優馬 優馬の概要

優馬

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/11 15:33 UTC 版)

優馬
販売されている優馬(左上)
種類 競馬新聞
(原則中央競馬開催日前日に発行)
サイズ ブランケット判

事業者 中光印刷株式会社
本社 東京都豊島区高田1-12-14
代表者 佐藤直文(社長兼発行人)
創刊 1966年(昭和41年)1月
前身 1馬
(1966年 - 2010年7月31日)
言語 日本語
価格 1部 【紙版】550円
【コンビニプリント版】
当日全レース掲載版570円
当日前半レース掲載版360円
当日後半レース掲載版360円
【競馬神7】
コンビニプリント版のみ500円
ウェブサイト http://umakeiba.com/
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誌面ロゴ

なお、かつてはホッカイドウ競馬版も発行していた。

2010年(平成22年)8月7日開催分(8月6日夕方発行)から現行の「優馬」に題号を変更した。それまでは「1馬」(いちうま)であった。本項では1馬時代についても記述する。

概要

毎週中央競馬開催日(原則として土・日曜日)の前日夕刻より東日本や関西を中心に全国主要駅売店・コンビニエンスストア競馬場場外勝馬投票券発売所(ウインズ)の新聞売店にて販売されている。

シンボルカラーは紺色[注 1]で、1馬時代は開催地をカタカナで表記していたのが特徴。「セイコー馬券教室」や、「馬連ABC作戦」といった看板コーナーがある。他の予想紙の多くが特定の競馬場のレースのみを全レース掲載している中(他の競馬場の情報は特別・重賞レースのみ掲載する場合が多い)、同日に開催される全レース(最大36レース)の情報を伝える全国紙という点も特筆される(2014年現在、最大36レース掲載は他に競友、サンケイスポーツの『競馬エイト』、デイリースポーツの「馬三郎」、東京スポーツ日刊スポーツのみ)。

各競馬場ごとに予想・携帯がしやすいよう分冊されているのも特徴である(おそらく全国発売開始以後から)。

発行元である中光印刷の社長を務めた竹國弘は「セイコー」の冠名を使用する中央競馬の馬主でもあり、2006年新潟ジャンプステークスを制したストームセイコー、2014年のアイビスサマーダッシュを制したセイコーライコウ[注 2]などを所有していた。

歴史

1962年(昭和37年)、関東の競馬新聞としては後発の『勝馬』が創刊した。勝馬は、後にダービーニュースの中興の祖となる荒木由太郎が創業者で、荒木は新興紙の勝馬を盛り立てるべく、日本短波放送ホースニュース・馬でパーフェクト予想を達成し波に乗っていた競馬評論家大川慶次郎をホースニュース社から引き抜き、看板評論家の座に据えた。

しかし、勝馬を発行する立馬株式会社の社内事情は悪く、翌1963年(昭和38年)には大半のスタッフが、荒木・大川と共にダービーニュースへ移籍。さらに1966年(昭和41年)、山岡事件日本中央競馬会が外郭団体を通じて発行していた『勝馬の栞』が廃刊になるのと前後して、再び立馬社内部は分裂状態になる。この時立馬社に在籍していた竹國弘が中心となって、新創刊したのが『1馬』である[2]

1馬は当時関東最後発の競馬新聞として積極的な攻勢をかけ、これが奏功し関東で最大シェア33%に達していたダービーニュースの市場を切り崩すことに成功する。

当初の看板評論家だった佐々木丘が早世。後任となった深沢五郎が紙面を盛り立てたが、1980年(昭和55年)、入社9年目の中堅だった清水成駿ラジオ関東(現・RFラジオ日本)『競馬実況中継』解説者として派遣される。1984年(昭和59年)には清水が編集長に昇格。清水のコラム『今日のスーパーショット』は紙面とラジオ解説のコラボレーションがうまく行ったこともあり熱狂的な支持者を生むようになり、清水の名前だけで売れる状態を創出。1馬は関東の競馬新聞業界トップに躍り出た。清水は1990年代前半頃までにファンのカリスマ的な尊敬を受けるなど、競馬評論家として関東トップクラスの地位を手にした。

また、中光印刷は2000年(平成12年)までに『競友』の版元である競友調教通信社を傘下に収め、兄弟紙とした。

2001年(平成13年)、清水が文筆業に専念したいとの理由で退社。

2003年(平成15年)、JRAは全レース全国発売を開始した。1馬は開催場の全レースを掲載する全国紙としてリニューアルし、それまでの関東以北に加え、愛知県以西の西日本でも販売を開始した。一方、競友は従来通り、関東地方のみの発売として棲み分けを図った。

一方で、竹國の死後は競合他紙との提携にも乗り出し、2019年からGI開催前日を中心に日刊ゲンダイと提携した『競馬神7』(けいばカミセブン)をコンビニプリント版限定で全国発売している。

新型コロナウイルス感染症パンデミックに伴う無観客競馬により紙版の売り上げが激減したため、2020年令和2年)10月4日付を最後に中京圏以西での紙版の販売を取りやめ、コンビニプリント版による全国発売に切り替えた。内容は従来通り、開催場全レース掲載を堅持する。また、2021年(令和3年)からは看板評論家の佐藤直文が発行人とクレジットされることになった。

放送系メディアとの関係

放送局ではラジオ日本および新潟放送(BSNラジオ)と長年にわたり深い関係を築いてきた。

ラジオ日本『競馬実況中継』には1980年(昭和55年)1月[3]から出稿を始め、以来途切れることなく解説者を派遣する。1980年代から1990年代にかけては清水が日曜2部のメイン解説者として活躍。清水は2001年の退社にあたって佐藤を後継に指名した。佐藤はその後、ダービーニュース出身の長谷川仁志と共に同番組のエース格解説者として君臨する。また、2006年(平成18年)勝馬の提供撤退後は清水と親しかったトラックマンや評論家がラジオ日本に多数出演するようになるなど、2016年(平成28年)に清水が亡くなった後も彼の影響が色濃く残っている。

2000年代以降はライバル紙ダービーニュースの事業縮小、そして撤退に伴い後継を引き受けるなどして同番組に最も多くのスタッフを送り込むこととなった。まず2002年(平成14年)、『中央競馬大作戦』が朝の直前番組として生まれ変わるのと同時に日曜日を担当し、佐藤を派遣。全国紙化後は関西常駐のトラックマンをレギュラー出演させる「きょうの関西馬情報」コーナーを設けた。2006年からは中京以西で行われるGIレースすべてに1馬関西の解説者を派遣するなど同番組のコンテンツ充実に大きく貢献。2011年2月のダービーニュースの提供降板を受けて、土曜2部と大作戦(土曜)も正式に引き継ぎ佐藤が土曜・日曜両方の2部に出演することになった。さらに2012年11月にUMAJINが日曜2部の提供を降板した際にも、後継のうまスクエアは2020年(令和2年)9月までメイン解説者を出さなかったため、優馬から送り出した。無観客競馬による売り上げ減少を受けて2020年7月19日の福島開催を最後にラジオ日本での全ての提供をいったん降板したが、佐藤らスタッフの解説者派遣は継続している。

新潟放送では新潟競馬開催時の中継(『BSNラジオ競馬中継』)に協賛・解説者を派遣し、展望番組『今日のねらい目勝負どころ』も長年提供してきたが、2020年9月6日の主場開催をもって提供を降板し(解説者派遣は継続)、『勝負どころ』も同年9月27日放送限りで終了した。


注釈

  1. ^ スカイブルーと呼ぶ場合もあるが、ケイシュウNEWSがスカイブルーと呼んでいるセルリアンブルーよりも色が濃く、プルシアンブルーに近い。
  2. ^ ただし、アイビスサマーダッシュを制した時には死去していたため馬主が竹國美枝子に変更となっている[1]
  3. ^ 日曜2部は2020年9月6日まで原則として後半固定だったが、3日間開催の2日目でかつ『VANで勝ち馬』の担当がある場合に限り、前半に出演した。このケースは2020年1月5日と12日に起こった。9月13日以降は前半固定。
  4. ^ 2011年3月3日から2019年9月27日まで担当。
  5. ^ 2011年3月4日から2019年12月22日まで担当。
  6. ^ 2011年3月3日から2019年11月2日まで担当。

出典

  1. ^ “【アイビスSD】7歳馬セイコーライコウ重賞初V!善臣「強かった」”. スポーツニッポン. (2014年8月14日). https://www.sponichi.co.jp/gamble/news/2014/08/04/kiji/K20140804008684150.html 2015年10月29日閲覧。 
  2. ^ 渡辺敬一郎『日本競馬闇の抗争事件簿 JRA利権に群がる亡者たち』(講談社+α文庫 ISBN 9784062812436
  3. ^ 朝日新聞縮刷版1980年1月号
  4. ^ 山崎啓介のTwitter - 2023年2月1日投稿。
  5. ^ I AM YOUR SINGER - 久光匡治ブログ『競馬 好きこそものの上手なれ』 2015年10月7日更新。
  6. ^ 庄司真さんのこと - 水上学『白線の内がわ』2015年10月7日更新。


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