名古屋コーチン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/22 15:03 UTC 版)
生産体制
現在、愛知県における名古屋コーチンの管理体制は、農業総合試験場畜産研究部が育種改良を、愛知県畜産総合センター種鶏場が系統の保存と種鶏(親鶏)の供給を分担して行っている。愛知県から供給された種鶏を使って、名古屋市農業センターと県内5ヶ所の民間孵化場が「肉用名古屋コーチン」と「卵用名古屋コーチン」の優良ひなを生産し、生産者に供給している。生産された肉や卵は、鶏卵肉販売店、百貨店、大手スーパー等を通じて販売されたり、加工食品等に調理して販売されたり、もしくは専門料理店で料理されたりしている[7]。
特徴
性格や外貌
性格は穏やかで飼いやすい。
かつては非常に強い就巣性があり、巣篭もりすると採卵効率がかなり低下したが、最近は改良が進み、就巣性はある程度弱くなった[5]。
脚が鉛色なのは、基となった名古屋在来鶏の特徴を受継いだ為である[5]。
体形はバフコーチンの影響もあり、日本の地鶏の中でも大型に属している。同じくバフコーチンの形質から、かつては脚毛があったが改良により除去された[5]。
鶏肉
肥育専用の鶏であるブロイラーは50日間ほどの短期間で出荷されているが、名古屋コーチンの出荷日齢はおおむね120~150日で[8]、オスの方がメスより早く出荷される傾向がある。
長期間飼育されるため、名古屋コーチンの肉はこくのある旨みと、締まった歯ごたえが増し、ブロイラー鶏肉にはない奥深い味わいが感じられる。
さらに、ほとんどの地鶏が在来種と肥育専用の外国鶏と交配させた交雑鶏であるのに対し、名古屋コーチンは他の鶏と交配させることなく、純血のままを保っていることから、昔ながらの地鶏の味を存分に堪能できる。
名古屋コーチンを用いた郷土料理としては「ひきずり」が代表的な郷土の味である。それ以外にも串焼きや鍋物、刺身、手羽先、鳥めしなどの多種多様なメニューがある。
鶏卵
名古屋コーチンの卵は、白玉卵や赤玉卵とは異なり、桜色の卵殻色をしているのが特徴である。卵の大きさはやや小ぶりであるが、卵全体に占める卵黄の比率が高く、とろりとした粘りのある舌触りがあり、卵黄の色は濃く、味は濃厚である。また、厚焼き卵は形がしっかりして、歯ごたえのある食感が味わえる[5]。最近では、親子丼、だし巻き卵、卵スープ、伊達巻、煮卵、温泉卵など、名古屋コーチンの卵を用いた料理や商品も種類が増えてきている。また、濃厚な味を活かして、プリンやカステラ、ケーキ、アイスクリームのような菓子類にも利用され、数多くの人気商品が開発されている。
備考
1984年(昭和59年)に肉用名古屋コーチンの供給が始まって、飼育羽数は順調に伸び、2008年(平成20年)には卵用肉用合わせて約130万羽になっている。
- ^ Aichi Prefecture. “愛知県公式Webサイト/名古屋コーチンの歴史と外観上の特徴”. 2014年7月15日閲覧。
- ^ a b c “3月10日「名古屋コーチンの日」 地鶏で初”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 33. (2016年9月29日)
- ^ a b 愛知県. “愛知県公式Webサイト/名古屋コーチン”. 2014年7月15日閲覧。
- ^ “地鶏肉の日本農林規格” (PDF). 農林水産省 (2010年). 2014年7月15日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “卵用名古屋コーチンの飼養管理技術” (PDF). 愛知県農業総合試験場 (2005年). 2014年7月15日閲覧。
- ^ “第168回国会 339 名古屋コーチンの偽装疑惑問題に関する質問主意書”. 衆議院. 2020年9月14日閲覧。
- ^ 名古屋コーチン協会. “一般社団法人名古屋コーチン協会/名古屋コーチンの生い立ち”. 2014年7月15日閲覧。
- ^ 名古屋コーチン協会. “一般社団法人名古屋コーチン協会/名古屋コーチンとは”. 2014年7月15日閲覧。
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