1cm四方の金印で重量は2.15Kg、印文の字体は「訓民正音」の版本体で、把手には一双の鳳凰無窮花の花びらを口に挟み天を舞う姿が施されている。3800万ウォン相当(当時)の18金を使用して韓国科学技術院で製作された[13]。金75.2%、銀11.8%、銅11.6%、亜鉛1.4%の18金製で、1999年当時で5450万ウォンの製作費が掛かった。行政安全部によると、第3代国璽は年平均1万6000回使用され、9年間で14万4000回前後使用された[14]。国家公共記録物の保存・管理実態調査の一環として、2005年に韓国原子力研究院に送って精密検査を行ったところ、国璽にひびが入っている事が判明したため[15]、新しく製造される事となった。第3代国璽は1999年2月から2008年2月21日まで使用されていた。なお第4代国璽が廃棄されたため、第5代国璽が造られるまで第3代国璽をレーザー溶接で補修して使用した[16]
4代目
第4代国璽は、2005年10月に製作することが決定され、2006年3月に国璽製作諮問委員会の設置、同年9月から11月の一般公募(国璽模型国民大賞)などを経て、書体(訓民正音体)や製作方法、諸元、製作者に玉璽篆刻匠人の閔弘圭(ミン・ホンギュ)を決定した後、2007年4月から製作が行われた。2008年1月30日に「第4代国璽献呈式」が行われ、「国璽製作団」から第4代国璽及び国璽儀装品16種が引き渡された。鳳凰が座した形の把手が施され、縦横高さはそれぞれ9.9cm、材質は前回と同様に金合金である。また、韓国原子力研究院で実施された非破壊検査でも問題ないことが判明している[17]。総製作費は2億2000万ウォンと報道されている。
2010年8月20日、第4代国璽の製作団は伝統方式ではなく現代式で国璽を製作し、さらに余った金を横領していた疑惑に関連して韓国警察庁が調査に着手した。また余った金で印鑑を作り、公職者に提供した疑いも出ている[18]。閔弘圭は当初、伝統方式で作製したと疑惑を否定していたが、9月2日の取調べで「京畿道利川にある作業場の電気窯で製造した」、「国璽を製作する伝統技法は知らない」と証言した[19]。10月4日に行われた国会行政安全委員会国政監査で、孟亨奎行政安全部長官は国璽にハングルで刻まれた『大』の字の下に閔弘圭の名前が漢字で刻まれているのを発見したことを明らかにした[20]。その後、警察による調査で、国璽の取っ手の鳳凰のくちばしの下に閔弘圭の姓が漢字で刻まれていることや、鳳凰の尾の内側の左右に、縦書きで「太平年」「万歳璽」という字が刻まれていることが明らかになった[21]
2008年2月22日から使用されていたが、上記の事件に伴い廃棄された。
5代目
2011年10月4日、第5代国璽が公開された。縦横高さはそれぞれ10.4cm、重さは3.38kg。金2.6kgに銀、銅、亜鉛などを加えた合金で制作されており、強度を高め亀裂を防ぐイリジウムも含まれている。持ち手には一対の鳳凰とムクゲがあしらわれており、印文の「大韓民国」の文字は訓民正音解例本の書体に従っている。内部は空洞となっており、持ち手部分と印文が一体で鋳造されている。制作費は2億1500万ウォン[22][23]

注釈

  1. ^ 強度を保つために金合金製(18金)とされる。
  2. ^ 国璽御璽鋳造・二条」の回達文書では方3寸だが、『法規分類大全第一編政体門三』や『皇室要典』では方2寸9分(約8.79cm)とされている。
  3. ^ 現存する銅印「日本政府之印」は縦横9.0cm。
  4. ^ 任官の際に渡される任命書。
  5. ^ 位階を授ける際に渡される文書。
  6. ^ 被叙勲者に勲章と共に与えられる証書

出典

  1. ^ 皇室のきょうかしょ vol.36 Archived 2014年12月3日, at the Wayback Machine.」、竹田恒泰
  2. ^ The Privy Seal and State Seal、The Imperial Household Agency(宮内庁)
  3. ^ 奈良勝司「徳川政権と万国対峙」『講座 明治維新』第2巻、有志社、2011年、pp.148-149。
  4. ^ 天皇御璽ノ印影ヲ彫刻ス」『太政類典第一編 第四十巻』
  5. ^ 「維新後印璽之制」『図書寮記録. 上編 巻二』
  6. ^ a b c 国璽御璽ヲ鋳造ス」『太政類典第二編 第四十二巻』
  7. ^ 御国璽ヲ彫刻ス」『太政類典第一編 第四十一巻』
  8. ^ 『太政官沿革志 印璽之制 三』
  9. ^ 褒状の例:米国ハリケーン「カトリーナ」被災者救援について日本国天皇より表彰されました住友建機、2007年4月23日ニュースリリース
  10. ^ a b c d 國璽(中国語)中華民国総統府
  11. ^ a b 大韓民国国璽1号はいったいどこに東亜日報、2005年10月29日
  12. ^ 政府、「行方不明の国璽1号」に懸賞金、東亜日報、2005年11月28日
  13. ^ a b 政府樹立50周年で国璽新調、民団新聞、1999年2月3日
  14. ^ a b 第三代國璽被國家記錄院決定永久保(中国語)聯合ニュース、2008年3月23日
  15. ^ 「ひび入った」国璽、新しく作る中央日報、2005年9月22日
  16. ^ 第3代国璽、レーザーで溶接して復元、東亜日報、2010年11月20日
  17. ^ 第4代国璽と国璽儀装品がついにその姿を Archived 2016年3月5日, at the Wayback Machine.、Dynamic Korea、2008年1月31日
  18. ^ 国璽製作疑惑と政官界への金印鑑提供、警察が捜査に着手、東亜日報、2010年8月21日
  19. ^ 国璽ロビー疑惑:閔弘圭氏「伝統技法は知らない」「うそをついて申し訳ない」(2010年9月3日時点のアーカイブ)、朝鮮日報、2010年9月2日
  20. ^ 「ミン・ホンギュ容疑者、国璽に自分の名前を刻んでいた」、中央日報、2010年10月5日
  21. ^ 国璽ロビー疑惑:閔容疑者、取っ手に自分の名前を刻む(2015年7月14日時点のアーカイブ)、朝鮮日報、2010年10月15日
  22. ^ これが韓国の第5代国璽、中央日報、2011年10月5日
  23. ^ 新しい国璽が完成KBS WORLD Radio、2011年10月6日


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