卵割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/16 17:12 UTC 版)
系統との関係
いわゆる卵割様式は卵黄の量や配置との関係が強いと思われる。卵黄の量は分類群によってそれなりに決まっているが、むしろ胚や幼生の置かれる環境との関係が強く、適応的な形質である面が強い。たとえば等黄卵はごく小さな幼生をプランクトンとして放出する刺胞動物や棘皮動物でも、胎生であるほ乳類でも見られ、そのいずれでも等割である。また、極端な端黄卵は爬虫類や鳥類とともに魚類でも見られ、いずれも盤割である。従って、これらの形質と系統との関係は余りない。
他方、螺旋卵割は軟体動物や環形動物に見られ、系統との結びつきが強いものと考えられている。
極葉
螺旋卵割をする軟体動物や環形動物では、卵の植物極側に極原形質という部分があり、卵割の際にはその部分が突き出して極葉という形を取る例が多い。たとえばツノガイ類では第一卵割の際、細胞がくびれるときにこの部分が大きく突き出し、まるで三細胞あるかのように見える。この突起は細胞分裂が終了すると片方の細胞に吸収され、そのために割球は大小二細胞となる。第二卵割の際にも同様な現象が起き、見かけでは五細胞あるような姿になった後、極葉は一つの細胞に吸収される。このような現象は動物群によって第二卵割までのものも、さらに何回か繰り返すものもある。中胚葉を形成するのは極葉を受け継いだ細胞のみであるなど、この部分には形態形成の上で重要な働きがある[2]。
参考文献
- 東中川徹・八杉貞雄・西駕秀俊、『ベーシックマスター 発生生物学』、(2008)、オーム社、ISBN 978-4274205996
- 市川衛、『基礎発生学概論 新版』、(1988)、裳華堂
関連項目
卵割と同じ種類の言葉
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