劇場版 美少女戦士セーラームーンR 劇場版 美少女戦士セーラームーンRの概要

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劇場版 美少女戦士セーラームーンR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/12 10:23 UTC 版)

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劇場版
美少女戦士セーラームーンR
監督 幾原邦彦
脚本 富田祐弘
製作 講談社
テレビ朝日
東映動画
出演者 三石琴乃
古谷徹
富沢美智恵
久川綾
篠原恵美
深見梨加
音楽 有澤孝紀
主題歌 ムーンライト伝説
Moon Revenge
撮影 高橋基
編集 吉川泰弘
配給 東映
公開 1993年12月5日
上映時間 60分
製作国 日本
言語 日本語
配給収入 13億円[1]
次作 劇場版 美少女戦士セーラームーンS
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監督は、後に『少女革命ウテナ』を監督した幾原邦彦

同時上映は『メイクアップ!セーラー戦士』と、『ツヨシしっかりしなさい ツヨシのタイムマシーンでしっかりしなさい』。

概要

シリーズ初の劇場化作品。94年邦画配給収入第7位を記録し[2]、配収13億円の大ヒットでその後のシリーズの映画化への道筋をつけた。「お祈りクリスタル」とジャンボカードダスが入場者特典。

時列的は、テレビシリーズの第88話(『R』第42話)でブラック・ムーン一族を倒してからちびうさが未来に帰るまでの間と解釈するのが妥当とされている[3]

テレビアニメではほとんど描かれなかった主人公・月野うさぎと他のセーラー戦士や地場衛との関係を描くなど、セーラームーンの集大成となっている[4][5]

「愛」という言葉はテレビシリーズで度々使用されているため、本作ではわずかに使用されたに留まった[6]

メインゲスト声優として、『R』テレビアニメ版のアニメオリジナルストーリーである「魔界樹編」で、銀河星十郎 / エイルを演じた緑川光がフィオレ役、銀河夏美 / アンを演じた冬馬由美がキセニアン役で出演。

物語のクライマックスで「Moon Revenge」が映画を効果的に盛り上げている[7]。歌詞は2番目の前半で各セーラー戦士の声を担当した声優がソロで歌う構成だが、劇中で彼女たちの回想と歌のソロパートがシンクロし、スペクタクルシーンとともに絶妙なタイミングで編集されている[8]セーラームーン・ミュージカルで音楽を担当していた作詞・冬杜花代子、作曲・小坂明子によるコンビが作詞・作曲を担当した。そのため、クライマックスはミュージカル映画のようでもあり、幾原の持ち味が強く出ているが[注 1]、それは東が制作当初から幾原の個性を全面に押し立てた作品にしたいと考えていたからである[9]

2017年6月30日(うさぎの誕生日)、セーラームーン25周年を記念して劇場版『美少女戦士セーラームーン R』HDリマスター版の初の発声可能応援上映イベントが開催されている[10]

2020年12月5日NHK BSプレミアムで放送された『発表!全美少女戦士セーラームーンアニメ大投票』では、本作が「あなたの好きなエピソード」の部門で第1位に選ばれた[11][注 2]

企画

映画化の話は1993年の年明け間もない頃からあったが[13]女児向けの映画が本当にヒットするのかという興行的な不安から、東映が映画化をためらっていた[要出典]。夏休み映画として公開する案もあった[13]が、結局「正月映画にふさわしい劇映画が見当たらずに利益率の高いアニメで勝負した」(当時の東映常務・鈴木常承の話)[14]ということで制作に入ったのは8月からで、制作スケジュールはとても短いものだった[15]。公開日は12月11日を予定していたが[注 3]、10月中旬に公開が12月5日に変更された[17]

原作よりの企画やセーラー戦士の二等身キャラの登場、さらには完全新作の3本立てといった様々な案を経て、外伝的内容として制作が決定[13]。企画完成後、最初の打ち合わせの時点から衛とフィオレの関係を中心とするのは決定していたが、その時点では完成作品以上に彼らを軸とする内容だった[18]

制作

テレビシリーズを支えていた作画監督の伊藤郁子長谷川眞也香川久に加え、新井浩一、須賀重行、濱洲英喜山内則康といった錚々たる顔ぶれのアニメーター陣[注 4]が作画(原画)に参加している。必殺技シーンは長谷川が作画担当している[19]

スタッフは本作の制作中、昼夜逆転生活を送っていた[17]。テレビアニメ『R』のブラック・ムーン編でシリーズ監督を担当していた幾原はテレビアニメの制作から撤退し[20]、ほとんど帰宅せずに東映動画スタジオ近くのアパートに部屋を借り(他のスタッフも制作の終盤に差し掛かってから)、そこからスタジオに通っていた[21]。また、伊藤は盲腸炎を起こして入院した[17]

セーラー戦士の変身シーンのアフレコではセーラー戦士の声優陣は演技に気合いが入り、幾原から演技のOKサインを出されても自らやり直しを申し出た[22]

評価

本作に感動した庵野秀明は、映画館で3度観た[23]緒方恵美[注 5]が本作で衛の少年時代の声を担当しており、貞本義行に映画のビデオを見せて、準備中だった「新世紀エヴァンゲリオン」の碇シンジの声は緒方しかないと力説した[24]

前述の『全美少女戦士セーラームーンアニメ大投票』で、アニメーション評論家の藤津亮太は「劇場版『R』は、テレビアニメ第45話と裏表でつながっている作品」と評している。第45話ではセーラームーン以外の4戦士が自分を犠牲にしてセーラームーンを最終決戦の舞台に送り出すという展開が描かれたが、本作はセーラームーンが人質にされた4戦士を犠牲にしてまでは戦わず、武器を手放して素手になるというシーンが描かれている。藤津はこれについて、「第45話と似た状況をわざと作っている」とした上で、「作品のドラマチックさや、キャラクターが作り手の中で深まっていく過程を見ることができる作品」ともコメントしている。

ストーリー

月野うさぎたちは地場衛とともに植物園を訪れる。そこに、空から舞い降りた無数の花ビラとともに謎の青年フィオレが現れた。彼は異星人であると同時に、衛の少年時代の友人だった。

一方、地球に接近する小惑星が観測された。それは植物の種のような外見をしていて、外見とは裏腹に中身は軽かった。

翌日、うさぎたちは花の妖魔グリシナにエナジーを奪われて操られた人々に襲われる。セーラームーンはグリシナを倒したが、そこに現れたフィオレの攻撃から彼女を庇ってタキシード仮面 = 衛が重傷を負わされたうえ、フィオレに連れ去られてしまう。責任を感じたセーラームーンは弱気な態度を見せるが、セーラー戦士たちに激励されて衛を助けることを決意し、セーラーテレポートによってフィオレを操っている怪物キセニアンの母星でもある例の小惑星に向かう。

小惑星一面に花が咲き誇っていて、衛やフィオレの姿もあった。フィオレは小惑星を地球に接近させた暁には、その花ですべての地球人のエナジーを奪って滅ぼそうとしていた。セーラー戦士たちは妖魔ダリアンと戦うが、セーラームーンを除いた4人がフィオレによって人質にされ、セーラームーンは彼女たちを傷つけたくない一心で戦闘を躊躇。その姿にフィオレは動揺するが、キセニアンと一体化してセーラームーンを倒そうとする。だが、タキシード仮面に阻止され、驚いたフィオレからキセニアンが分離して消滅すると同時に花も力を失った。それによって、小惑星は軌道が変更して地球に落下し始める。フィオレはセーラームーンを道連れにしようとするが、彼女が発動した銀水晶の力によって浄化されて消滅。

小惑星は大気圏に突入し、その摩擦熱で徐々に崩壊していく。セーラー戦士たちとタキシード仮面は、力を合わせて小惑星と地球との衝突を回避させることに成功したが、セーラームーンの命は尽きてしまった。しかし、フィオレが遺した命の花の蜜によって、セーラームーン = うさぎは息を吹き返した。


注釈

  1. ^ 幾原はテレビシリーズの第46話でクライマックスに主題歌を使用していて、本作はその表現をさらに推し進めたものと言える。
  2. ^ 奇しくも同番組は本作の劇場公開日と同じ日に放送され、幾原もTwitterで言及[12]
  3. ^ 3種類存在するポスターの中で最初に作られたポスターにも、12月11日公開と記載されていた[16]
  4. ^ 新井は「AKIRA」「MEMORIES 彼女の想い出」「スチームボーイ」など大友克洋の作品で原画、須賀は「キノの旅」や「GR GIANT ROBO ジャイアントロボ」などのキャラクターデザイン、濱洲は「PERFECT BLUE」や「千年女優」などの作画監督、「AKIRA」や「攻殻機動隊」の原画、山内は「王立宇宙軍」で飛行シーンの原画を、それぞれ担当。
  5. ^ a b 『R』時代にはカーディアン役やブラック・ムーン一族のペッツ役、『S』時代には天王はるか / セーラーウラヌス役を演じた。
  6. ^ 『R』時代には、ブラック・ムーンのコーアン役で出演。

出典

  1. ^ 1994年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  2. ^ 社団法人日本映画製作者連盟調べ。
  3. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 64, 「映画版なるほど百科 / テレビシリーズとの前後関係はどうなっているの?」.
  4. ^ メモリアルアルバム 1994, pp. 64-65, 「映画版なるほど百科事典 / どこかで見たぞ、この場面」.
  5. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 79, 「設定資料集 / 『セーラームーン』の集大成ですね 只野和子」.
  6. ^ メモリアルアルバム 1994, pp. 98-99, 「よりぬき原画集 / 映画こぼれ話」.
  7. ^ 「映画 美少女戦士セーラームーンR 音楽集」(日本コロムビア)の中のプロデューサー東伊里弥ライナーノート
  8. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 65, 「映画版なるほど百科事典 / ムーンリベンジは史上最強の挿入歌!」.
  9. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 76, 「大研究!映画のできるまで / 良い結果に終わったと思います 東伊里弥」.
  10. ^ 劇場版『美少女戦士セーラームーン R』応援上映&スペシャルゲストトークイベントが2017年6月30日(金)&7月1日(土)に開催決定!”. 超! アニメディア (2017年5月30日). 2017年6月14日閲覧。
  11. ^ https://www.nhk.or.jp/anime/sailormoon-all/ranking/?cat=chara NHK BSプレミアム『全美少女戦士セーラームーンアニメ大投票』内、2020年12月5日。
  12. ^ https://twitter.com/ikuni_noise/status/1335224620497084418 幾原邦彦のTwitterでの発言」 2020年12月5日。
  13. ^ a b c メモリアルアルバム 1994, p. 76, 「大研究!映画のできるまで / 「セーラームーン」三本立ての企画もあったのだ!?」
  14. ^ 日刊スポーツ 1993年12月6日 27面内記事
  15. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 77, 「大研究!映画のできるまで / 映画「セーラームーンR」制作スケジュール」.
  16. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 65, 「映画版なるほど百科事典 / ポスターは全部で三種類」.
  17. ^ a b c メモリアルアルバム 1994, pp. 90-95, 「映画制作中のスタッフをマンガでルポ 映画公開まで、あと50日!!」
  18. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 76, 「大研究!映画のできるまで / 最初は、フィオレと衛が主人公になるはずだった?」.
  19. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 67, 「Action sceneをコマ送りっ! / シュープリームサンダー(カゲキ・バージョン)」.
  20. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 84, 「幾原邦彦監督ロングインタビュー あらためて、月野うさぎについて本気で考えてみよう」.
  21. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 93, 「映画制作中のスタッフルームをマンガでルポ 映画公開まであと50日!! / 映画こぼれ話」.
  22. ^ a b c メモリアルアルバム 1994, p. 72, 「セーラーチーム追っかけ隊」
  23. ^ 「さらばセーラームーン 夢特集 幾原邦彦」(ハッピー興行新社)の中の庵野秀明の寄稿
  24. ^ 「eve 2015年の女神たち―新世紀エヴァンゲリオンPHOTO FILE」(角川書店)の中での貞本の発言より。
  25. ^ a b メモリアルアルバム 1994, p. 80, 「設定資料集 / キャラクター設定 フィオレ」
  26. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 82, 「設定資料集 / キャラクター設定 キセニアン」.
  27. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 83, 「設定資料集 / 美術設定 / 映画こぼれ話」.
  28. ^ メモリアルアルバム 1994, p. 71, 「セーラーチーム追っかけ隊」.


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