噂 噂の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/19 05:10 UTC 版)

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定義

流言・飛語

流言(りゅうげん)とは、正確な知識や情報を得られず、明確な根拠も無いままに広まる噂のこと。俗説、風説、流説ともいう。ある一部での話が連鎖的に広まり、それがやがて全体に広がっていく形態を取る。白川静によれば、中国の古代の歴史書書経に既に流言の例が見られるという[2]。日本での流言の古い歴史は1600年ごろまでさかのぼる。

飛語(蜚語・ひご)も、根拠のない無責任な噂を意味する言葉で、流言と合わせて流言飛語流言蜚語)という四字熟語を構成する。

デマ

デマとはデマゴギー(: Demagogie)の略で、本来は政治的な目的を持って意図的に流すのことであり、転じて単なる嘘や噂、流言などを指すこともある。前者の意味のデマを流す人物のことをデマゴーグ(: Demagog)という。

噂や流言は、しばしば(前者の意味での)デマゴギーだったのではないかと捉えられることがある(陰謀論の項も参照)。1990年代後半以降は、インターネットにあるブログ電子掲示板SNSから広まる事例も増えている。

ゴシップ

ゴシップ: gossip英語発音: [ˈgɔsəp] サプ、米語発音: [ˈgɑsəp] サプ)とは、巷で伝聞される興味本位の噂話のことを指すが、特にマスメディアにおいては芸能人などのゴシップを、「不祥事」・「醜聞」を意味する「スキャンダル」(: scandal英語発音: [skændl]キャンドゥル、スキャンドー)という表現で伝えることが多い。この類のネタにした記事を「ゴシップ記事」、さらにこのゴシップ記事の類を多数掲載している新聞・雑誌のことをゴシップ誌と呼ぶことがある。

流言・デマの発生条件

流言の発生は、「情報の重要さ」と「情報の不確かさ」(嘘と本当の間に極大値を持つ)の積で与えられるとされる。

  • どうでもいいこと(重要性低)が嘘に決まっているあるいは本当に決まっている(不確かさ極小)なら、流言発生はない。
  • 大切なこと(重要性高)が嘘に決まっているあるいは本当に決まっている(不確かさ極小)なら、流言発生は噂話や伝言に留まる。
  • 大切なこと(重要性高)が嘘か本当か分からない(不確かさ極大)ときに、流言が発生する。

流言や噂が発生する動機は、曖昧な状況に対する主観的解釈(自己の内的世界の投影)であり、発生そのものを抑止するのは原理的に困難である[3]

さらに、流言が発生するにはある条件を満たしているとより広がりやすくなる傾向があるとされる。

噂が広がる要因の一つに“話をする人”が挙げられる。その人に信用がある、または情報をよく知っているなどの条件が重なれば、聞き手はそれが本当であると信じてしまう(検証せずに鵜呑みにしてしまう)、次々と伝播していく。さらに、「これはためになる」と思い込むことから、良かれと思って(=善意で)自分の周囲の人や知人に広く伝播させてしまう傾向が強い。パソコン通信時代、「LHAにウイルスが混入」「○○地方から当たり屋グループが」「輸血で必要なためB型Rhマイナスの人を探しています」などといった書き込みが伝播したこともある。いずれも善意の情報を装ったものであり、のちのチェーンメールのプロトタイプとも言える。

流言の伝え手、受け手側の心理的な要因として、「不安」と「批判能力」が重要である。一般に、人々の不安が高い状態(例:災害発生直後など)では、流言に対する被暗示性が高くなり、流言は受け入れられやすくなり、また伝達されやすくなる。また、受け手側でも、不安が強い人ほど流言を信じやすくなるという傾向がみられる。一方、流言を受け取っても、批判能力の高い人の場合には、他の情報源にあたってチェックするなどの情報確認行動をとることにより、真偽を見分け、流言の伝播を食い止めることができる。1938年10月にアメリカでSF「宇宙戦争」のラジオドラマ放送をきっかけとして起こったパニック騒ぎでは、批判能力(ここでいう批判とは日本のネット上で用いられる「無責任な誹謗中傷」の意味ではなく、自分の判断が正しいかを確認する能力を意味する)の低い人ほど、番組で連呼された「火星人襲来!」を事実と勘違いしてパニックに陥りやすかったという調査結果が報告されている(実は聴いている放送を他局に変えればそのような事実はないことがすぐに確認できたのである)。

また、社会的情勢が不安定である場合、噂が広がりやすいとされる。例えば、石油ショック・不況といった何らかの社会情勢の不安定化、大地震などといった天変地異伝染病の流行などがその契機になると見られており、人間の、危機や不安に対する自己防衛本能、最悪の場合を想定してそれに備えようとする本性との関連が指摘される。

噂を抑制するには、当事者以外の信頼できる第三者によって正しい情報を報じる方法が有効とされており、箝口令のような言論統制は逆効果になる例が多い[3]。しかし、「事実よりもウソを好む」人間もおり、噂の性質によってはこの方法にも限界がある[3]




  1. ^ 川上善郎『うわさが走る』p.1
  2. ^ 白川『字通』の「流言」の項目参照。周の武王が死亡した後、後継者の成王を補佐していた大臣の周公旦に対して、謀反を起こした管叔らが「周公旦が王位を奪おうとしている」という流言を行ったというもの。
  3. ^ a b c 木下富雄 日本心理学会(編)「うわさのコントロールは可能か」『心理学ワールド:50号刊行記念出版』 日本心理学会 2011 pp.221-226.
  4. ^ 加藤直樹『九月、東京の路上で―1923年関東大震災ジェノサイドの残響』
  5. ^ 山岸秀『関東大震災と朝鮮人虐殺―80年後の徹底検証』早稲田出版、2002年
  6. ^ 広井脩『流言とデマの社会学』文春新書、2001年
  7. ^ 桑原真瑞『吁人間』霊肉統一団、1924年
  8. ^ 『鮮人襲来流言の真相』帝都復興協会、1923年
  9. ^ a b “佐賀新聞創刊125周年タイムトリップ1973(昭和48)年”. 佐賀新聞. http://www1.saga-s.co.jp/koremade/timetrip/47/01.html 2018年6月18日閲覧。 
  10. ^ 震災後のデマ80件を分類整理して見えてきたパニック時の社会心理 絵文録ことのは2011年4月10日
  11. ^ アーカイブされたコピー”. 2011年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年5月6日閲覧。
  12. ^ <外国人犯罪デマ>被災地半数聞き86%信じる 河北新報 2017年1月16日閲覧
  13. ^ 村上義人「手拭いの旗暁の風に翻る」より、当時の社会状況描写
  14. ^ 汐文社版はだしのゲン1巻より
  15. ^ 茨城新聞 昭和37年4月1日号掲載
  16. ^ 廣井 脩『うわさと誤報の社会心理』日本放送出版協会〈NHKブックス 562〉、1988年11月20日、2頁。ISBN 4-14-001562-4
  17. ^ 「5Gでコロナ拡大」流布 英政府、因果関係否定”. 産経新聞 (2020年4月5日). 2020年4月5日閲覧。
  18. ^ “「創価学会の会員ではありません」愛川欽也がサイトで「宣言」”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2009年3月2日). http://www.j-cast.com/2009/03/02036905.html 2009年3月2日閲覧。 
  19. ^ 「新興宗教『有名人信者113人』禁断リスト」(「フラッシュ」07年6月26日号)
  20. ^ 「創価学会『ニッポン洗脳』の不気味 学会系芸能人最新版39人リスト」(「週刊文春」05年3月17日号)他2誌
  21. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “【大津中2自殺】いじめ関係者と記載したブログ開設者を提訴へ 間違われた男性が大津地裁に” (日本語). 産経WEST. 2020年2月20日閲覧。
  22. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “【衝撃事件の核心】裁判所に「非常に軽率」と指摘されたデヴィ夫人…ブログで「大津いじめ自殺」にモノ申し、アクセス急増も掲載写真は無関係な女性” (日本語). 産経WEST. 2020年2月20日閲覧。
  23. ^ 加害生徒親族と思い込んで抗議、中傷 いじめ事件で事実無根デマが飛びかう”. J-CASTニュース (2012年7月12日). 2020年2月20日閲覧。
  24. ^ 広島被災地 悪質デマに要注意 R252014年8月25日
  25. ^ 熊本地震のデマ、ネットで出回る 安易な拡散には注意を 朝日新聞 2016年4月15日
  26. ^ 地震直後「ライオン逃げた」=ネット投稿の男逮捕-熊本県警 時事通信2016年7月20日
  27. ^ “フジテレビが「デマ写真」に釣られる 東武東上線事故に「インドネシアの映像」を使ってしまう”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2016年5月20日). https://www.j-cast.com/2016/05/20267388.html?p=all 2017年8月30日閲覧。 
  28. ^ “「紀伊民報 福島山火事で「放射性物質飛散」 コラムで陳謝」”. 毎日新聞 (毎日新聞社). (2017年5月9日). https://mainichi.jp/articles/20170509/k00/00m/040/055000c 2017年5月9日閲覧。 
  29. ^ “SNSに“ミサイル画像”投稿”. 首都圏 NEWS WEB (日本放送協会). (2017年8月29日). オリジナルの2017年8月30日時点におけるアーカイブ。. https://archive.is/20170830002441/http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20170829/3438361.html 2017年8月30日閲覧。 
  30. ^ “嘘だった「AED使った男性をセクハラで...」 投稿主「問題提起のつもりだった」”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2017年12月22日). https://www.j-cast.com/2017/12/22317403.html?p=all 2018年2月16日閲覧。 
  31. ^ “広がった「AEDセクハラデマ」と、その裏で築かれる偏見”. 琉球新報Style (琉球新報社). (2017年12月31日). https://ryukyushimpo.jp/style/article/entry-639820.html 2018年2月16日閲覧。 
  32. ^ Fukuzaki, Osamu (2019年3月17日). “NZ銃乱射事件 容疑者 法廷で白人至上主義のジェスチャー” (日本語). mashup NY. 2019年4月10日閲覧。
  33. ^ 訴追された男 裁判所に出廷 NZ乱射テロ” (日本語). FNN.jpプライムオンライン. 2019年4月10日閲覧。
  34. ^ Blizzard reportedly tells OWL fans to not use OK gesture due to "association as a white power symbol"” (英語). Dot Esports (2019年4月5日). 2019年4月11日閲覧。
  35. ^ 「あおり運転車同乗の女」とウソ情報拡散 愛知 豊田の市議辞職 NHKニュース 2019年11月2日
  36. ^ デマがSNSで拡散「武漢から関空入りの新型肺炎患者が逃走」 モザイク入り微博画像から” (日本語). 毎日新聞. 2020年2月2日閲覧。
  37. ^ 「関空入国の肺炎患者逃走」 SNSでデマ拡散:時事ドットコム” (日本語). 時事ドットコム. 2020年2月2日閲覧。
  38. ^ AERAdot.トイレットペーパーも消えた 安倍首相が「冷静な購買」呼びかけもうデマが止まらない 2020年2月29日20:34更新 同日閲覧。
  39. ^ 『週刊誌の読み方』株式会社話の特集、1985年、pp.257-259
  40. ^ 沢木耕太郎『馬車は走る』
  41. ^ 木村拓哉「マスク2000枚」否定だけじゃない!不仲や娘の病気「3つのデマ」 Wezzy 2020.04.09 07:00(2020年5月22日閲覧)
  42. ^ a b 木島康雄『図解で早わかり 最新 刑法のしくみ』2017年11月、pp.138-141
  43. ^ 「ライオン逃げた」熊本地震のデマ情報を拡散した疑い 20歳男を逮捕 - huffingtonpost 2016年7月21日
  44. ^ 東名あおり事故でデマ=名誉毀損容疑で11人送検-福岡県警 時事ドットコム、2018年6月19日
  45. ^ 四川大地震、関連デマのネット書き込みで17人処分 - AFP BB NEWS 2008年5月16日
  46. ^ 守随憲治監修『故事ことわざ辞典』新文学書房
  47. ^ 山本弘のSF秘密基地BLOG2010年11月13日付記事 2012年12月16日閲覧。





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