光ファイバー 新しい光ファイバー

光ファイバー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/28 14:57 UTC 版)

新しい光ファイバー

フォトニック結晶ファイバー

フォトニック結晶ファイバーと呼ばれる新しい構造の光ファイバーが登場している。以下の2つのタイプがある。いずれも、クラッド部に等間隔の空孔が空けられている。

屈折率導波型
コア部がクラッド部のガラスと同じ素材で構成されており、別名ホーリー・ファイバーとも呼ばれる。クラッド部に作られた等間隔の空孔による屈折率1.0の低屈折率とコア部がクラッド部のガラスの1.5ほどの屈折率との大きな差によって光を閉じこめる。
フォトニック・バンドギャップ・ファイバー
コアが空孔で、クラッド部にも等間隔の空孔が空けられており、ブラッグ反射によって光が中央の空孔内を伝播する。非線形光学効果や、材料分散の影響がほとんどない光ファイバーが作られると期待されているが、孔の配列乱れ等により特性が劣化するため、現在は通常の光ファイバを越える損失特性を持つものはできていない。

増幅器用光ファイバー

光ファイバーはそのほとんど全てが通信用に使用されており、本記事中でも特に断らない限りすべて通信用光ファイバーについて記述している。1980年代後半に光ファイバーを使った光増幅器が発明されてからは、いくつかの改良を経て、2000年代後半の現在は、MCVD法によって製造される希土類イオンEr3+エルビウム)やPr3+プラセオジム)を添加した光増幅器専用の光ファイバーが製造されている。

希土類のハロゲン化物は蒸気圧を上げるのが困難なため、別に加熱するなどの工夫が求められている。

光ファイバーの用途

TOSLINK[注 3]光ファイバー・ケーブルが発光しているもの。写真では両端から光が出ているがこれは演出であり、左側のコネクタ内に光源を内蔵して、光を入射している。

通信線

光ファイバーは伝搬する光の損失が少ないため、長距離での光通信を行うことが可能である。また、光を用いるため早い速度での通信が可能である。このため、通信で主に使用される。通信用の光ファイバーについては光ケーブルを参照。

内視鏡

計測

光ファイバー内を伝わる光の変化によりいろいろな情報が得られ、測定が行える。光ファイバー自体がセンサーとして働くといえる。

散乱による計測
温度測定では、一点の温度でなく、光ファイバーの長さに渡っての一次元の温度が得られる。
干渉による計測
光ファイバジャイロスコープ
また一定間隔のパルスを送信して乱反射が返ってくる時間を測定することにより、正確に光ファイバーの屈折を検出することが可能となる。これによりトンネル工事などの現場の地盤の歪みなどを検出し、落盤事故などを防止することが可能とされる。
分散された蛍光体による計測
放射線計測装置
光ファイバー内に蛍光体を分散することで放射線が入射時に可視光を出してそれが伝わり端面から検出することができる[26]

光ファイバーメーカー

以下は2021年の世界シェアおよび順位[27]

  1. コーニング(アメリカ)- 17.22%
  2. 古河電気工業 - 12.41%
  3. YOFC(中国) - 長飛光繊光纜 12.18%
  4. ZTT(中国) - 中天科技集团 09.35%
  5. HTGD (中国) - 亨通光電 8.84%
  6. FUTONG (中国) - 富通集団 8.7%
  7. 住友電気工業 - 8.43%
  8. プリズミアン(イタリア)- 8.17%
  9. FiberHome(中国) - 烽火通信科技股分有限公司 7.76%
  10. フジクラ - 5.53%
  11. その他 - 1.41%

国内

2022年1月[28]

  1. 株式会社フジクラ 21.6%
  2. ⽇本製線株式会社 19.6%
  3. 住友電気工業株式会社 11.8%
  4. 古河電気工業株式会社 11.8%
  5. 株式会社ジュピターコーポレーション 7.8%
  6. アライドテレシス株式会社 7.8%
  7. 住友電工オプティフロンティア株式会社 3.9%
  8. 昭和電線ケーブルシステム株式会社 3.9%
  9. アンフェノールジャパン株式会社 3.9%
  10. ダイトロン株式会社 3.9%

その他


注釈

  1. ^ 「clad」は基本的に日本国内で用いられる呼称。英語圏では「外装」を意味する「cladding」が用いられる
  2. ^ 以下、損失は dB/km の単位を用いて記す。
  3. ^ TOSLINKは東芝が開発した光デジタル音声端子の規格である。

出典

  1. ^ 斎藤和彦, 「プラスチック光学繊維」『高分子』 1973年 22巻 8号 p.436-441, doi:10.1295/kobunshi.22.436
  2. ^ 世界初の標準外径19コア光ファイバを開発し、伝送容量の世界記録を更新”. プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES. 2023年4月28日閲覧。
  3. ^ 大河原 2008
  4. ^ a b c 須藤, 横浜 & 山田 2006
  5. ^ 岩崎 & 福井 2006, p. 126
  6. ^ 光ファイバ、dB、減衰および測定の概要シスコシステムズ、2008年1月24日
  7. ^ 関 壮夫、根岸 博、「光線通信方式ノ改良」、特許第125946号
  8. ^ http://www.sikhfoundation.org/people-events/dr.-narinder-kapany-the-man-who-bent-light/
  9. ^ Prathap, Gangan (March 2004), “Indian science slows down: The decline of open-ended research”, Current Science 86 (6): 768-769 [769] 
  10. ^ Bellis 1998
  11. ^ 板垣 2008
  12. ^ a b 高山 2017.
  13. ^ The Royal Swedish Academy of Sciences 2009, p. 3
  14. ^ The Nobel Prize in Physics 2009”. Nobel Foundation. 2009年10月6日閲覧。
  15. ^ DE patent 1254513, Dr. Manfred Börner, "Mehrstufiges Übertragungssystem für Pulscodemodulation dargestellte Nachrichten.", issued 1967-11-16, assigned to Telefunken Patentverwertungsgesellschaft m.b.H. 
  16. ^ US patent 3845293, Manfred Börner, "Electro-optical transmission system utilizing lasers" 
  17. ^ a b NTT 2007
  18. ^ NAS 1996
  19. ^ 長井 2006
  20. ^ VAD法の開発”. NTT技術資料舘. 2011年2月2日閲覧。
  21. ^ 光増幅器”. 映像情報メディア学会. 2018年2月12日閲覧。
  22. ^ Mears & Reekie 1987
  23. ^ 日本セラミックス協会 2006
  24. ^ 総務省 昭和60年版 通信白書
  25. ^ 光ファイバ接続の基礎知識”. 住友電工 Optigate. 2019年9月10日閲覧。
  26. ^ [ http://www.kuraray.co.jp/products/plastic/psf.html 放射線検出用光ファイバー]
  27. ^ The Top 10 Competitiveness Enterprises in the Optical Communications Industry of China & Global market in 2019” (英語). 2022年2月12日閲覧。
  28. ^ 【2022年版】光ファイバーケーブル製造メーカー12社一覧”. メトリー. 2022年2月12日閲覧。 “一部商社などの取扱い企業なども含みます”






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