勃起 陰茎折症

勃起

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/18 16:22 UTC 版)

陰茎折症

ヒト陰茎は勃起時に強い衝撃を受けると内部の圧力を支える白膜が「裂ける」ことがある。これを陰茎折症または陰茎骨折という。その過半数程度は自慰性交時に急に折り曲げたりなど無理な圧力が掛かることで発生するが、骨折一般と違い骨が損傷しているわけではないものの、白膜が裂ける瞬間はそれと分かる「何かが折れる」ような音がする場合もあるといわれている。この場合は外科的に手術で治療しないと勃起障害などの原因となる[3]

その他の勃起

女性の勃起

陰茎の相同器官でもある、女性陰核(クリトリス)にも男性の陰茎と同様に勃起が起こることがある。女性が性的興奮をした際に通常、陰核亀頭が膨張し陰核包皮から僅かに突出する。ただし、個人差がある。一方には勃起しても陰核亀頭が陰核包皮に覆われたままの女性もいれば、他方には陰核亀頭が勃起せずに引っ込んだままの女性もいる。

乳首の勃起

男女ともに性的興奮により乳首に勃起が起こる。いずれも勃起前よりも敏感に性的快感を与えるようになる(こそばゆいと感じるだけの者もおり、個人差あり)。しかし科学的には勃起といわない。

性的要因以外の勃起

性的興奮以外または性的以外の刺激でも勃起が起こることがある。乗り物による振動や摩擦などがそれにあたる。また思春期などでは性的な欲求や刺激が無くても、突発的に勃起してしまうことがある。

朝勃ち」は睡眠から覚めた際に勃起している状態をいう。その機序については、理想の女性と性行為するなど性的な夢を見ていた(但し内容は目覚める前に忘れてしまった)とするものや無意識に触っていて刺激を与えたのだなどとするものから、膀胱内圧力が前立腺を刺激しているなど様々な説があるものの、正確な理由はわかっていない。ただ膀胱内部の刺激説はやや否定されている模様である。勃起障害でも心因性勃起障害では朝勃ちすることも知られており、これの有無で勃起障害がどのような原因で起きているかの診断にも利用される。

薬の副作用

トラゾドン(商品名は「デジレル」「レスリン」)の副作用で、陰茎及び陰核の持続性勃起が起こることもある。この場合には、直ちに服用を中止し、医師に相談すること(この効果のために、バイアグラ等が登場するまで、勃起不全改善薬として用いられることもあったという)。

病的原因による勃起

陰茎はある種の病気で勃起の様な現象が起きる場合がある。この場合、本人の性的意識や興奮とは関係なく発生し、むしろ苦痛を伴うこともある[4]。陰茎海綿体やその被膜に繊維組織が異常増殖して硬さを持ち、見かけ勃起している状態になるものをペイロニー病という。しかし、増殖した繊維組織によって引きつっているだけなので血液の流入による海綿体の膨張という真の勃起ではなく、むしろ真の勃起が起きると引きつった部分に痛みを生じてしまう。主に中高年に発症し、治療には外科手術によって繊維質を取り除く療法等が行われる。

また、外傷[4]や他の全身疾患(血栓症[4]、陰茎腫瘍[5]白血病[4]など)に併発して持続性勃起症が起きることがある。勃起を支配する中枢神経系の腫瘍などの病的異常によっても起こる。前立腺や尿路などの炎症が勃起を誘発させる神経刺激を持続し持続性勃起症を起こす場合もある。持続性勃起症は陰茎海綿体に血栓症を引き起こす。持続性勃起症は通常10日間以内とされるが、持続が更に長期に渡る場合は海綿体組織が繊維化し軟骨カルシウム沈着によって骨に移行する例もある。持続性勃起症が発現した場合は、早期に受診し原因となる病気の究明がまず優先される[6]

勃起補助具

下腹部の疾患、体調不良、疲労、連続射精、あるいは加齢などにより、陰茎が十分に勃起しなくなった時、あるいは勃起を維持することが困難になった時に使用する勃起補助具がある。

エラストマー製コックリング

コックリング

コックリングは、陰茎の根元を締め付け、陰茎を常時勃起させたままにするための用具である。柔軟性のあるエラストマーで作られており、陰茎を軽く締め付けることで勃起維持を図る。簡単な構造のものはコンドーム脱落防止リングと称して、薬局ドラッグストアで販売されているものもある。装着すると多少きつく感じられるがそのまま射精可能である。

体外陰圧式勃起補助具

ガラス製あるいはプラスチック製などで作られた円筒に陰茎を挿入し、ポンプで円筒内の空気を抜き陰茎に負圧を掛けて血流の流入増を起こし勃起させる用具である。勃起後の陰茎にはコックバンドを装着し勃起を維持させる。


  1. ^ ダイヤグラム・グループ(編)、池上智寿子、根岸悦子(訳)、1976(原著), 1981(邦訳)、『マンズ・ボディー』、鎌倉書房
  2. ^ Sparling J (1997). “Penile erections: shape, angle, and length”. Journal of Sex & Marital Therapy 23 (3): 195–207. PMID 9292834. 
  3. ^ 入澤千晶, 加藤弘彰、「陰茎折症の6例 --本邦282例の臨床的観察--」『泌尿器科紀要』 1985年 31巻 8号 p.1477-1482, 泌尿器科紀要刊行会, hdl:2433/118562, PMID 4083209
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  4. ^ a b c d 三矢英輔, 瀬川昭夫, 近藤厚生、「持続陰茎勃起症」 『日本泌尿器科學會雑誌』 1969年 60巻 3号 p.231-236, doi:10.5980/jpnjurol1928.60.3_231, 日本泌尿器科学会
  5. ^ 土屋文雄, 豊田泰, 中川完二 ほか、「続発性陰茎癌による持続勃起症の3例」『日本泌尿器科學會雑誌』 1970年 61巻 7号 p.687-716, doi:10.5980/jpnjurol1928.61.7_687, 日本泌尿器科学会
  6. ^ Ernst Oppenheimer(編)、田崎寛、鈴木秋悦(訳)、1987、『生殖器』、日本チバガイギー


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