四輪駆動 歴史

四輪駆動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/19 05:03 UTC 版)

歴史

最初の四輪駆動車は、1805年にアメリカメリーランド州のオリバー・エバンスが製作した浚渫船(しゅんせつせん)だとされている。浚渫船を製造した工場から陸路を輸送するために、船に車輪が取り付けられ、蒸気機関の動力をベルトで前後輪に伝えることで走行した。それ以降も蒸気機関を使用した四輪駆動車は製造された。1824年イギリスロンドンでウィリアム・ヘンリー・ジェームズによって作られた蒸気自動車は、四輪それぞれにシリンダーを持ち、デフを用いずに各輪の回転差を吸収するようになっていた。

電気モーターを使用した四輪駆動車も1900年ごろ作られている。フェルディナント・ポルシェが開発した「ローナーポルシェ」は、インホイールモーターと呼ばれる、各輪のハブに駆動用モーターを内蔵する方式で四輪駆動としていた[注釈 3][3]

ガソリンエンジンを用いた初の四輪駆動車SPYKER

ガソリンエンジンを使用した四輪駆動車は、1902年オランダのスパイカー兄弟によって作られた「SPYKER」が最初である。この車は、前進3速・後進1速のトランスミッションと、2速のトランスファーおよびセンターデフを介し、四輪を駆動する設計で、現代のフルタイム式四輪駆動車と基本が同じという画期的なものであった。

1903年には、ダイムラーの子会社であるオーストリア・ダイムラー社で、四輪駆動装甲車が開発された。この車は装甲と37 mm機関砲を装備した砲塔を持ち、前進4速・後進1速のトランスミッションとトランスファーを介して四輪を駆動した。またダイムラー本体でも、ドイツの植民地だったナミビアの駐在員のベルンハルト・デルンブルクの生活の足のために、1907年に四輪操舵の四輪駆動車「デルンブルク・ワーゲン」を開発。ダイムラー・ベンツとなった後、1926年からトラックや軍用に4×4や6×4、6×6、8×8などの駆動システムを開発して技術を洗練させていった。これが現在のGクラスウニモグにも繋がっている[4]

ダイムラーのデルンブルグ・ワーゲン

アメリカでは1905年にトライフォード・モーターカンパニーが製造したのが最初だが、大量生産に成功したのはフォー・ホイール・ドライブ(FWD)社であった。同社の3トンの「モデルB」は、第一次世界大戦中はジェフリー・モーター・カンパニー(ランブラー自動車の当時の社名)は四輪駆動トラックの設計・製造するクワッド・トラック(Quad Truckまたはジェフリー・クワッド、ナッシュ・クワッド)と共に、欧州で戦う連合軍に提供され、ジョン・パーシング指揮の下、重量級軍用用途に用いられた。四輪駆動に四輪ブレーキ・四輪操舵まで兼ね備えたナッシュ・クワッドは15年に渡って4万台以上が製造された。

なおフォード・モデルTにおいても1910年代以降に四輪駆動キットが販売され、四輪駆動化された車輌があったが、これは、走破性向上のためというよりも、もっぱら駆動輪である後輪にしか働かないエンジンブレーキを前輪にも作用させるためであった。

九五式小型乗用車

日本においては1935年頃、前年に帝国陸軍が依頼し日本内燃機が開発した九五式小型乗用車(くろがね四起)が登場した。九五式小型乗用車はアメリカ軍ジープに先駆けて開発・量産された日本初の実用四輪駆動車であり、1936年から1944年まで計4,775台が生産され、日中戦争ノモンハン事件太平洋戦争などで偵察・伝令・輸送用に幅広く使用された。

1941年、アメリカにジープが登場した。ドイツ軍キューベルワーゲン(二輪駆動車。1940年頃登場)に相当する軍用車両として、アメリカ陸軍の仕様に対し各社の試作の中からバンタム(英語版)社の案が採用されたものだった。バンタム社は当然自社での生産を望んだが、実際には生産設備の規模や品質からほとんどがウィリス(英語版)社とフォード社に発注され製造された。ジープは戦場の悪路を走破するための自動車として有益であることが第二次世界大戦で実証され、大量生産を経て連合軍に供給され世界各地を走破した。ジープの活躍はそのため世界各地で注目を呼んだ。日本でも陸軍が南方戦線で鹵獲したバンタム・ジープを日本に持ち帰り、「ボディは似せないこと」という注文付きで製作するようトヨタ自動車に依頼したが、まもなく敗戦となった。この戦争自体は不幸なものだったが、結果的には四輪駆動に必要なデファレンシャルギアや等速ジョイントの技術を大きく進歩させることとなった。

フォード・F-150

戦後は軍用で磨かれた四輪駆動システムを民間のトラックや市販車市場に流用する動きが活発になった。特に米国ではジープが躍進し、GMとフォードもピックアップトラックやSUVなどでこれに追随。現在まで続くシボレー・ブレイザーフォード・ブロンコ、Fシリーズなどが生まれた。

カイザー・ジープ社は、ジープの四輪駆動技術をステーションワゴンに搭載したジープ・ワゴニアや、そのV8エンジン版となるスーパーワゴニアを発売した。その後もジープは親会社を転々と変え続けながら、米国のアウトドアブームに乗ってAMC・イーグルジープ・チェロキーといった四輪駆動車のヒット作品たちを世に送り出すことになる。またビッグ3のロビー活動によってピックアップトラックが税制上優遇されたこともあり、ますます人々にとって四輪駆動車は身近なものになっていった。

ルノー・R4をシンパーが改造した「レーシングR4」

欧州では戦後ローバー社が高級SUVの先駆けとなるランドローバーを登場させた。最初はジープの模倣であったが、1970年にレンジローバーが登場し、現在の高級SUVの先駆けとなった。1979年にはメルセデス・ベンツ・Gクラスも発売された。

フランスのシンパー社は、1960年代からルノーの乗用車を四輪駆動のオフローダーに改造する事業を行っており、特にスイスの山岳地帯ではスバルが欧州に進出するまでの間重宝された。

1960年代にBMCアレック・イシゴニスは、当時発明したばかりのイシゴニス式前輪駆動の技術を流用して四輪駆動車のオースティン・アントを開発していたが、1968年に会社が合併してブリティッシュ・レイランドとなった際、ランドローバーとの共食いになると見做され、計画自体が消失した[5][6]

三菱・ジープ

日本でも戦後、民間でも悪路を走破する車の需要が高まったが、当初は軍用車の払い下げや、似せて作った国産ジープ型車両程度の選択肢しかなかった。それでも、戦前1930年代以前)の自動車しか知らない当時の日本人にとって、ジープの技術や品質は、アメリカの技術的進歩を伝えるものだった。1953年に新三菱重工業(→三菱重工業→三菱自動車工業)は、ウイリスオーバーランド社のジープを警察予備隊向けにノックダウン生産した。自社開発のトヨタ・ジープ (後にランドクルーザーと改名)と日産・パトロールは警察予備隊の入札で三菱に敗れたため、国家地方警察向けや民需の道を開拓した。三菱・ジープはその後日本でも開発したモデルを加えていき、防衛庁以外にも販路を広げ、独自の進化を遂げながら1998年まで生産された。「ジープ」は小型四輪駆動車全般の代名詞としても使われるようになった。

スバル・レオーネ1600 4WD

1967年ホープ自動車軽自動車(当時は360cc)枠で本格的な四輪駆動車「ホープスター・ON型4WD」を発売した。この車両は後の「スズキ・ジムニー」の前身であり、四輪駆動車=大排気量車という形式に一石を投じた。そして1979年にスズキ(1990年9月以前は鈴木自動車工業)はアルト、1981年にダイハツミラにそれぞれパートタイム式四輪駆動グレードを設定することになる。一方富士重工業(現・SUBARU)は「ジープより快適で、通年使用可能な現場巡回用車輌」という東北電力の依頼を受け、「スバル・ff-1 1300Gバン」に、日産・ブルーバードのリヤアクスルを装着したパートタイム4WDの「スバル・ff-1 1300Gバン4WD」を製作。1972年レオーネ1400エステートバン4WDとして発売された。これはスバルが、水平対向エンジン+四輪駆動の組み合わせをシンボルとするブランドへの道を歩み始めるきっかけとなった。このように軽自動車規格や乗用車との組み合わせにより安価に四輪駆動車を入手できるようになり、豪雪地帯の日本でも一般人への普及が進んだ。

マツダ・ファミリア4WDターボ

また1970年代の米国のカウンターカルチャーの影響を受けた日本ではアウトドアブームが起こり、四輪駆動車やクロスカントリーカーが流行した。この時点で、後のRVという日本仕様のレジャー車両の概念が形成されはじめた。1984年にはクロカン車としての悪路走破性を保持しつつ乗用車としての扱いやすさを両立させ、乗用クロスカントリー車の先駆けとなった三菱・パジェロが発売され、四輪駆動車が一気に身近な存在となった。1985年には横置きエンジンでは世界初となるフルタイム四輪駆動を搭載した3代目マツダ・ファミリアが登場し[7]、センターデフを持つ常時四輪駆動技術が乗用車でも一般的になり始めた。1986年には日産・サニー、1987年にはトヨタ・カローラホンダ・シビックでそれぞれフルモデルチェンジに合わせて、横置きエンジンのフルタイム又はスタンバイ式の四輪駆動グレードが追加され、幅広い車種への普及が一気に進んだ。

ジェンセン・FF
日産・GT-R NISMO

高性能スポーツカーGT向けとしては、英国のジェンセン・モーターズ社が1966年に量産GTカーとして初めてフルタイム式四輪駆動を採用したFFを発売したが、オイル・ショックや仕様の問題などもあって、市販車のトレンドに影響を与えることはできなかった。FFから10年以上後の1980年にアウディ・クワトロが登場したことで、ようやく高性能スポーツカー向けの四輪駆動技術が普及し始めた。90年代まではグループBグループAのような競技用ホモロゲーションモデルを除けば、BMW・ポルシェ・ランボルギーニのごく一部に採用されるのみであったが、00年代以降にはかつて後輪駆動をアイデンティティとしていたブランドたちも、高性能化のシンボルとして四輪駆動を搭載したモデルを続々と発売するようになった。

こうした流れの末に、現在では様々な車種に四輪駆動のグレードが設定されている。四輪駆動は安全というイメージを売るメーカーのマーケティングの成功や、数十年単位で続くSUVブームもあって、2013年の米国の四輪駆動車の販売比率は32%となった[8]。日本の軽自動車の四輪駆動比率は乗用・商用合算で2〜3割[9]北海道の乗用車全体の四輪駆動比率は7〜8割にも及ぶ[10]。かつて後輪駆動(FR)をブランドアイデンティティとしていたBMWは現在、「X-DRIVE」と呼ぶ四輪駆動グレードがほぼ全車にラインナップされており、販売の1/3を占めている[11]


出典

  1. ^ Appendix J Technical lists Drawings Ust of homologated vehicles and engines
  2. ^ 世界有数の豪雪地帯を抱える日本の風土が育てた「4WD」の選び方 2016.2.22 森口将之
  3. ^ ポルシェ博士の電気自動車
  4. ^ The Legend of MERCEDES-BENZ 4×4(前編)
  5. ^ The secret story of Ford’s four-wheel drive Capri
  6. ^ Austin Ant: Ant Hill Mob
  7. ^ 日本初のフルタイム四駆はマツダだった!AWDと言えばマツダとなる可能性が高い2つの理由 cliccar 2016年1月7日
  8. ^ All-Wheel-Drive Vehicles Grow in Popularity With Car Shoppers
  9. ^ 4WD軽四輪車販売台数の月別・車種別推移
  10. ^ 16年道内乗用車登録、4WD車比率8割に迫る
  11. ^ BMW all-wheel drive is older than you think
  12. ^ かつて「ワンボックスカー」と呼ばれた車種。
  13. ^ 輸入車のフルタイム4WDってどうなの? さまざまな制御で個性はあるか 2017.10.03 / エンタメ ベストカーWeb編集部
  14. ^ トヨタ新型RAV4の「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は何が世界初なのか
  15. ^ サーキットで無双したR32GT-Rの4WD「アテーサE-TS」! なんと同じ仕組みを京商のラジコンが先に採用していた
  16. ^ a b 『Racing On Archives Vol.16』P124 三栄書房刊行
  17. ^ 川井ちゃん、右京さん、これがWECで戦ってるクルマ(TS050 HYBRID)なんですよ! TOYOTA GAZOO Racing公式サイト 2021年8月1日閲覧
  18. ^ Marque Time THE IRISH TIMES 2022年1月22日閲覧
  19. ^ 1932 Miller FWD Special Roadster Vehicle Profile CONCEPTCARS 2022年1月26日閲覧
  20. ^ [1] SPEEDWAY MOTORS MUSEUM OD AMERICAN SPEED 2022年1月16日閲覧
  21. ^ René and the Beast – the Bugatti Type 53 Collier 2022年2月1日閲覧
  22. ^ FWD Butterball Special Race Car Share Tweet SPEED VILLE 2022年1月22日閲覧
  23. ^ Archie Butterworth Hr'22 2022年1月16日
  24. ^ 1932 Miller FWD Special Roadster Vehicle Profile CONCEPTCARS 2022年2月1日閲覧
  25. ^ 英国史上最高のドライバー、スターリング・モスの軌跡たどる マセラティとともに ライブドアニュース 2022年1月16日閲覧
  26. ^ ヘリ用のガスタービンエンジンを搭載!?時代が生んだ異色のレーシングカーに迫る Motorz 2021年8月1日閲覧
  27. ^ F1では禁止の四輪駆動 トーチュウF1エクスプレス 2010年7月26日
  28. ^ The Cosworth F1 car and the history of four-wheel-drive in motor racing
  29. ^ 2021年1月30日閲覧
  30. ^ Do you notice anything unusual here?
  31. ^ 伝説の野心作!2ストエンジンを4基積んだ4WD「マックスイットスペシャル」が色々とスゴい! Motorz 2021年11月5日閲覧
  32. ^ Vintage American Road Racing Cars 1950-1969
  33. ^ HOW A JEEP LED TO THE FIA’S INFAMOUS 4WD BAN
  34. ^ TRIUMPH 1300
  35. ^ Rallycrossing a 4WD DAF
  36. ^ The secret story of Ford’s four-wheel drive Capri
  37. ^ DAF-Club Deutschland e.V. (DCD)
  38. ^ DAF 555 Sportcoupe Het experiment met motorvermogens en sterkere variomatic
  39. ^ 50 jaar terug in de tijd met Jan de rooj
  40. ^ FORD'S BAJA TRUCK HISTORY HELPED BUILD THE F-150 RAPTOR INTO THE OFF-ROAD WEAPON IT IS TODAY
  41. ^ BUILDING THE PERFECT TROPHY TRUCK WITH JERRY ZAIDEN
  42. ^ This Stupidly Strong Truck Might Bring 4WD Back To Off-Road Racing
  43. ^ 2WD Prerunners or 4WD Prerunners Which is Better
  44. ^ かつてラリーで無敵を誇ったアウディの4WDシステム「クワトロ」の秘密とは
  45. ^ THE FORGOTTEN RELATIVE OF THE LEGENDARY AUDI 90 QUATTRO IMSA GTO DRIVETRIBE 2021年11月5日閲覧
  46. ^ Dakar Rally ダカール・ラリー 1998
  47. ^ 『サンエイムック 日欧ツーリングカーのすべて』 2020年7月1日 三栄書房刊行より
  48. ^ JGTC RACE ARCHIVE
  49. ^ 1994年 スカイラインGT-R BNR32 NISMO公式サイト 2021年7月31日閲覧
  50. ^ 『Racing ON No.485』P126-131 2016年10月1日 三栄書房刊行
  51. ^ もはやGT400!?スーパーGT、GT300クラスにおいて、速すぎたマシンたちをご紹介します!Motorz 2022年9月26日閲覧
  52. ^ 【F1】 F1マシンの4WD化を議論 F1-Gate 2021年8月1日閲覧
  53. ^ F1に4輪駆動方式採用を望むフォルクスワーゲン Top News 2021年8月1日閲覧
  54. ^ Team Australia switches to AWD for Baja 1000
  55. ^ 8 TRENDS TO TRACK IN OFF-ROAD RACING
  56. ^ YAMAHA RAPTOR 700 vs. POLARIS SCRAMBLER 850
  57. ^ Why Aren’t All ATVs Four Wheel Drive? 2wd vs. 4wd

注釈

  1. ^ 積雪地で多数販売されるという性格上、四輪駆動モデルには寒冷地仕様を標準装備する車種・メーカーも存在する(日産・セレナなど)。
  2. ^ リアエンジン4WDポルシェ・911スバル・サンバー(3代目 - 6代目)、シュタイア・プフ社のハフリンガーなどに存在する。またミッドシップ4WDは、三菱・パジェロトヨタ・エスティマ(初代)、ホンダ・アクティスズキ・エブリイ(3代目)、ランボルギーニ各モデル、ブガッティ・ヴェイロンアウディ・R8などの例がある
  3. ^ 同車は二輪駆動仕様も存在している。発表は二輪駆動仕様の方が先であった
  4. ^ 嚆矢であるスバル・レオーネが、FFの駆動系統を延長してトランスファーを介して後輪を駆動したものである。なお、富士重工業(現・SUBARU)は初代レオーネ4WD発売当時、FR車を生産していなかったためリアアクスルの生産ノウハウがなく、当時系列企業だった日産自動車からブルーバードのものをOEM供給を受けていた。他社もトヨタ・スプリンターカリブなどこれに倣った。
  5. ^ いわんや三菱・ミニカ(4代目まで)とスズキ・カプチーノ、それにスズキのOEM部品で製造されているケータハムの軽モデルぐらいしかFRの例のない軽乗用車においてはジムニー以外存在していない
  6. ^ サンバーをベースにエンジンを1000ccとし、3列シート7人乗り乗用車とした車種。後1200ccとなった際にはワンウェイクラッチ式となったが、その後のフルモデルチェンジで後述のビスカスカップリング式となった。
  7. ^ 1970年代北米Can-amで鮒子田寛がドライブした「マックスイットスペシャル」、パイクスピーク・ヒルクライム田嶋伸博が用いたスズキ・エスクードパリ-ダカール・ラリーでヤン・デ・ローイが用いたDAF・ターボツイン、北米デザートレースにおけるガイザー・ブラザーズのトロフィートラックなどの採用例がある
  8. ^ 星野一義長谷見昌弘はJTC(全日本ツーリングカー選手権)の1989年シーズン向けに日産が開発したR32型スカイラインGT-Rを最初に目にした際に「ラリーカーじゃあるまいし、サーキットで四輪駆動なんて何を考えているんだ」と正面から否定したが、ひとたびドライブをするとこれは間違いなく最強の車だと掌を返して絶賛したと言われている。ただし長谷見は、アンダーステアが強くコーナーでアクセルが踏めない特性ゆえに楽しくはなかったとも後年語っている。
  9. ^ 改造範囲の広さ、コース特性、路面環境、勝利条件、コストや技術の水準、タイヤの規格や性能、速度域など
  10. ^ フロントエンジン車としてもF1史上最後の優勝記録である。モスはこのマシンをいたく気に入っており、引退後に「また乗りたい車」としてこのP99を挙げている
  11. ^ このうち1台のマイク・スペンスは予選の事故で死亡したため、決勝は3台体制であった
  12. ^ ブルース・マクラーレンはM9Aの感触を、「誰かに肘で小突かれながら、利き手ではない方の手でサインをしているようなものだ」と表現している。コーナーリングで内輪が浮き上がってしまうのを抑えようにも、フロントへの駆動系を追加したせいでサスペンションストローク量が制限されていたため、課題を解決できなかった
  13. ^ 後にジェンセン・モーターズ社との提携によるジェンセン・FFで、四輪駆動のセダンの市販を実現している
  14. ^ 元F1ドライバーのトニー・マーシュは、直進時は四輪駆動でコーナーリングだけ後輪駆動になるという極めて画期的な四輪駆動システムをヒューランドと共同開発し、1967年のチャンピオンシップを制覇した。しかしマーシュは、「実際にはこのシステムは作動せず、私が電磁クラッチを持っているという事実を人々に知らしめただけだった」と後に語っている。2度の選手権3連覇を達成したマーシュはモチベーションを失って撤退したため、この1年限りの参戦となった
  15. ^ 1300は元々四輪駆動化を前提に設計されていた。1300では叶わなかったが、四輪駆動は基本部品の多くを共通するポニーピックアップへと受け継がれた。
  16. ^ カプリの場合、同じカプリでもFRグレード(RS2600とRS3100)によるサーキットでの活躍の方が注目されたこと、フォードは当時製造する全てのFRクーペを十分に売り捌けていたことから、四輪駆動版カプリは需要やコストの上で余計なものと見做され、量産には至らなかった。四輪駆動の量産には新たな製造ラインが必要となるのもネックであった。しかし熱意ある支持者がファーガソン・リサーチと契約し、ごく少数が改造という形で製造された。
  17. ^ ベース車両はDAF・55。3つめの5は、グループ5規定を意味するものとしてつけられた
  18. ^ アウディとスバルは共に四輪駆動の乗用車の先駆けでもあるが、どちらも縦置きエンジン前輪駆動の構造を持った車を市販していたため、縦置きのギアボックスから駆動軸を後方に取り出し差動装置と後輪ドライブシャフトを追加するなどの加工で済み、比較的四輪駆動化しやすい構造であった。なおアウディのクワトロシステムは、センターにトルセンデフを用いた「セルフロッキング・ディファレンシャル」による機械式制御で、通常時は50:50のトルク配分となっていた。
  19. ^ 日産・200SX(シルビア)による。グループB時代もターマックでルノー・5ターボ、アフリカイベントでトヨタ・セリカツインカムターボなど、二輪駆動車が複数回のイベント総合優勝を記録している
  20. ^ バラストを電子制御を用いて動かし、加速時に後方へ移動させてトラクションを稼いだり、コーナーリングでも左右に動かしてロールを抑える「ムービングバラスト」が知られる。「これが無ければ四輪駆動勢には勝てなかった」と言われるほどに威力を発揮した。
  21. ^ イギリス・ドイツ・イタリア・スペイン・ベルギー・南アフリカ
  22. ^ この他、フォードも四輪駆動のモンデオで1995年のSTW(ドイツ・スーパーツーリング選手権)に参戦したが、資金不足で開発がままならず、1年で撤退している。
  23. ^ 軽量シャシーとワイドボディ、吸気リストリクター装着義務の無いエンジン、さらにアクティブデフやトラクションコントロールなどの電子デバイスで武装していた。
  24. ^ 二輪駆動バギーにはサスペンションストローク量の制限が無かった。また最低重量は四輪駆動勢より300kg軽く、吸気リストリクター径も大きめに設定された。加えてメーカーのプロトタイプ車両による参戦が1997年から2001年まで禁止されていたのも躍進の大きな要因であった。走破性では四輪駆動に一歩譲るが、フラットな高速ステージで圧倒的な速さを示した。
  25. ^ そもそもスカイラインGT-Rが四輪駆動を採用したのは、出力に対してタイヤが細い(265mm)グループAのレギュレーションに対応するためであり、太いタイヤ(300mm以上)が履ければ自ずと必要性が下がることになる。なお長谷見昌弘は試しにR32の前輪への駆動を切って二輪駆動状態で走ってみたらスポーツランドSUGOで1秒速くなったと明かしており、事実1994年のR32勢は予選では5戦中4戦で二輪駆動が四輪駆動を上回った。しかし決勝は全戦ドライコンディションながら、四輪駆動の影山正彦が安定して高い順位でポイントを稼ぎチャンピオンとなった。
  26. ^ グループGT3/GT4TCR/eTCR、LM-GTEクラス1、NGTC(BTCCの独自規定)など
  27. ^ ただし元々上りは後輪への荷重が強いこともあり、欧州のヒルクライムのオープンホイールやプロトタイプスポーツカーは、フロントを軽くでき駆動損失の少ない二輪駆動が主流である。高地で空力効果の薄いパイクスピーク・ヒルクライムでは四輪駆動のメリットが活きやすいが、2012年の全面舗装路化の影響もあって、勢力図次第では超軽量な二輪駆動車が総合優勝を収めるケースも多い
  28. ^ ワークス格ではプジョー・スポールX-raid MINIトヨタ・南アフリカ双竜自動車吉利汽車。この内トヨタは開発のみで実戦投入はしなかった。
  29. ^ トラクションに優れる四輪駆動であれば80%の全開率、あるいは多少のミスがあっても二輪駆動の100%と同等のペースが実現できることから、信頼性上むしろ優れている可能性があることが分かっている
  30. ^ トップコンストラクターの一つであるメイソン・モータースポーツは等速ジョイントを垂直に配置する独自の機構でサスペンションストローク量を確保した。基本は二輪駆動で、加速時に後輪のスリップを検知することで前輪を駆動するスタンバイ式である
  31. ^ ラプター700Rは出力45馬力/乾燥重量425ポンドに対して、ポラリス・スクランブラーは70馬力/745ポンドでパワーウェイトレシオに大きな差は無く、ホイールトラベル量も両者ほぼ同じ長さに設定されている。軽量で敏捷なボディと二輪駆動ゆえの軽快なハンドリング、最小回転半径の小ささなどにより駆動輪の少なさを補えている例である。






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