利子 利子の概要

利子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/01 01:31 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

利息(りそく)と利子は通常同じ意味で使われるが、借りた場合に支払うものを利子、貸した場合に受け取るものを利息と使い分けることがある。また、銀行預金では利息と呼ぶ(ゆうちょ銀行では利子と呼ぶ)。法律用語としては利息を用いるのが通常である。

米の貸し借りの対価として支払われる「利子米(利米)」のように利子は金銭以外で支払われる場合もある。このような実物を対価とする利子を実物利子、金銭を対価とする利子を貨幣利子あるいは金利と呼ぶ[1]

概説

経済学上の定義

経済学的な定義では『将来時点における資金の、現在時点における相対的な価格』をいう。

もっとも、実際の金融取引における利子の本質については、上記の定義のように単に金銭の時間的な価値のみで説明するのではなく、それに加えて金融機関の提供するサービスの対価、債権の貸倒れに対する保証料ないしは保険料などが複雑に合成されたものと見ることもできる。ただ、サービスの対価も保険料も、時間が経過し「将来」となっていくことと密接であるため、金利と時間の関係は不可分である。

金利の高低は経済の景気動向を左右することがある。政府や中央銀行政策金利を変更することによって基準金利を決定できる場合が多い。経済学的には、貨幣市場における価格に相当する。金融市場では、貨幣需要と貨幣供給が一致するように利子率が調整される[2]。所得が増加すると貨幣需要が増加するが、貨幣供給量が一定である場合、利子率が上昇する[3]。一方で所得が減少すると、貨幣需要は減少し利子率は低下する[3]

金利には、名目金利実質金利が存在する。名目金利は、額面にかかる金利である。実質金利は名目金利から期待インフレ率を差し引いた分である。通常、名目金利は0%より下がらない[4]のに対し、実質金利はマイナスの値をとることがあり得る。

ファイナンス理論においては、金利は、通常は、貨幣の時間的価値と信用リスクの対価としての性質を有するものと考えられる。理論的には、無リスク資産に付される金利は貨幣の時間的価値のみを反映したものである。

法学上の定義

法学上の定義では、流動資本たる金銭その他の代替物の使用の対価として、元本額と使用期間に比例して、一定利率をもって支払われる金銭その他の代替物を指す[5]

通常は消費貸借契約あるいは消費寄託契約に伴って約定されるが、売買代金の支払などについて約定されることもある[6][7]

時間に比例するという点で遅延損害金が「遅延利息」と称されることがあるが、それは利息ではなく履行遅滞による損害賠償である[8][7]

元本債権の存在しない終身定期金民法第689条)、固定資本たる不代替物(土地建物機械)の使用の対価である地代小作料賃料、元本そのものの使用の対価である元本の償却金・分割払いの分割金・株式の配当金は利息ではない[7]

基本概念

利子は金額を指す。利率(りりつ)または利子率(りしりつ)は元本(債券の額面)に対するある一定期間(通常は1年間)の利子の割合を指す。利回り(りまわり)は、投資金額に対する最終的な受取利息から年平均の利率を計算したものである。たとえば100万円を年利(=1年間の利率)5%で複利で5年間貸し出したときの利息は127万6282円となるので、利回りは約5.52%となる。

金利は金額と割合のどちらも指す。金額は「増」「減」で表し、割合は「高」「低」で表す。だから、利子が増えるとは言っても、利率が増えるとは言わない。同じく、利率が低いとは言っても、利子が低いとは言わない。

利息の形態と計算

単利と複利

利子の形態には大きく分けて単利と複利の2つの方法がある。

  • 単利は、元本を変化させずに計算して利子を決める。
  • 複利は、元本に利子を加えた金額を元に計算して次回の利子を決める。

元本をa、単位期間当たりの利率をpとすると、n回の単位期間を経て利子がついたときの元利合計は、単利の場合 カテゴリ

  • 索引英語版
  • 一覧カテゴリ英語版
  • 概要英語版
  • 重要書籍英語版
  • ポータル

    1. ^ 『歴史学事典Ⅹ交換と消費』 弘文堂〈法律学全集 (20)〉、1994年2月、781頁
    2. ^ 田中秀臣 『経済論戦の読み方』 講談社〈講談社新書〉、2004年、66頁。
    3. ^ a b 田中秀臣 『経済論戦の読み方』 講談社〈講談社新書〉、2004年、63頁。
    4. ^ ただし、超低金利下で一時的にマイナス金利が発生することがあるほか、2012年にはデンマークが政策金利を0%未満にまで引き下げている(マイナス金利の世界に踏み込むデンマーク JBpress 2012年8月27日(フィナンシャル・タイムズ 2012年8月24日)、2013年10月30日閲覧)。
    5. ^ 於保不二雄著 『債権総論 新版』 有斐閣〈法律学全集 (20)〉、1972年1月、47頁・48頁
    6. ^ 川井健著 『民法概論〈3〉債権総論 第2版』 有斐閣、2005年12月、30頁
    7. ^ a b c d 於保不二雄著 『債権総論 補訂版』 有斐閣〈法律学全集 (20)〉、1972年1月、47頁
    8. ^ 川井健著 『民法概論〈3〉債権総論 第2版』 有斐閣、2005年12月、30頁
    9. ^ 『歴史学事典Ⅹ交換と消費』 弘文堂〈法律学全集 (20)〉、1994年2月、781頁
    10. ^ a b c 『世界大百科事典』2007年改訂新版(平凡社)、「利子」の項(筆者:清水廣一郎)
    11. ^ ジャック・ル・ゴッフ 『中世の高利貸』 渡辺香根夫訳、法政大学出版局〈叢書ウニベルシタス〉、20頁、1989年。
    12. ^ 『中世の高利貸』20-21頁。
    13. ^ 大澤武男 『ユダヤ人とドイツ』 講談社〈講談社現代新書〉、1991年、34頁。
    14. ^ 『中世の高利貸』44頁。
    15. ^ 『中世の高利貸』21、39頁。
    16. ^ 『中世の高利貸』88頁。
    17. ^ 『中世の高利貸』38-39頁。
    18. ^ 『ユダヤ人とドイツ』59-60頁。
    19. ^ 『中世の高利貸』41頁。
    20. ^ 『中世の高利貸』86-87、89頁。
    21. ^ 『中世の高利貸』23-24頁。
    22. ^ 『中世の高利貸』86-93頁。
    23. ^ 我妻栄著 『新訂 債権総論』 岩波書店〈民法講義Ⅳ〉、1964年3月、43頁
    24. ^ a b 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、17頁
    25. ^ 川井健著 『民法概論〈3〉債権総論 第2版』 有斐閣、2005年12月、30頁
    26. ^ 於保不二雄著 『債権総論 補訂版』 有斐閣〈法律学全集 (20)〉、1972年1月、50頁
    27. ^ a b c 民法(債権関係)改正がリース契約等に及ぼす影響 (PDF)”. 公益社団法人リース事業協会. 2020年3月21日閲覧。
    28. ^ 供託金利息の利率の変更に関する供託規則の一部改正について”. 法務省. 2020年4月1日閲覧。





    利子と同じ種類の言葉


    英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
    英語⇒日本語日本語⇒英語
      

    「利子」に関係したコラム

    • 株365や株式投資で必ず儲かる話は本当か

      株365や株式投資、FX、CFDなどで必ず儲かるという謳い文句で投資を勧誘する手口が後を絶ちません。勧誘の手口には次のようなものが挙げられます。「絶対儲かる。借金してでも投資する価値がある。」と絶対儲...

    辞書ショートカット

    すべての辞書の索引

    「利子」の関連用語

    利子のお隣キーワード
    検索ランキング

       

    英語⇒日本語
    日本語⇒英語
       



    利子のページの著作権
    Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

      
    ウィキペディアウィキペディア
    All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
    この記事は、ウィキペディアの利子 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

    ©2021 Weblio RSS