四国
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/01 05:19 UTC 版)
概要
四国地方を構成する4県の中で、徳島県・香川県・愛媛県・高知県は島内交流と合わせて、本州四国連絡橋(本四架橋)もあり本州との交流も盛んである。
西南部除く四国全域は近畿地方の影響力を文化的に強く受けているが、東部の徳島県は政治・経済においても影響が顕著である。北東部の香川県は文化・経済の両面で岡山県とのつながりも深いが、高松自動車道と神戸淡路鳴門自動車道の開通以降は徳島県同様近畿地方との交流もより活発になっている。西部の愛媛県は広島県や九州の大分県との交流が見られる。一方で高知県は陸路が険しく船での往来が発達した関係上、古くから上方、京都、近世は江戸からの影響も強く、政治・文化的な中央への意識が高いとも言われている。近年は高速道路網の発達により、四国内指向が強まっている[要出典]。
日本の主要4島の中で唯一政令指定都市が存在しない。
歴史書における呼称
神々による日本の創造の過程を記した『古事記』の国産み神話では、四国は淡路島に続き、日本列島で二番目に創造された島であるという[10]。古事記には「伊予之二名島(いよのふたなのしま)」と記されている[10]。また『日本書紀』では「四国」を「伊予二名洲(いよのふたなのしま)」と表記している。よって古代においては、「伊予之二名島」・「伊予二名洲」、または単に、「伊予島」・「伊予洲」(いよのしま、いよしま)、「二名島」・「二名洲」(ふたなのしま、ふたなしま)」などと呼ばれた(「フタナ」は二並びの意)。
近世以降は、五畿七道の南海道のうち、紀伊国と淡路国を除いた阿波国・讃岐国・伊予国・土佐国の4つの令制国が存在したことから、「四国」と呼ばれた。歴史書ではないが、16世紀の戦国時代を描いた軍記物語として知られる『陰徳太平記』(享保2年(1717年)出版)序に、「山陰山陽四国九州」の記載があり、このような近世の書物において、明確に「四国」という名称を見出すことができる。
地理
約1900万年前の日本列島の誕生に伴い、四国の前身が誕生した。瀬戸内海を挟んで、近畿地方・山陽地方・九州に三方を囲まれた位置にある。島の中部には、各県を分断するような形で四国山地や讃岐山脈の山々がそびえており、この地形が近年まで各地域間の交流を困難にしていた。
中央構造線が吉野川北岸から佐田岬半島にかけて東西に貫いている。構造線以北の内帯(西南日本内帯)に当たる地方では、中生層・古生層とこれを貫く火成岩が分布している。構造線以南の外帯(西南日本外帯)に当たる地方では、北側から南側にかけて中生層・古生層が形成された順に配列している。
日本の島の中では九州に次ぐ第4位[6]、世界の島の中ではブラジルのバナナル島に次ぐ第50位の面積を持つ[8]。最高標高は、石鎚山の天狗岳(愛媛県)の1,982 m。
広袤(こうぼう)
四国本土の東西南北それぞれの端は以下の位置で、東西の長さは254.04km、南北の長さは186.21kmである。 |
地形

海
山地・山岳
- 四国山地
- 石鎚山(1982m、西日本最高峰):愛媛県
- 剣山 (1955m、徳島県最高峰):徳島県
- 次郎笈 (1930m):徳島県
- 瓶ヶ森 (1896m):愛媛県・高知県
- 三嶺 (1893m、高知県最高峰):徳島県・高知県
- 一ノ森 (1880m):徳島県
- 筒上山 (1860m):愛媛県・高知県
- 笹ヶ峰 (1859m):愛媛県・高知県
- ちち山 (1855m):愛媛県・高知県
- 矢筈山 (1848m):徳島県
- 天狗塚 (1812m):徳島県
- 白髪山 (1770m):高知県
- 伊予富士 (1756m):愛媛県・高知県
- 石立山 (1707m):徳島県
- 烏帽子山 (1670m):徳島県
- 高城山 (1630m):徳島県
- 雲早山 (1496m):徳島県
- 皿ヶ嶺 (1271m):愛媛県
- 高越山 (1133m):徳島県
- 障子山 (885m):愛媛県
- 中津峰山 (773m):徳島県
- 谷上山 (455m):愛媛県
- 行道山 (373m):愛媛県
- 眉山(290m):徳島県
- 讃岐山脈
- 高縄山地
河川・湖沼
- 吉野川水系(四国三郎):高知県→徳島県
- 那賀川水系:徳島県
- 勝浦川:徳島県
- 海部川:徳島県
- 土器川:香川県
- 綾川:香川県
- 香東川:香川県
- 肱川:愛媛県
- 重信川水系:愛媛県
- 蒼社川水系:愛媛県
- 玉川湖(ダム湖):愛媛県
- 物部川:高知県
- 鏡川:徳島県
- 仁淀川水系:愛媛県→高知県
- 四万十川水系:高知県
- 梼原川:高知県
- 広見川:愛媛県→高知県
- 黒尊川:高知県
- 海老ヶ池:徳島県- 四国唯一の天然湖沼[11]
- 満濃池:香川県
- 内場池:香川県
平野・高原
- 徳島平野:徳島県
- 那賀川平野(阿南平野):徳島県
- 讃岐平野:香川県
- 松山平野:愛媛県
- 今治平野:愛媛県
- 新居浜平野:愛媛県
- 高知平野:高知県
- 中村平野:高知県
- 大川原高原:徳島県
- 塩塚高原:徳島県・愛媛県
- 久万高原:愛媛県
- 五段高原:愛媛県・高知県
- 天狗高原:愛媛県・高知県
岬
半島
島嶼
- 瀬戸内海
- 太平洋
地質
地質学的には、四国は北からおもに三波川帯(ほぼ吉野川がある)、秩父帯(四国山地)、四万十層(四万十川)がほぼ東西に分布し、その間を中央構造線、御荷鉾構造線、仏像構造線が走っている[12][13]。
気候
- 瀬戸内海地方
徳島県の吉野川流域以北、香川県全域、愛媛県東予地方、中予地方の、瀬戸内海に面した北側は、瀬戸内海式気候に属する温暖少雨な気候であり、台風等の直撃も比較的少ない。そのため、オリーブやミカンの栽培が盛んである。その反面、大規模な河川は太平洋や紀伊水道に流れ込む形となっているため、水資源に恵まれず、過去幾度かの渇水に見舞われてきた。このため、満濃池を初めとするため池が多数造られている。その中でも特に、香川県は古来から水不足に悩まされ続けており、渇水対策として吉野川の水を送水するための香川用水が建設されている。
冬から春にかけて、中国大陸から流入する黄砂がしばしば観測される。冬は小雨や小雪(みぞれ)の降る日もあるが、基本的に晴天が多い。平野部では大雪になることはほとんどないが、山間部では気温が低く冬は積雪も多い。なお、太平洋高気圧に覆われる夏季には瀬戸内海沿岸特有の「凪」や、四国山地越えのフェーン現象に伴う気流の影響で、猛暑日や熱帯夜になる日も少なくない。
- 太平洋側
徳島県のほとんどの地域や、愛媛県南予地方・高知県全域の太平洋に面した南側は、太平洋側気候に属している。太平洋沖合を流れる黒潮の影響を受けて冬でも温暖で、一部で無霜地帯が存在する。春の訪れが早く本土で最初の桜の開花宣言が高知市または宇和島市となることも少なくない。そのため、特に高知県では促成栽培が盛んであったり、プロ野球チームのキャンプ地になったりと、温暖な気候を生かした産業や行事が発達している。
年間降水量が多いことから林業も盛んであるが、一方で高知県の室戸岬と足摺岬では、台風が来襲しやすいことから「台風銀座」と呼ばれている。このため「室戸台風」などの大型台風が直撃し、洪水などの被害を受けている。なお「室戸台風」では、室戸岬上陸時の中心気圧は911.6hPaであり、日本本土に上陸した台風のなかで観測史上最も上陸時の中心気圧が低い台風だった。これは同緯度の台風における中心気圧の最低記録(台風の正式な統計は1951年(昭和26年)から開始されたため、この記録は参考記録扱い)として、いまだに破られていない。また、愛媛県南予地方および高知県幡多地方では、冬は関門海峡からの季節風の影響で曇りや雨、雪の日が他の太平洋側の地域に比べると多くなっている。
注釈
- ^ 【参考】 四国4県の総人口は、おおむね、都道府県人口順位第10位静岡県の人口約376万人に相当する(都道府県の人口一覧#外部リンク)。
出典
- ^ a b “平成28年全国都道府県市区町村別面積調 島面積 (PDF)”. 国土地理院 (2016年10月1日). 2017年2月27日閲覧。
- ^ 『日本統計年鑑 平成26年』(2013年)p.17 - 1986年(昭和61年)、海上保安庁による計測。
- ^ “平成27年全国都道府県市区町村別面積調 都道府県別面積 (PDF)”. 国土地理院. p. 5 (2015年10月1日). 2016年2月29日閲覧。
- ^ 島国 (領土がすべて島から成る国)である日本を構成する6,852の島に対する『国土交通省』による区分け ⇒ 6,852島(本土5島・離島6,847島)。<出典>『国土交通省』サイト 離島振興課 離島とは(島の基礎知識)[1] 2009年11月27日閲覧。 ただし、島について地理学上はこのような分類・区分けはない。
- ^ 【参考】 島国一覧(領土がすべて島で構成される国)
- ^ a b 平成25年10月1日時点の島面積より (PDF) 国土地理院(注:表中の「沖縄島 おきなわじま」は、通称名「沖縄本島」の正式名称)
- ^ 【参考】 日本の島の面積順に上位10島 ⇒ 本州、北海道、九州、四国、択捉島、国後島、沖縄本島、佐渡島、奄美大島、対馬。 [出典] 国立天文台 (編)理科年表 平成19年版 P565、ISBN 4621077635。
- ^ a b 世界の島の面積順位より抜粋、出典 List of islands by area(島:オーストラリア大陸の面積未満で、四方を水域に囲まれる陸地)
- 第1位 グリーンランド
- 第6位 スマトラ島(インドネシア共和国)
- 第7位 本州
- 第8位 ビクトリア島(カナダ)* 人口1,707人(2001年)
- 第9位 グレートブリテン島 (イギリス(イングランド・スコットランド・ウェールズ))
- ^ 【参考】 国土地理院 四国地方の主な島の面積。なお、四国4県を四国地方とする見解もある。『日本地名大百科』小学館 1996年 p.554 ISBN 4-09-523101-7
- ^ a b 伊東ひとみ『地名の謎を解く』新潮社、2017年、10頁
- ^ 田中(2004年)p.294
- ^ 中央構造線の旅(4)-徳島県・愛媛県・高知県----山の自然学シリーズ(12)
- ^ 四国の地質(四国の一級水系) 国土交通省四国地方整備局河川部、2021年1月17日閲覧
- ^ Kakeda, Takeshi (2015年8月17日). “四国内の相互交流量を分析してわかった3つのこと” (日本語). いきてま@えひめ. 2020年5月28日閲覧。
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- ^ a b 国土交通省・圏域形成の動向 (PDF)
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- ^ “四国を一つに結ぶ循環型ネットワークの構築を目指し整備が進む四国の高速道路”. 建設グラフ (2002年11月). 2010年12月8日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 徳島新聞. (2008年2月7日)
- ^ 国土交通省・交通からみた国土の現状と課題 (PDF)
- ^ a b c 便宜上四国外の部分についても表記している。
- ^ a b “道路統計年報2014 道路の現況”. 国土交通省. 2015年4月22日閲覧。
- ^ “暦年・年度別空港管理状況調書 (PDF)”. 国土交通省航空局 (2013年). 2015年2月18日閲覧。
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