八郎潟 生物とその利用

八郎潟

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/13 14:48 UTC 版)

生物とその利用

干拓前は漁業が盛んに行われていた[7]。当時は汽水湖だったため、シジミが多く採れていたほか、シラウオカレイボラコイなどが水揚げされていた。春から秋にかけては巨大な白いを張った長さ12m程度の「潟船」(かたぶね)による、冬は氷を割っての人力による引き網が主だった。潟船は霞ヶ浦茨城県)から伝わった。また「モク」と呼ばれる沈水植物が家屋の雪囲いや敷物、肥料などに使われていた[12]。八郎潟漁業についての資料や漁具は、潟上市の道の駅てんのうで保存・展示されている[13]

八郎潟では氷下漁労が行われた。1794年(寛政6年)久保田城下上肴町の高桑與四郎が、諏訪湖に赴いて氷下漁労法と漁網制作法を伝授され、その方法を八郎潟の漁民一般に伝え大いに業が盛大になった。1804年(文化元年)高桑與四郎の上申によって久保田藩は魚役銀上納の制度を定めて、同人に漁業取締と銀取立役を命じ、役銀の半分を同人に賞賜し篤志と功労に報いた[14]

干拓後の漁業は八郎潟調整池での限定的なものとなり、淡水化によってシジミの収量も減少している。冬期間は凍った湖面上でワカサギ釣りがよく行われているが、ブラックバスなどの外来魚の流入で在来種の減少が確認され、その対策が行われている。

名前の由来

八郎潟の名称の由来としては、人からへと姿を変えられた八郎太郎という名の龍が、放浪の末に棲家として選んだという伝説が語り伝えられている。ただし伝説においても、八郎太郎は後に田沢湖へ移り住み、今や八郎潟には滅多に戻らないとされている。

また、斎藤隆介が八郎潟の由来について独自の解釈にて描いた児童文学作品『八郎』を執筆し、小学校の国語科の教科書に採用されたことがある[15]


  1. ^ 国土地理院 (2015年3月6日). “平成26年全国都道府県市区町村別面積調 湖沼面積” (PDF). 2015年3月11日閲覧。
  2. ^ a b 秋田県 (2007年4月). “二級河川馬場目川水系河川整備基本方針” (PDF). 2015年5月1日閲覧。
  3. ^ 国土地理院 (2015年3月6日). “平成26年全国都道府県市区町村別面積調 湖沼面積20傑” (PDF). 2015年3月11日閲覧。
  4. ^ 秋田県地誌略』、1875年、16頁。PDFファイルの8枚目。
  5. ^ 水面の一部が境界未定であり、5.77km2が大潟村に属するほかは、21.97km2の部分について男鹿市・潟上市・五城目町・井川町における境界は定まっていない。(同面積調)
  6. ^ a b c 大潟村百科事典 歴史 八郎潟干拓工事
  7. ^ a b c d 小林智仁、藤田龍之、知野泰明「八郎潟干拓事業の成立過程に関する一考察」『土木史研究』第21巻、土木学会、2001年、193-198頁、doi:10.2208/journalhs1990.21.193 
  8. ^ ニュース映像 第52号|ニュース映像NHK 戦争証言アーカイブス(日本ニュース<週間話題>1941年(昭和16年)6月3日公開、1分)
  9. ^ 可知貫一 保古の湖の生みの親公民館報ひがしの24号、1985.9.20
  10. ^ 秋田魁新報電子版 下河辺氏が八郎潟干拓を首相に進言 オランダ講和へ懐柔策 2016年12月25日閲覧。
  11. ^ a b c 新野直吉ほか『近代の秋田』秋田魁新報社、1991年11月20日、301-306頁。ISBN 4-87020-089-9 
  12. ^ 石川久保「八郎潟よみがえる原風景◇干拓前の引き網漁船を復元、水辺に活気取り戻す◇」『日本経済新聞』朝刊2017年5月5日文化面
  13. ^ 「潟の民俗展示室」紹介”. 道の駅てんのうスカイタワー(公式サイト). 2017年5月13日閲覧。
  14. ^ 佐竹義和公頌徳集 全』、天樹院公頌徳集編纂会、1921年、p.60
  15. ^ 過去の教科書 - 教育出版”. www.kyoiku-shuppan.co.jp. 2024年1月13日閲覧。


「八郎潟」の続きの解説一覧




八郎潟と同じ種類の言葉


固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「八郎潟」の関連用語

1
100% |||||

2
100% |||||

3
100% |||||

4
100% |||||

5
100% |||||

6
100% |||||

7
100% |||||

8
100% |||||

9
100% |||||

10
100% |||||

八郎潟のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



八郎潟のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの八郎潟 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS