司修 司修の概要

司修

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/06 02:18 UTC 版)

略歴・人物

群馬県前橋市出身。太平洋戦争末期1945年昭和20年)8月5日、犠牲者535人を出した米軍による前橋空襲[1]に9歳で遭遇し、「広島原爆投下された前日。焼け野原の街で実感したのは絶望より『もう戦争はない』という喜び」を心の原風景として、「何もない環境から探し出す生活で、雑草を食べ孟宗竹を裂いて家も建て」て、「生きる執着心をたたき込まれた」[2]

中学校を卒業後、映画看板師(映画館に設置の宣伝看板の絵を描く仕事)の助手として働きながら、絵を独学。24歳のとき画家を志し上京したが、力不足を痛感し絶望。そんなの折、同じ群馬出身で「日本近代詩の父」と呼ばれた詩人萩原朔太郎『死なない蛸』を読み、「薄暗い水槽の底で孤独と飢えに耐えるタコ。自らの足や体を食べ、最後に肉体は消滅してしまうが、その憤りや精神力は永遠に生きていく。その詩を読んだ時、自分の絶望感がちっぽけに思え」て、人生観を変えた。

言葉の持つ力に感動した結果、絵本や装丁の仕事も始める。そこで野間宏大江健三郎武田泰淳三島由紀夫ら有名作家の著作本の装丁に携わる[3]うち、「現代文学を読み解き、他者の問題を自分に引き付けて考えるようになった」。そして、自身も執筆活動を始めた。そして「描くことへの貪欲さ、『目に見えないものをいかに表現するか』という絵の姿勢も完成した」[2]

年譜

著作

  • 『はずかしがりやのぞう』 こぐま社、1968年
  • 『証人 影像戯曲 憂鬱工房』 こぐま社 1970年
  • 『ちびっこわにのぼうけん』 偕成社 1971年
  • 『魔女の森』 サンリオ出版 1975年
  • 『おとうさんだいすき』 文研出版 1975年
  • 『不思議な館』 サンリオ 1977年
  • 『風船乗りの夢』 小沢書店 1978年
  • 『4つのバトンタッチ』 司真実共著 小峰書店 1980年
  • 『壊す人からの指令 司修画集 小沢書店 1980年
  • 『ウィグルの砂漠とオアシスを往く 司修素描集』 中西画廊 1980年
  • 『描けなかった風景』 河出書房新社 1981年
  • 『汽車喰われ』 福武書店 1983年 (短編小説集)
  • 『青猫 幻想童話館』 東京書籍 1985年
  • 『魔法のぶた』 汐文社 1985年 原爆児童文学集
  • 『夢景色 司修幻想旅行記』 東京書籍 1985年
  • 『歩いてきた風景』 講談社 1985年
  • 『気ままなる旅 装丁紀行』 筑摩書房 1986年
  • 『赤羽モンマルトル 河出書房新社 1986年
  • 『紅水仙』 講談社 1987年 のち文庫(小説)
  • 『語る絵』 小沢書店 1989年
  • 『幽子・愛』 講談社 1990年
  • 『夢は逆夢』 白水社 1990年 物語の王国
  • 『奏迷宮』 河出書房新社 1991年
  • 『ブッダの歩いた道』 法蔵館 1992年
  • 『戦争と美術』 岩波新書 1992年
  • 『影について』 新潮社 1993年
  • 『夢の中の遠い声』 法蔵館 1993年
  • 『迷霧』 講談社 1993年
  • 『司修 描くことと書くこと 開館1周年記念特別企画展 司修展図録』 前橋文学館 1994年
  • 『リンゴ わらべうたによる』 ほるぷ出版 1994年
  • 『イーハトーヴォ幻想』 岩波書店 1996年
  • 『賢治の手帳』 岩波書店 1996年
  • 『幸福を求めて』 新書館 1997年
  • 『近代化遺産への旅』 伊藤幸雄撮影 上毛新聞社 1998年
  • 『版画』 新潮社 2000年 (小説)
  • 『いのちのえほん』(編)群馬県・童心社 2001年
  • 『アスカ』 ポプラ社 2004年
  • 『「雁の寺」の真実』 水上勉共著 朝日新聞社 2004年
  • 『月に憑かれたピエロ』 河出書房新社 2004年
  • 『ブロンズの地中海』 集英社 2006年
  • 『プロヴァンス水彩紀行』 時事通信出版局 2006年
  • 『影について』 講談社文芸文庫 2008年
  • 『おばあのものがたり』 偕成社 2008年
  • 『戦争と美術と人間 末松正樹の二つのフランス』 白水社 2009年
  • 『蕪村へのタイムトンネル』 朝日新聞出版 2010年
  • 『100万羽のハト』 偕成社 2011年
  • 『司修のえものがたり』 トランスビュー 2011年
  • 『本の魔法』 白水社 2011年 のち朝日文庫
  • 『孫文の机』 白水社 2012年
  • 『絵本の魔法』 白水社 2013年
  • 『幽霊さん』 ぷねうま舎 2014年
  • 『Ōe(おおえ):60年代の青春』 白水社 2015年



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