共感 共感の概要

共感

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/07 10:21 UTC 版)

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共感の一例。友人がつらい表情をしているため自分もつらい感情を持ち相手をハグしている

共感性がたとえば友情を生み出す。友人になったきっかけは、「何となく」であることが多いが、「何となく」の本性は、共感性である。共感しない立場をとると、子猫を憎むことを主張しているかのように受け取られ、不興を買う[2]

動物においても類似の例はあり、たとえばコンラート・ローレンツはガンが湖に群れで舞い降り、また新たな餌場に移動する際に、鳴き声を互いに聞くことで気分を共有するのだと論じている。

共感の罠

人間は魅力的な人々、自分に似た人々、あるいは自らの民族的背景や国民的背景を共有している人々に類似点を見つけ、それに魅力を感じ、共感を抱く傾向がある。数値の違いや統計データにはさほど敏感ではない。故に、道徳、思いやり、優しさ、愛、良い隣人であること、正しいことをすること、そして世界をより良い場所にするなど、良いことをしたいのであれば、共感は悪い指針であり、良い人であるためには自制心と正義感とともに客観的な思いやりが必要だと、哲学・心理学協会(SPP)の前会長を務めていたイェール大学・心理学部教授ポール・ブルーム氏は主張している[2]

他人から共感されることは自分の存在を認めてもらえたという承認欲求を満たすことから、傾聴し共感を示すことは精神的な援助となる[3]。1993年以来、一般人が共感を示す対話スキルを学んで被災者高齢者の話を傾聴し、心のケアを行う傾聴ボランティアが増加している。一般にカウンセリングでは、クライアントの苦しみや辛さを追体験し、できる限り分かってあげることを共感という[3]。しかし、クライアントの個人的な経験によって発生した苦しみを、他人がその場で理解することは現実には無理がある。信田さよ子はカウンセリングにおける共感に対して懐疑的な見方をしており、クライアントの身になって考えよう、共感しようと思ったことはないと述べている[3]。強い共感を持つ人間たちは、一般的に見られる多くのうつや、不安に関連する病気症候群に悩む傾向がある[2]

荘子の考えた共感

しかしながら、実際に共感によって他人の感情がわかるのか、は永遠の謎である。論理的には、他人の感情は他人のものであり、それを確認する方法は実在しない。中国思想家である荘子の著書に「知魚楽(魚の楽しみを知る)」という小編があり、そこでは橋の上に立って魚を見て、「あれが魚の楽しみだ」という荘子に対して「君は魚でないのに、なぜ魚の楽しみがわかるのか」とくってかかる恵子の姿が描かれているが、論理的には恵子の言葉に反論するのは不可能である。にもかかわらず、共感は感情を共有する方法として機能している。

実際には本当に感情そのものを共有しているのではない点は重要である。たとえば俳優は偽りの感情を創造することで観客の共感を引き出すことが可能である。ただし俳優は演技により架空の人物と自分自身の共感性を高め偽りの感情を本物に近いものにすることもできる。

情動的共感と認知的共感

共感のしやすさ(共感力)を客観的に測定するテストとして、対人性反応性指標(interpersonal reactivity index,IRI)が広く用いられている[4]。IRIでは、他者の幸不幸に共感する気持ちを評価する「共感的配慮」、他者の立場に立って物事を自然に考えることができるかどうかを評価する「視点取得」、フィクションの人物に感情移入する傾向を評価する「空想」、他者の不幸な境遇を我が身に置き換えて恐怖を感じる傾向を評価する「個人的苦悩」の4つの尺度で共感力を測定する。

共感は、他者の感じていることを自分の感覚として感じる感情的側面と、相手の立場から見えるであろう状況を推測して分析する認知的側面によって成り立っている[4]。上記の4つの尺度のうち、視点取得のみが認知的共感に分類されており、他の3つは感情的共感に分類されている。また、共感力は他者の表情声色といった社会的信号の感受性にも左右される[4]

マーチン・ホフマンによれば、幼児期における共感の発達段階として、自己を投影して相手も同じことを感じているであろうとする段階(いわば自己中心的な共感であり、ヒトや場合によって状況が異なる可能性を考えない)を経て、やがて自分の境遇とは異なる相手の様子を推し量る段階に達するとしている。




  1. ^ DSM-IV-TR diagnostic criteria for narcissistic personality disorder,2000年
  2. ^ a b c d Against Empathy
  3. ^ a b c 池田理知子・五十嵐紀子(編)『よくわかるヘルスコミュニケーション』 ミネルヴァ書房 <やわらかアカデミズム<わかる>シリーズ> 2016年、ISBN 978-4-623-07786-1 pp.110-111.
  4. ^ a b c 金井 2013, pp. 60-65.
  5. ^ 日経サイエンス2013年2月号サイコパス特集


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