南アフリカ共和国 地方行政区画

南アフリカ共和国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/22 10:08 UTC 版)

地方行政区画

主要都市

主要な都市はプレトリア(首都)、ケープタウン(首都)、ブルームフォンテーン(首都)、ヨハネスブルグダーバンソウェトポート・エリザベスがある。

地理

南アフリカ共和国の地図
地形図
衛星写真、白い空洞の部分はレソト王国

アフリカ大陸の最南端に位置し、ナミビアボツワナジンバブエモザンビークエスワティニと国境を接し、レソトを囲んでいる。南西部は南大西洋に面し、南部から東部にかけてはインド洋に面するため2,500キロという長い海岸線を有する。海岸平野は狭く、国土の全体が高地になる。内陸はカルーと呼ばれる広大な平坦地で、人口は少ない。北西部はナミブ砂漠の延長部である。東部にはドラケンスバーグ山脈が連なる。国の最高地点はレソトとの国境にあるマハディ山(標高3,450メートル)である。

気候

夏期は10月から3月、冬期は5月から8月である。地域による差はあるが、1年を通じて気候は比較的温暖で日照時間が長い。

しかし、海岸部以外は高地なため同緯度の国に比べやや気温は低い。国全体の平均気温は、冬が0 - 15度、夏が20 - 40度と差が大きい。内陸高地の冬の気温は0度以下になることもあり、ドラケンスバーグ山脈のような高い山の山頂では降雪もある。東部の海岸は高度も低く、暖流モザンビーク海流が流れているために暖かい。西部の海岸は寒流ベンゲラ海流の影響を受けて気温はそれほど上がらない。

雨季は11月から3月。東と西で雨の降り方が大きく違う。東部は季節風の影響で夏に雨が降るが、南西の海岸はいわゆる地中海性気候で、移動性低気圧により冬に雨が多い。降雨量は東側から西側にいくにしたがって少なくなる。

内陸部は高原地帯であるためそれほど暑くはならない。

動植物

南アフリカには特色ある生物種からなる生態系が形成されている。植物は多様な環境に適応したベンケイソウ科トウダイグサ科ハマミズナ科多肉植物やトランスヴァール地方に花畑を形成するガーベラユリオプスデージーなどキク科の植物、あるいはエリカクンシランなどは珍奇な姿や美しい花から園芸植物として世界中で栽培されている。南アフリカの国土は全世界のわずか2%ほどにすぎないが、世界の植物の10%近く、約2万4,000種類の原産国となっている。また、脊椎動物の約7%、昆虫の約5.5%、海洋生物の約15%にとっての生息地ともなっている[15]

経済

初期の銀行業はスタンダード銀行バークレイズに支配されていた。1987年時点では、ヨハネスブルク証券取引所に上場していた全企業の83%を、SanlamOld Mutualアングロ・アメリカンRembrandt Group の4財閥が支配していた[16]

2012年にはマリカナ鉱山における労使対立が起こった。IMFの統計によると、2018年のGDPは3,681億ドルである。1人あたりのGDPは6,353ドルで、アフリカ全体(データの無いソマリア除く)ではボツワナに次いで6位に位置する。購買力平価ではそれぞれ7,897億ドル、1万3,629ドルとなる[4]。しかし、2014年時点のジニ係数は63(世界銀行調べ)と、世界でもっとも格差が大きい国のひとつである[17]

主要産業

農業果樹穀類栽培牧畜が主体である。同国はアフリカ大陸で最大のトウモロコシ生産国であり、2009 - 2010年度には400万トンの生産過剰となっている。また、南アフリカの砂糖サトウキビ)は世界金融危機の出端から年に十数%の割合で高騰していった。

伝統的な作物としての果物にはグアバアボカドがあり、これらは南アの重要な生産物となっている。現在はパンなどの主食用として小麦もつくっている。

最近ではマカダミアの栽培に力を入れており、毎年約4,000ヘクタールが新たに植林されている。その背景には中国での旺盛な需要があり、生産量は1996年の3,000トンから2015年には4万トンを超えるまでになっている[18]

酒造ワインを手がけており、ワイン作りはケープタウン付近で特に盛んで輸出もされている。

メリノ種羊毛オーストラリアに次ぐ生産量を誇る。皮革用の牝羊も飼われているが、最高級品は胎児を取り出して剥ぐため、愛護団体などから批判を受けている。

鉱業生産物はダイヤモンドプラチナウラン鉄鉱石石炭クロムマンガン石綿。豊富な鉱物資源を誇り、特に金は世界の産出量の半分を占める。この豊富な産金力を背景にクルーガーランド金貨を発行していたが、現在は限定品としてのみわずかに販売されている。石油の産出はない。

工業食品製鉄化学繊維自動車などの分野で盛んである。

近年、ダイムラー・クライスラー(現・ダイムラー)社がダーバン市内に自動車製造工場を建設。メルセデス・ベンツの、特に右ハンドル仕様を製造している。これらの車両は南アフリカ向けのみならず、多くが輸出に割り振られている。またBMWフォルクスワーゲン日産自動車なども輸出拠点として同国に工場を置いている。なお、これらの拠点は東海岸のポートエリザベスに多く存在している。

GDP成長率は2010年に3.0%、2015年に1.5%[19]と低成長ながら堅調な成長が続いている。JSEは世界的な証券取引所である。

アパルトヘイト廃止後に電力需要が急増したにもかかわらず、発電所の建設が10年以上行われなかったため、2007年ごろから電力不足が問題となっている。2008年1月には南アフリカ電力公社 (Eskom)は計画停電を実施し、当時資源高により好調だったプラチナ鉱山操業が制限される事態となり、金やプラチナの相場を高騰させた。これを解消するため、Eskomは近隣諸国からの送電や発電所の増設を計画しているが、電力不足は2015年ごろまでは解消されない見込みである。

2010年8月、公務員ストが発生した。労組側 (COSATU)は、公務員賃金の8.6%引き上げと住宅手当1,000ランド(約1万円)の新設の要求であった。政府側の最終回答はそれぞれ7%、700ランドにとどまっている。

失業が大きな問題となっており、2011年の国勢調査では失業率は29.8%であった[20]。その後、持ち直す局面もあったが、2019年第3・四半期の失業率は29.1%となっている[21]




注釈

  1. ^ このほか、国際経済研究所による「The United States and the World Economy(2005年1月)」では、BRICsおよび南アフリカの5カ国にアルゼンチンインドネシア韓国メキシコサウジアラビアトルコを加えた計11カ国が今後の世界経済に大きな影響を及ぼす「LEMs(Large Emerging-Market Economies)」として取り上げられた。また、BRICs経済研究所の門倉貴史はBRICsに続くグループ「VISTA」として、ベトナム (Vietnam)、インドネシア (Indonesia)、南アフリカ (South Africa)、トルコ (Turkey)、アルゼンチン (Argentina) の5カ国を、HSBCは同じく「CIVETS」として、コロンビア (Colombia)、インドネシア (Indonesia)、ベトナム (Vietnam)、エジプト (Egypt)、トルコ (Turkey)、南アフリカ (South Africa) の6カ国を取り上げている。
  2. ^ むしろ反発したこの背景には、ボーア戦争トラウマとも言うべき諸外国への根強い不信感が指摘されている。
  3. ^ 南アフリカはアフリカ統一機構 (OAU) への加盟を認められなかった。
  4. ^ これをきっかけに、人種差別の圧政言語の象徴としてのアフリカーンス語に対して白人層が使用していたに過ぎない植民地支配の象徴でもある英語がより自由な解放言語との印象を根付かせたことが現在の英語一本化へとつながっている。

出典

  1. ^ The Constitution”. Constitutional Court of South Africa. 2009年9月3日閲覧。
  2. ^ a b SOUTH AFRICA: Provinces and Major Urban Areas”. Citypopulation.de (2016年7月29日). 2017年4月20日閲覧。
  3. ^ 南アフリカ連邦共和国”. 外務省. 2018年11月5日閲覧。
  4. ^ a b c d e World Economic Outlook Database, October 2019” (英語). IMF (2019年10月). 2020年5月16日閲覧。
  5. ^ IMF: World Economic Outlook Database”. 国際通貨基金(IMF). 2013年10月28日閲覧。
  6. ^ 国民経済計算(GDP統計)”. 内閣府. 2013年10月28日閲覧。
  7. ^ a b “南アフリカ、殺人事件の死者は1日当たり57人「戦争に近い域」(AFP)” (日本語). AFP通信. https://www.afpbb.com/articles/-/3189269 2019年9月7日閲覧。 
  8. ^ 2010年6月6日放送 NHKスペシャル「アフリカンドリーム 第3回 移民パワーが未来を変える」より。
  9. ^ BS世界のドキュメンタリー 〈シリーズ 南アフリカ 第2週 変革の中で〉 プア ホワイト” (2010年6月1日). 2013年10月28日閲覧。
  10. ^ a b 牧野久美子「2019年総選挙を控えた南アフリカの政治情勢」『アフリカレポート(Africa Report)』第57巻、アジア経済研究所、2019年、 47-51頁、 doi:10.24765/africareport.57.0_472020年5月16日閲覧。
  11. ^ “Bigger than the army: South Africa's private security forces”. CNN. (2013年2月8日). http://edition.cnn.com/2013/02/08/business/south-africa-private-security 2013年5月3日閲覧。 
  12. ^ 外務省 南アフリカ基礎データ
  13. ^ 外務省 南アフリカ基礎データ
  14. ^ 悲劇の国 南アフリカ
  15. ^ “2010 国際生物多様性年-南アフリカにて環境関連イベント多数開催”. ケープタウン新聞. (2010年1月11日). http://www.capetownnews.jp/2010/01/year-of-biodiversity/ [リンク切れ]
  16. ^ 北川勝彦、「[研究ノート南アフリカ経済史研究の課題]」『關西大學經済論集』 2001年 50巻 4号 p.363-383, 關西大学經済學會
  17. ^ 世界銀行 (2019年). “GINI index (World Bank estimate)(ジニ係数 世界銀行予測) (Excel)”. World Bank Open Data. 2020年5月4日閲覧。
  18. ^ 南アでマカダミアナッツ栽培がブーム、中国需要が後押し”. CNN.co.jp (2017年12月7日). 2017年12月24日閲覧。
  19. ^ 独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO=ジェトロ) (2020年2月20日). “南アフリカ共和国 統計 (Excel)”. 2020年5月16日閲覧。
  20. ^ “猛暑の採用テストで6人死亡 南ア、30度越えの中、4キロ走も”. 産経新聞. (2012年12月30日). http://sankei.jp.msn.com/world/news/121230/mds12123020350005-n1.htm 
  21. ^ 南ア失業率、第3四半期は29.1% 11年来の高水準”. ロイター (2019年10月29日). 2019年10月29日閲覧。
  22. ^ Midyear population estimates: 2009 Statistics South Africa 23 February 2010
  23. ^ White flight from South Africa | Between staying and going, The Economist, September 25, 2008
  24. ^ NHK BS 世界のドキュメンタリー
  25. ^ 南アフリカ共和国 センサス2011
  26. ^ 「多言語状況の比較研究」(平成 20 年度第 3 回研究会)東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
  27. ^ 南アフリカの言語政策――マルチリンガリズムへの道 京都精華大学 楠瀬佳子
  28. ^ SA's shifting language landscape “Afrikaans and English no longer ‘white languages’ Daily Maverick
  29. ^ 南アフリカ共和国 センサス2011
  30. ^ 南アフリカの言語
  31. ^ 南アフリカ共和国 センサス2011
  32. ^ a b c CIA World Factbook "South Africa"2020年5月25日閲覧。
  33. ^ EFF and ANC protestors injured, arrested during Hoërskool Overvaal protest Mail & Guardian” (2018年1月17日). 2019年10月6日閲覧。
  34. ^ 吉村昭著『神々の沈黙―心臓移植を追って』(文春文庫)、『消えた鼓動―心臓移植を追って』(ちくま文庫)
  35. ^ a b c 南アフリカ統計局 (2020-07-09) (PDF). STATISTICAL RELEASE P0302 Mid-year population estimates 2020 (Report). pp. 3,7,24. http://www.statssa.gov.za/publications/P0302/P03022020.pdf 2020年9月19日閲覧。. 
  36. ^ The 2011 National Antenatal Sentinel HIV & syphilus prevalence survey in South Africa, National Department of Health of South Africa http://www.doh.gov.za Archived 2012-01-03 at the Wayback Machine.
  37. ^ 南アフリカ警察. “CRIME STATISTICS: INTEGRITY(犯罪統計:完全な状態) (Excel,PDF)”. 2020年9月19日閲覧。
  38. ^ a b c 総務省統計局 (2020年3月23日). “令和2年3月報 (令和元年10月確定値,令和2年3月概算値)”. 2020年7月19日閲覧。
  39. ^ a b c 警察庁刑事局捜査支援分析管理官 (2020年2月10日). “平成31年1月~ 令和元年12月犯罪統計【確定値】”. 2020年2月10日閲覧。
  40. ^ 南ア男性の4人に1人がレイプ経験者!?研究機関調査 産経新聞 2009年6月19日
  41. ^ 3人に1人レイプ認める 南ア男性、性暴力が蔓延 産経新聞 2010年11月27日
  42. ^ “若者が少女を集団レイプ、携帯で映した動画出回る 南ア”. CNN. (2013年4月19日). http://www.cnn.co.jp/world/30006304.html 2013年5月1日閲覧。 
  43. ^ [1]南アで白人農民の殺害相次ぐ、今年に入って72人 抗議のデモ 写真5枚 国際ニュース:AFPBB News
  44. ^ 南アフリカ、白人の土地収用へ 与党議長が表明、反発必至|国際|上毛新聞ニュース
  45. ^ ‘Bury them alive!’: White South Africans fear for their future as horrific farm attacks escalate [2]
  46. ^ 砂野幸稔「アフリカ文化のダイナミズム」『ハンドブック現代アフリカ』岡倉登志:編 明石書店 2002/12
  47. ^ 小林信次郎「アフリカ文学 黒人作家を中心として」『ハンドブック現代アフリカ』岡倉登志:編 明石書店 2002/12
  48. ^ The Greatest Cricketer of All Time – your votes revealed! BBC. 2020年6月15日閲覧。




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