創傷 創傷の概要

創傷

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/07 08:51 UTC 版)

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創傷
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
外科学
ICD-10 T14.0-T14.1
ICD-9-CM 872-893
MeSH D014947
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応急処置の止血は圧迫による。創傷からの回復を促すために創傷環境調整が提唱されており、壊死組織の除去(デブリードマン)、感染や炎症への対処、乾燥の防止、滲出液の管理などがある[1]。軽い傷は水道水や、生理食塩水によって洗浄され、外用薬、適切な湿潤環境を維持するための薄い創傷被覆材(ドレッシング材)が用いられる。目的なく漫然と消毒などは行わず、感染しつつある段階から消毒抗生物質などによる対処が考慮され、壊死組織がある場合には除去され、滲出液を吸収するためのドレッシング材が選択される[1]

定義

「創にきずあり、傷にきずなし」といわれるように、創傷の定義では「創」は皮膚の破綻を伴う損傷を指し、「傷」は皮膚の破綻を伴わない損傷を指す。皮膚表面の損傷部分の、表面を創面(そうめん)と呼び、日常語では傷口(きずぐち)という。創の周辺部を、創縁(そうえん)と呼ぶ。創の底部、深い部分を創底(そうてい)と呼ぶ。銃創や、刺創(しそう)の様に、一般的に総面積が狭く、深い創の場合、創の表面を創口(そうこう)と呼称する。

軽傷と重症

創傷というのは、軽症の場合、生体の持つ自然治癒力によって、肉芽形成、繊維化の段階を経て自然治癒する[2]

人は日常生活を行う中で、些細なことで軽度の傷を作ることはそれなりにある。日常的にできる特に軽度の創傷の場合は、当人は特に何もしなくても、まったく痕跡も残さずきれいに自然治癒することも多い。また軽度のものの場合、一般に人々は、水による洗浄や絆創膏などの簡単な処置をするだけで、あとは自然治癒力にまかせて治しているが、稀に何らかの要因からその傷が痕となる形で残ってしまうことがある。

ただし、軽度の創傷や動物による咬み傷であっても、破傷風狂犬病、その他の感染症により、重篤な事態に至ることがある。

動物などの場合は基本的に自分の舌でなめて(唾液を用いて)、あとは自然治癒力で治している。人間でも、動物に倣って小さな擦過傷などはなめるだけで済ませる人もいる。

創傷を生じる場面

止血は圧迫によってなされ、重症では止血帯が用いられる。

損傷がある程度以上の範囲に及ぶ場合は、止血、縫合、修復、植皮などの外科的治療が必要[3]、あるいは望ましいとされている。こういった創傷というのは主として火災、交通事故、戦争、スポーツ、喧嘩、産業事故などの場面で発生している[2]

高齢者の場合は、日常生活の些細なことからもそれなりの損傷を受けやすい[2]。高齢者では階段の上り下り、敷居をまたぐ、などといった(若者にとってはなんでもない)動作をきっかけにして損傷を受けてしまうことがあるのである。また、高齢者の場合、若者に比べて創傷の自然治癒の速さもそれなりに遅くなるので、なおさらそれに悩まされる時間・頻度が多くなり、生活上の問題(QOLの問題)としてつきまとうことがある。

種類

創傷の形状および受傷機転により分類される。

切創(せっそう)
切り傷(きりきず)。ナイフのような刃物で切り裂いた線状の損傷。創面は滑らかで、汚染創(おせんそう)でなければ一期癒合が期待できる。創の程度により縫合処置が行われる。
裂創(れっそう)
打撃やねじれ、過伸展(かしんてん)などにより裂けた損傷。外力の加わり方によって様々な形状を呈する。縫合し得るものについては一期癒合が期待できるが、縫合不能なものは挫創と同様に肉芽組織(にくがそしき)の増殖による治癒を待つ。
割創(かっそう)
等の鈍器により、裂傷が皮膚組織すべてを引き裂き、骨等の内部組織が露出するような損傷。
擦過傷(さっかしょう)
擦り傷(すりきず)。体表に創があるが、擦過「傷」と呼ぶのが一般的である。創面を清浄化した後、創保護により皮膚の再生を待つ。
挫滅創(ざめつそう)
摩擦による損傷で、真皮や皮下組織・それ以下のレベルまで損傷したもの。あるいは急激な圧力による同様な損傷。(急激でない圧力によるものは褥瘡と言う)
挫創(ざそう)
打撃などの外力により組織が挫滅した創。創面は粗雑であり、縫合は一般的に困難である。壊死組織のデブリードマン(除去)や創保護を主とする治療が行われ、肉芽組織の増殖による自然治癒を待つ。
挫傷(ざしょう)
打撃、捻転、運動などの外力により内部の軟部組織が損傷したもので、体表に創がないもの。一般に保存的治療が行われる。筋挫傷のほか、脳挫傷肺挫傷のような臓器の損傷がある。
銃創(じゅうそう)
銃器の弾丸や火薬による創。射創(しゃそう)とも。貫通射創、盲管射創、反跳射創、擦過射創などの種類がある。また、距離による分類では接射創、準接射創、近射創、遠射創と区別される。近距離からの銃創は、弾丸の入口に星型のような破裂や火薬の付着があり、出口には不整形な破裂があることが多い。遠距離からの銃創は、弾丸の入口は円形で小さく、出口の方が大きく不整形なことが多い。
爆傷(ばくしょう)
爆発による損傷。ただし、爆傷は熱傷や衝撃による内部的損傷を伴う。殺傷用の爆発物による損傷であれば、多発性の銃創の病態も呈する。
刺創(しそう)
刺し傷(さしきず)。細長い鋭器で突き刺した損傷で、創口に比して創が深いのが特徴。外見からは内部の損傷程度を推し量ることが難しく、内部臓器へ達しているか、血管損傷があるか等の注意を要する。創断面が小さいため、一般に治癒は良好。ピアスもこの一部に分類できる。
杙創(よくそう)
刺創以外で、鈍的な物体が人体を貫通する傷。
咬創(こうそう)
動物にかまれた損傷。咬傷(こうしょう)とも。刺創と同様に創が深いが、創面は刺創ほど滑らかではなく、一般的に治癒しにくい。動物の牙には多くの病原菌が付着しているため、組織深部まで病原菌が侵入し、高確率で創感染を発症する。感染制御のため一期的に縫合せず開放創とすることが多い。また一部のヘビムカデなど毒牙を持つものでは毒素に対する治療も必要になる。

以下のものは創傷とは独立して扱われることが多い。

熱傷(ねっしょう)
火傷(やけど)。お湯や油などの熱により生じる損傷。
褥瘡(じょくそう)
床擦れ(とこずれ)。臨床的には、患者が長期にわたり同じ体勢で寝たきり等になった場合に、体と支持面との接触局所で血行が不全となって、周辺組織に壊死を起こすものをいう。



  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 日本皮膚科学会 2017.
  2. ^ a b c 保崎清人『臨床医学概論―生活習慣病を中心として』ヘルスシステム研究所;、2008年、第3版、26頁。ISBN 978-4902527575
  3. ^ 保崎清人『臨床医学概論―生活習慣病を中心として』ヘルスシステム研究所;、2008年、第3版。ISBN 978-4902527575
  4. ^ 英国国立医療技術評価機構 (2016年3月). “Chronic wounds: advanced wound dressings and antimicrobial dressings”. National Institute for Health and Care Excellence. 2018年6月10日閲覧。
  5. ^ 内山リカ「「傷跡」よ、さらば! 目立たなくする治療法やセルフケア続々登場」2014年5月9日。
  6. ^ Hemmati AA, Houshmand G, Ghorbanzadeh B, Nemati M, Behmanesh MA (2014). “Topical vitamin K1 promotes repair of full thickness wound in rat”. Indian J Pharmacol (4): 409–12. doi:10.4103/0253-7613.135953. PMC: 4118534. PMID 25097279. http://www.ijp-online.com/article.asp?issn=0253-7613;year=2014;volume=46;issue=4;spage=409;epage=412;aulast=Hemmati. 
  7. ^ a b Negut I, Grumezescu V, Grumezescu AM (September 2018). “Treatment Strategies for Infected Wounds”. Molecules (9). doi:10.3390/molecules23092392. PMC: 6225154. PMID 30231567. https://www.mdpi.com/1420-3049/23/9/2392/htm. 
  8. ^ Woollard AC, Tatham KC, Barker S (June 2007). “The influence of essential oils on the process of wound healing: a review of the current evidence”. J Wound Care (6): 255–7. doi:10.12968/jowc.2007.16.6.27064. PMID 17722522. 
  9. ^ Hartman D, Coetzee JC (September 2002). “Two US practitioners' experience of using essential oils for wound care”. J Wound Care (8): 317–20. doi:10.12968/jowc.2002.11.8.26432. PMID 12360766. 
  10. ^ Glowania HJ, Raulin C, Swoboda M (September 1987). “[Effect of chamomile on wound healing--a clinical double-blind study]” (German). Z. Hautkr. 62 (17): 1262, 1267–71. PMID 3318194. 
  11. ^ Pérez-Recalde M, Ruiz Arias IE, Hermida ÉB (January 2018). “Could essential oils enhance biopolymers performance for wound healing? A systematic review”. Phytomedicine: 57–65. doi:10.1016/j.phymed.2017.09.024. PMID 29425655. 
  12. ^ Lin TK, Zhong L, Santiago JL (December 2017). “Anti-Inflammatory and Skin Barrier Repair Effects of Topical Application of Some Plant Oils”. Int J Mol Sci (1). doi:10.3390/ijms19010070. PMC: 5796020. PMID 29280987. http://www.mdpi.com/1422-0067/19/1/70/htm. 
  13. ^ Dhivya S, Padma VV, Santhini E (December 2015). “Wound dressings - a review”. Biomedicine (Taipei) (4): 22. doi:10.7603/s40681-015-0022-9. PMC: 4662938. PMID 26615539. https://www.globalsciencejournals.com/article/10.7603/s40681-015-0022-9/fulltext.html. 


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