内視鏡
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/06 14:03 UTC 版)
種類
一般に以下の種類が製品化され存在する。
喉頭内視鏡
一般に「喉頭ファイバー」と言われている。一般に耳鼻咽喉科にて鼻腔、咽頭、喉頭(声帯を含む)、食道を観察する。
気管挿管の際に用いられる喉頭鏡(Laryngoscope)とは異なる。
気管支鏡
上部消化管内視鏡
一般に消化器内科にて用いられ、食道、胃、十二指腸までの上部消化管を観察する。軟性鏡が使用される。
十二指腸内視鏡
胆管・膵管を造影する検査のERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)に特化した内視鏡。軟性鏡が使用される。胆管や膵管の造影や、処置に使用される。後方斜視鏡のみが使用される。特殊な内視鏡としては、親子ファイバーという製品も存在し、それを使用することで胆管内部の観察まで可能になる。しかし、効果的な洗浄ができない可能性があり、多剤耐性菌の伝播リスクが生じるとして米食品医薬品局(FDA)は、2015年2月19日に安全性通信(Safety Communication)を発表している[28][29]
小腸内視鏡
内視鏡先端にバルーンが設置されているタイプである。種類としては「ダブルバルーン内視鏡」と「シングルバルーン内視鏡」が存在する。一般に消化器内科にて小腸を観察する。軟性鏡が使用される。
大腸内視鏡
下部内視鏡とも呼ばれ、一般に消化器内科にて直腸から結腸を観察する。軟性鏡が使用される。
カプセル内視鏡
胸腔鏡
胸腔内を観察する。肋骨の間を約1cm切開し内視鏡を挿入する。胸腔鏡を用いた肺や縦隔の手術(VATS)は切開創が小さく体への負担が比較的軽いとされる。硬性鏡が使用される。
腹腔鏡
腹腔内を観察する。硬性鏡が使用される。多くの場合はへその横を1〜2cmほど切開し内視鏡を挿入する。腹腔内はスペースがないため、気腹(腹腔内にガスを送り込んで腹を膨らませること)が行われる。
膀胱鏡
尿道および膀胱の内腔を観察する。硬性鏡と軟性鏡があり、目的・性別などにより使用する内視鏡を選択する。尿道口から挿入する。前立腺肥大症や膀胱腫瘍では内視鏡手術が広く普及している(TUR-P、TUR-Bt)。
胆道鏡
一般に経皮的と経口的があり、胆管の内腔を観察する。胆道病変に対し行われることがある。
関節鏡
関節の観察・処置を行う。
脊椎内視鏡
関節鏡とは異なり、関節腔内へ進入するのではなく、皮下組織や筋肉といった間質を分け入る。検査で用いられることはなく、脊柱管近傍の疾患である椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の治療を行う[30]。
血管内視鏡
冠動脈の観察・処置を行う。冠動脈内病変に対し行われる。
硬膜外腔内視鏡
その他
- ^ Lange F,Meltzing(1898).”Die Photographie des Mageninnern”. Münch Med Wochenschr.45:1585-1588.
- ^ 丹羽寛文『消化管内視鏡の歴史』改訂増補第2版、日本メディカルセンター、2010年、155-163、228-230頁。
- ^ 深海正治監修 胃カメラ歴史研究会編著『胃カメラ技術物語』めいけい出版、1999年、33頁。
- ^ Porges O,Heilpern J(1929).”Besprechung an der Gesellschaft der Ärzte in Wien”.Wien Klin Wochenschr.42:889.
- ^ 丹羽寛文『消化管内視鏡の歴史』改訂増補第2版、日本メディカルセンター、2010年、164-174頁。
- ^ Schindler R(1932).”Ein völlig ungefahrliches,flexibles Gastroscop”.Münch Med Wochenschr.79:1268-1269.
- ^ a b Schäfer PK,Sauerbruch T(2004).”Rudolf Schindler(1888-1968)-Father of Gastroscopy”.Zeitschrift für Gastroenterologie.42(6):550-556.
- ^ a b 丹羽寛文「消化管内視鏡の歴史」改訂増補第2版、日本メディカルセンター、2010年、122-135頁。
- ^ 杉浦睦夫. ガストロカメラ. 診療室 (PDF) . 1954, 6(8), 479-482, 533-535, NAID 40017938165
- ^ NHK『プロジェクトX~挑戦者たち」の第4回「ガンを探し出せ~完全国産・胃カメラ開発 』、2000年4月18日放送
- ^ NHK『映像の世紀バタフライエフェクト』の第28回「零戦 その後の敗者の戦い」(エピソードの一つとして放送)、2023年1月23日放送
- ^ 吉村昭『光る壁画』、読売新聞朝刊155回連載(1980年4月19日~9月23日)、新潮社:単行本(1981年)
- ^ 丹羽寛文『消化管内視鏡の発展を辿る』考古堂書店、2009年、41-44頁
- ^ 丹羽寛文『消化管内視鏡の歴史』改訂増補第2版、日本メディカルセンター、2010年、197-206頁
- ^ 深海正治監修 胃カメラ歴史研究会編著『胃カメラの技術物語』めいけい出版、1999年、67-69頁。
- ^ 鷲塚信彦「内視鏡の歴史と内視鏡技術の進化」『SEN'I GAKKAISHI』64(8)、2008、258-261
- ^ 深海正治監修 胃カメラ歴史研究会編著『胃カメラ技術物語』めいけい出版、1999年、57-64頁
- ^ 丹羽寛文『消化管内視鏡の歴史』改訂増補第2版、日本メディカルセンター、2010年、203-223、228-230頁。
- ^ 深海正治監修 胃カメラ歴史研究会編著『胃カメラの技術物語』めいけい出版、1999年、62-93頁。
- ^ 長廻紘『消化管内視鏡を育てた人々』金原出版、2001年、24-27頁。
- ^ 丹羽寛文『消化管内視鏡の歴史』改訂増補第2版、日本メディカルセンター、2010年、223-227頁。
- ^ 長廻紘『消化管内視鏡を育てた人々』金原出版、2001年、28-29頁。
- ^ 深海正治監修 胃カメラ歴史研究会編著『胃カメラの技術物語』めいけい出版、1999年、57-97頁。
- ^ 丹羽寛文『消化管内視鏡の歴史』改訂増補第2版、日本メディカルセンター、2010年、223-226頁。
- ^ 丹羽寛文・中村孝司編著『日本消化器内視鏡学会50年のあゆみ』東洋図書出版、2009年、3頁。
- ^ 丹羽寛文『消化管内視鏡の歴史』改訂増補第2版、日本メディカルセンター、2010年、579-581頁。
- ^ 丹羽寛文・中村孝司編著『日本消化器内視鏡学会50年のあゆみ』東洋図書出版、2009年、32頁。
- ^ Design of Endoscopic Retrograde Cholangiopancreatography(ERCP) Duodenoscopes May Impede Effective Cleaning: FDA Safety Communication U.S. Department of Health and Human Services. Date Issued: February 19, 2015
- ^ FDAの安全性通信発表を受け厚労省も医療機関に注意喚起 十二指腸内視鏡に多剤耐性菌の伝播リスク 日経メディカルオンライン 記事:2015年3月21日
- ^ [1]
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