利根川
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名称
利根川の名称は、『万葉集』巻第十四に収載されている「東歌」のうち「上野国の歌」にある以下の和歌が文献上の初出である[37]。
— 『万葉集』巻第十四、東歌「上野国の歌」
- 刀祢河泊乃 可波世毛思良受 多太和多里 奈美尓安布能須 安敞流伎美可母(利根川の 川瀬も知らず ただ渡り 波にあふのす 逢へる君かも)
この和歌の冒頭にある「刀祢河泊」がすなわち利根川のことである。意味は「利根川の浅瀬の場所もよく考えないで真っ直ぐに渡ってしまい、突然波しぶきに当たるように、ばったりお逢いしたあなたです」と解され、庶民女性による寄物陳思の表現様式を採る相聞歌である。これについて犬養孝は自著『万葉の旅(中)』において、上野国の歌でありかつ人が渡河できる程度の川幅であることから、歌に詠まれた利根川の位置は現在の沼田市から渋川市にかけてではないかと推定している[37]。
和歌に見える「刀祢」について、これまで様々な説が提唱されたが何れも定説となっておらず、真の意味は未だに不明である。主な説としては利根郡から来た説、水源地の辺りには尖った峰すなわち「尖き峰(ときみね)」が多く、それが簡略転化したという説、水源である大水上山の別称「刀嶺岳」・「刀祢岳」・「刀根岳」・「大刀嶺岳」に由来する説[37][38]、「等禰直(とねのあたい)」あるいは「椎根津彦(しいねつひこ、とねつひこ)」という神の名に由来する説[39] などがある。さらに語源をたどるとアイヌ語に行き着くとされるが、そのアイヌ語の解釈も諸説ある。一例として「巨大な谷」を意味する「トンナイ」[39]、「沼や湖のように広くて大きい河川」という意味[37][38] などがある。
一方、利根川の別称である「坂東太郎」については、足柄峠と碓氷峠を境としてそれより東の諸国を総称する「坂東」を流れる日本最大の河川であることから名づけられた[40]。ちなみに同様の別称を付けられた河川としては九州地方最大の河川である筑後川が「筑紫次郎」、四国地方最大の河川である吉野川が「四国三郎」と呼ばれるほか、中国地方最大の河川である江の川が「中国太郎」と呼ばれることがある[41]。現在、利根川は源流から河口まで一貫して「利根川」の名称が用いられており、信濃川や淀川、筑後川などのように所在地によって河川名が異なることはない[注 4]。
注釈
- ^ 烏川の支流・鏑川に注ぐ二次支流である南牧川へ合流する三次支流、馬坂川の上流が長野県佐久市を流域としている。狭岩峡を参照。
- ^ 年間流出量および年平均の流量は、信濃川、最上川、阿賀野川、北上川、利根川の順で多い。利根川より上位の河川は、冬季の降水量(すなわち積雪量)が山間部・平野部ともに利根川に比べて多い地域を流れており、流域に豪雪地帯も存在するため、これらの河川の年間流出量は日本最大の流域をもつ利根川よりも多い。
- ^ マスクラットによる河川施設への被害としてはチェコのボヘミアでは1906年頃ため池の堤防に穴を開けたことが訴訟問題に発展。ドイツのテューリンゲンでは1927年堤防決壊が6件発生し、ドレスデンのモーリッツブルクではダム決壊事故まで発生した。
- ^ 例えば淀川の場合滋賀県では瀬田川、京都府では宇治川の別称で呼ばれており、淀川の名称は木津川と桂川合流点より大阪湾河口までの名称となる。ただし河川法上では琵琶湖流出口から河口までを淀川本流としている。
- ^ 国土交通省直轄ダムおよび水資源機構管理ダムについては全て該当する。これを特定水利と専門的には呼ぶ。
- ^ 「頃」とは当時の面積の単位で、1頃はおよそ1ヘクタールに相当する。この場合2,000ヘクタールの被害があった。
- ^ 1539年(天文8年)説もある。
- ^ 武蔵国、相模国、伊豆国、下総国、上総国一円と沼田を除く上野国、下野国の南部。
- ^ 同名の用水路は茨城県水戸市にも存在する。名の由来は忠次の官職である備前守に由来する。
- ^ 『下総国旧事考』では1621年開削とするが、『新編武蔵風土記稿』では1642年(寛永19年)開削説を採る。
- ^ 豊田堰自体は1839年(天保9年)に完成しているが、その前身となった堰は忠常が建設している。
- ^ 棒出しについては根岸門蔵『利根川治水考』で天保説を挙げるが、土木学会『明治以前日本土木史』では寛永説を採っている。
- ^ 1725年成立。勘定奉行支配下で江戸川・鬼怒川・小貝川・利根川下流を管轄する。1732年(享保17年)廃止。
- ^ 利根川のほかには北上川、鳴瀬川・江合川、最上川、信濃川、常願寺川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川の各水系が指定された。信濃川と常願寺川以外はダム計画が立てられている。
- ^ 22地域の詳細は河川総合開発事業#特定地域総合開発計画を参照
- ^ 現在は利根川、淀川のほか荒川、豊川、木曽川、吉野川、筑後川の各水系が開発対象となっている。
- ^ 川治ダム以外では八ッ場ダム、桐生川ダム(桐生川)、南摩ダム(南摩川)、湯西川ダム(湯西川)および霞ヶ浦開発が対象となっている。
- ^ この時に徳島県で建設省が進めていた細川内ダム計画(那賀川)が凍結、後に中止されている。以後大規模ダム事業の中止・凍結が相次ぐ。
- ^ 利根川水系で中止されたダム事業については中止したダム事業#関東の項目を参照
- ^ 完成年は導水先である佐久発電所の運転開始年とする。
- ^ 黒部川の川底を掘削して河道内の容量を増加させ、確保した容量を治水と上水道供給に利用する河川総合開発事業。
- ^ 貯水容量の1400万m3は牛久沼の治水容量である。
- ^ 『疏水名鑑』では1000年以上前に長野康業が開削したと記すが、『群馬県史』などの長野氏関連文献に康業の名は確認できない。史料上で長野氏の動向が確認できるのは室町時代後期以降である。また1526年当時の長野氏当主も諸説ある。詳細は上野長野氏を参照。
- ^ 現在も東北電力三居沢発電所(1,000 kW)として稼働している。
- ^ 重荒廃地域の定義は何れも大規模な1崩壊面積が0.3 km2以上、1禿しょ面積が2 km2以上、滑落崖地面積が1 km2以上存在する山地を指し、日本全国で14地域が指定されている。
- ^ 一般荒廃地域の定義は崩壊地(1%以上)・禿しょ地(10%以上)・滑落崖地(5%以上)が点在し、延べ面積が地域の相当量を占め、治水上重大な被害を及ぼす可能性がある地域を指す。日本全国で26地域が指定されている。
- ^ 足尾地域では毎年春に山焼きを行うのが恒例であったが、突風に煽られ野火が延焼し大火となった。
- ^ マグニチュードは6.8と推定されている。
- ^ ただしこの値は相対的なもので、猪名川や大和川、鶴見川といったワースト常連の河川も急速に水質改善が進んでいるためである。
- ^ 常陸利根川を含む
- ^ 宮城県の長沼と同率7位である。
- ^ 利根川水系以外では琵琶湖、八郎潟、児島湖、諏訪湖、野尻湖、宍道湖、中海および釜房ダム貯水池(釜房湖)が指定されている。
- ^ 久慈川、多摩川支流の浅川と並んで関東地方では最もBOD平均値が低い。
- ^ 成立順に行徳(市川市)・長島(江戸川区)・猿俣(葛飾区)・戸崎(三郷市)・大堺(八潮市)・鶴ヶ曽根(八潮市)・彦名(三郷市)と成立年代不明の鷲宮(久喜市)の8箇所。
- ^ 主なものとして大豆、麻、タバコ、木材、塩、魚、茶、醤油、綿などがある。
- ^ 1959年に現在の坂東橋が架橋され、旧橋は吾妻郡六合村の白砂川に架橋し直されている。
- ^ 1906年に国有化され、路線は国鉄を経て再度の民営化により現在は東日本旅客鉄道の所有である。
- ^ 1997年北陸新幹線の一部先行開通に伴いこの区間は廃止される。
- ^ アプト式ラックレールはその後1990年(平成2年)に長島ダム(大井川)建設に伴う大井川鐵道井川線付け替えにおいてアプトいちしろ駅 - 長島ダム駅間で採用され復活している。
- ^ 年代は特記しない限り路線開通年とする。
- ^ 2011年は行われない。
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- ^ 中世には利根川下流は現在の大落古利根川の流路を通るようになり南流して東京湾へ注いだ。
- ^ 現在の元荒川の流路となった。
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