光 光の概要

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/31 03:02 UTC 版)

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上方から入ってきた光の道筋が、散乱によって見えている様子。(米国のアンテロープ・キャニオンにて)

光の性質

レーザー光

光には以下のような基本的な性質がある。、

  • 光の直進
  • 光の反射屈折
    • 光は異なる媒質の境界面で反射あるいは屈折する[1]屈折率も参照。
    • 凸凹の無い平面鏡に当たった光は、鏡に当たったときと同じ角度で反射する(エウクレイデスの「光の反射の法則」)。
    • 光の屈折の際は、スネルの法則が成立する。
  • 光の透過吸収
    • 光が透明な媒質の境界面に当たったとき、その一部は境界面で反射するが、残りは媒質の内部を通過する現象を透過という[1]
    • 光が透明な媒質の内部を通過するとき、その内部へ吸収変換される現象を吸収という[1]
  • 光の干渉回折
    • 二つの光波(位相差が時間とともに変化しない同一周波数のコヒーレントな二つの光)が重なり合うことで光が強くなったり弱くなったりする現象を干渉という[1]
    • 光が伝搬するときに障害物の後方に回り込む現象を回折という[1]
  • 自然光と偏光
    • 平均的にいずれの方向に対しても同じ強さで振動しながら進行する光を自然光という[1]
    • 透明な物体に一定の角度で入射したときにみられる反射光が一つの面でしか振動しなくなった光を偏光という[1]

光速(光の速度)は、光源の運動状態にかかわらず、不変である(光速度不変の原理)。また、光は物質のない真空中の空間伝播することができる。光の強さは光源からの距離の2乗に反比例する(ケプラーの光の逆2乗の法則)。

なお、光が、人間の目に入る直線経路は複数とりうることを2穴のピンホールを用いた実験によってシャイネルが確認した(シャイネル試験)[4]

光の理解

思想史

光は様々な思想や宗教において、超越的存在者の属性を示すものとされた。古くから宗教に光は登場しており、より具体的には太陽と結びつけられることも多かった。古代エジプトの神、アメンラーなどはその一例である(太陽神も参照可)。プラトンの有名な「洞窟の比喩」では、光の源である太陽と最高原理「善のイデア」とを結びつけている。

新プラトン主義では、光に強弱や濃淡があることから、世界の多様性を説明しようとしており、哲学神秘主義が融合している。例えばプロティノスは「一者」「叡智(ヌース)」「」の3原理から世界を説明し、「一者」は、それ自体把握され得ないものであり光そのもの、「叡智(ヌース)」は「一者」を映し出しているものであり太陽であり、「魂」は「叡智」を受けて輝くもので月や星であるとし、光の比喩で世界の説明を論理化した。この新プラトン主義は魔術ヘルメス主義グノーシス主義にまで影響を及ぼした、とも言われている。

新約聖書』ではイエスにより「私は、世にいる間、世の光である」(ヨハネ福音書 9:5)と語られる。またイエスは弟子と群集に対して「あなたたちは世の光である」(地の塩、世の光)と語る。ディオニュシオス・アレオパギテースにおいては、父なる神が光源であり、光がイエスであり、イエスは天上界のイデアを明かし、人々の魂を照らすのであり、光による照明が人に認識を与えるのだとされた。この思想はキリスト教世界の思想に様々な形で影響を与えた。しばしば光=正義、闇=悪の二元対立としてたとえて語られた。

グノーシス主義では光と闇の二元的対立によって世界を説明した。

仏教では、光は、菩薩などの智慧慈悲を象徴するものとされる。

科学史

粒子説と波動説

「光は粒子なのか? それとも波なのか?」 この問題は20世紀前半まで、学者たちを大いに悩ませた。なぜなら、光が波であるとしなければ説明できない現象(たとえば光の干渉分光など)と、光が粒子であるとしなければ説明できない現象(たとえば光電効果など)が存在していたからである(詳細は後述)。

この問題は、20世紀量子力学が確立していく中でようやく解決することになった。不確定性原理によって生じた問題を説明するため、1927年ニールス・ボーアが、一方を確定すると他方が不確定になるような2つの量は、互いに補い合いあうことにより対象の完全な記述が得られるとする、相補性という概念を提唱したのである。この考え方が受け入れられ、「光は〈粒子性〉と〈波動性〉を併せ持つ」と表現されるようになった。

光の粒子性

ニュートンによって、光は粒子だとする説が唱えられた(粒子説)。アインシュタイン光子の概念を提唱し、これは現在まで用いられている。

粒子(量子)としての光を光子光量子)という。光子は電磁場量子化によって現れる量子の1つで、電磁相互作用を媒介する。

X線
紫外線
可視光線赤外線
  • 近赤外線(NIR)
  • 短波長赤外線(SWIR)
  • 中波長赤外線(MWIR)
  • 長波長赤外線(LWIR)
  • 遠赤外線(FIR)
マイクロ波電波
  1. ^ a b c d e f g h i 照明学会『照明ハンドブック 第2版』、2003年、7頁。
  2. ^ 「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(平成27年度版)」第1章 放射線の基礎知識 (pdf)”. 環境省. 2021年5月31日閲覧。
  3. ^ アルバート・アインシュタイン、金子務訳 『わが相対性理論』 白揚社、1981年、147頁。 
  4. ^ 小川鼎三 他4名編集『医学大辞典』 南山堂、1975年、657頁より。出典の表現を若干変更している。


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