原子力潜水艦 歴史

原子力潜水艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/21 12:02 UTC 版)

歴史

ノーチラス、世界初の原子力潜水艦である

1940年代、ウラン核分裂反応の軍事利用に関する研究がなされた過程で核エネルギーを利用した潜水艦の構想がナチス・ドイツなどで考えられていた。

戦後、ナチス・ドイツの原潜構想を知ったアメリカ海軍のハイマン・G・リッコーヴァー大佐は、その革新性に着目し、原潜開発を上層部に訴えた。当時の軍事的な核利用は爆弾が中心であり、巨大な原子力発電プラントを潜水艦に搭載することなど夢のまた夢と考えられていたため、リッコーヴァーの提案はまともに取り上げられなかった。しかし、リッコーヴァーがチェスター・ニミッツ提督に直訴までして実現を訴え続けた結果、最終的にはその熱意が認められてアメリカ合衆国海軍原子力部が設立され、その長に就任したリッコーヴァーは熱心かつ強力に原潜開発を推進した[注 1]

こうしてリッコーヴァーによる指揮のもと、世界最初の原子力潜水艦「ノーチラス」(1954年竣工、1955年初航行)が開発された。このことから、リッコーヴァーは「原潜の父」と呼ばれている。また、「ノーチラス」は世界で初めて北極の氷の下を潜航して横断したことでも知られる。この後、アメリカ海軍は1950年代後半から、量産型の攻撃型原子力潜水艦として「スケート」級[注 2]に始まるSSNなどを建造・就役させた[1]

世界初の戦略ミサイル原潜は同じくアメリカが開発した「ジョージ・ワシントン」で、1959年に竣工した。「ジョージ・ワシントン」は、アメリカ海軍のラボーン少将による指揮のもと、搭載するポラリス・ミサイルを含めてわずか4年という短期間で開発された[注 3]




注釈

  1. ^ アメリカ合衆国大統領ジミー・カーターは、海軍在職時リッコーヴァーの指揮下で原潜実用化に携わった。
  2. ^ 「スケート」は、潜水艦としては世界最初に北極点に達し、その氷を割って浮上したことで知られる。
  3. ^ 世界初の戦略ミサイル原潜「ジョージ・ワシントン」に用いられたのが、マネジメント手法として今日でも知られるPERT (Program Evaluation and Review Technique) である。

出典

  1. ^ 多田智彦、「圧倒的な強さを保持する米原潜戦力」『軍事研究』(株)ジャパン・ミリタリーレビュー、2017年5月号、208-221頁、ISSN 0533-6716
  2. ^ 岩狭源清著『中国原潜技術&漢級侵犯事件』 軍事研究2005年4月号 ジャパン・ミリタリー・レビュー2005年4月1日発行 ISSN 0533-6716
  3. ^ デイリー新潮 (2017年11月16日). “おバカ映画のような不祥事次々… 英潜水艦「セックス&ドラッグ」事件” (日本語). 2020年6月24日閲覧。
  4. ^ 米軍原子力空母原子炉事故の危険性と情報の非開示-「合衆国原子力軍艦の安全性に関するファクトシート」に対する反論書-”. 原子力資料情報室(CNIC) (2006年6月16日). 2006年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年4月29日閲覧。
  5. ^ a b 谷三郎 第5章『精鋭・日本自衛艦隊 : 世界が瞠目する“海軍"の実力』(世界大戦文庫スペシャル)サンケイ出版 1986年6月
  6. ^ 第034回国会 内閣委員会 第15号 昭和三十五年三月十一日(金曜日)
  7. ^ a b 原潜導入 海自が検討 核兵器抜き 推進力に限定 非公式に米に打診 「通常型、能力劣る」平和利用に抵触、論議必死 内局は消極的 毎日新聞 1986年(昭和61年)7月14日
  8. ^ 原潜保有 政府が検討 16年防衛大綱 中国に対抗も断念 産経新聞 2011年(平成23年)2月17日
  9. ^ 小林よしのり 『希望の国・日本 9人の政治家と真剣勝負』 飛鳥新社 p.114




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