傷病手当金 申請手続き

傷病手当金

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/12 02:21 UTC 版)

申請手続き

傷病手当金の支給を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を保険者に提出しなければならない(施行規則第84条1項)。

  1. 被保険者証の記号及び番号又は個人番号
  2. 被保険者の業務の種別
  3. 傷病名及びその原因並びに発病又は負傷の年月日
  4. 労務に服することができなかった期間
  5. 被保険者が報酬の全部又は一部を受けることができるときは、その報酬の額及び期間
  6. 傷病手当金が第108条3項但書又は4項但書の規定によるものであるときは、障害厚生年金又は障害手当金の別、その額(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づき障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金の額と当該障害基礎年金の額との合算額)、支給事由である傷病名、障害厚生年金又は障害手当金を受けることとなった年月日(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づき障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金を受けることとなった年月日及び当該障害基礎年金を受けることとなった年月日)並びに障害厚生年金を受けるべき場合においては、個人番号又は基礎年金番号及び当該障害厚生年金(当該障害厚生年金と同一の支給事由に基づき障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害厚生年金及び当該障害基礎年金)の年金証書の年金コード
  7. 傷病手当金が第108条5項但書の規定によるものであるときは、同項に規定する老齢退職年金給付の名称、その額、当該老齢退職年金給付を受けることとなった年月日、個人番号又は基礎年金番号及びその年金証書若しくはこれに準ずる書類の年金コード若しくは記号番号若しくは番号
  8. 傷病手当金が第109条の規定によるものであるときは、受けることができるはずであった報酬の額及び期間、受けることができなかった報酬の額及び期間、第108条1項但書、3項但書又は4項但書の規定により受けた傷病手当金の額並びに報酬を受けることができなかった理由
  9. 労務に服することができなかった期間中に介護保険法の規定による居宅介護サービス費に係る指定居宅サービス、特例居宅介護サービス費に係る居宅サービス若しくはこれに相当するサービス、地域密着型介護サービス費に係る指定地域密着型サービス、特例地域密着型介護サービス費に係る地域密着型サービス若しくはこれに相当するサービス、施設介護サービス費に係る指定施設サービス等、特例施設介護サービス費に係る施設サービス、介護予防サービス費に係る指定介護予防サービス又は特例介護予防サービス費に係る介護予防サービス若しくはこれに相当するサービスを受けたときは、同法に規定する被保険者証の保険者番号、被保険者番号及び保険者の名称

この申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。これらの書類が外国語で作成されたものであるときは、その書類に日本語の翻訳文を添付しなければならない(施行規則第84条2~8項)。

  • 被保険者の疾病又は負傷の発生した年月日、原因、主症状、経過の概要及び上記4.の期間に関する医師又は歯科医師意見書(これを証する医師又は歯科医師において診断年月日を記載し、記名及び押印をしなければならない)[3][4]
    • 一般的な医師の診断書と異なり、申請書に添付する医師意見書の交付は保険給付の対象となる(「療養の給付」に該当する。昭和60年3月29日保険発27号)[5]
    • 請求書には、労務不能期間に関する医師の証明書を添付すべきものではなくて、意見書を添付すべきものであり、従って、医師が実際に診療していない期間についても、医師が被保険者の既往の状態を推測して表示した意見書は傷病手当金を支給して差し支えない。ただし、保険者が、被保険者が労務不能の状態にあったことを認めなければ傷病手当金を支給する必要はない(昭和4年2月21日保理388号)。これは、支給の最終的な決定権者は保険者であり、保険者が医師の意見書と異なる取扱いをすることを容認しているということである。もっとも実務上は、医師が医学的根拠をもって記載した意見書を保険者が覆すということは、他の書類との整合性が取れない等の事情でもない限り稀である。
    • 複数の医師で見解が異なる場合(保険医Aは就労可能とし、保険医Bは就労不能と判断した場合)、保険者が労務不能と認めるのでなければ支給すべきものではない(昭和8年2月18日保規35号)。特に、被保険者の主治医と、被保険者の勤務する事業場内の産業医[6]とで見解が異なる場合に問題となる。被保険者が、主治医から労務不能であることについての意見が得られなかった場合、当該医師とは別の産業医に対し、労働者としての立場で就業についての意見を求め、意見を求められた当該産業医が任意に作成した書類を保険者に提出することは差し支えない。この場合、医師等の意見書には、労務不能と認められない疾病又は負傷に係る意見の記載を求めることとされる。また、このような場合、保険者が、被保険者本人の同意を得た上で、当該産業医の意見を聴くことも差し支えない。保険者においては、これらの書類の提出を受けた場合等には、双方の意見を参酌し、適切な判断をされたい。なお、厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」(平成16年10月、改訂平成21年3月)においては、主治医と産業医の連携が重要とされ、「主治医による職場復帰可能の判断」に当たっては、産業医をはじめとする産業保健スタッフが、あらかじめ主治医に対して職場で必要とされる業務遂行能力に関する情報の提供を行うことが望ましいとされている(平成26年9月1日厚生労働省保健局保健課事務連絡)。
  • 上記4.5.8に関する事業主の証明書[7][8]
  • 第108条3項の規定に該当する者については、障害厚生年金の年金証書の写し、障害厚生年金の額及びその支給開始年月を証する書類並びに障害厚生年金の直近の額を証する書類
  • 第108条4項の規定に該当する者については、障害手当金の支給を証する書類
  • 第108条5項の規定に該当する者については、老齢退職年金給付の年金証書又はこれに準ずる書類の写し、その額及びその支給開始年月を証する書類並びにその直近の額を証する書類
  • 第108条4項に規定する合計額が同項に規定する障害手当金の額に達したことにより傷病手当金の支給を受けるべきこととなった者については、障害手当金の支給を受けた日から当該合計額が当該障害手当金の額に達するに至った日までの期間に係る上記4.に掲げる期間及びその期間に受けた報酬の日額に関する事業主の証明書及び医師又は歯科医師の意見書
  • 傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の標準報酬月額が定められている直近の継続した12月以内の期間において、使用される事業所に変更があった場合においては、各事業所の名称、所在地及び各事業所に使用されていた期間
  • 健康保険組合の合併・分割・解散があった場合において消滅した健康保険組合の権利義務を新保険者が承継した場合においては、消滅した健康保険組合の名称及び当該各健康保険組合に加入していた期間



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  1. ^ 船員の傷病手当金について定めた船員保険法第69条には、健康保険法第99条のような「その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から」という要件が定められていない。
  2. ^ 出産手当金も傷病手当金も、支給額の計算方法自体は同じであるが、「支給を始める日の属する月以前直近12カ月」の平均で計算するので、出産手当金と傷病手当金とで支給開始月が違う場合、その間に定時決定等があると単価が異なる可能性がある。
  3. ^ 医師の意見書は必ずしも保険医のものである必要はなく、柔道整復師の施術を受けた場合は柔道整復師の意見書でも差支えないが(昭和2年3月26日保理118号、昭和25年1月17日保文発72号)、療養担当者としての意見書でなければならない。したがって、病院の名で出された意見書ではいけない(昭和3年12月27日保理3163号)。
  4. ^ 診療を受けた医師が死亡した後の意見書は、請求書にその事由を記載した書面を添付させ、医師、事業主その他関係者について調査した結果、ある期間労務不能の事実を確証し得たものに対しては支給して差し支えない(昭和6年7月25日保規158号)。
  5. ^ 柔道整復師は、患者から傷病手当金を受けるために必要な傷病手当金意見書の交付を求められたときは、無償で交付すること(平成11年10月20日保発144号・老発682号)。
  6. ^ 産業医が意見書を作成するに当たって企業内で被保険者の診療を行う場合には、企業内に診療所等の開設がなされていることが必要となる(医療法第1条の2、第7条、第8条、平成26年9月1日厚生労働省保健局保健課事務連絡)。診療所等の開設されていない企業内で定期巡視等の際に産業医が診療を行うことは、診療結果に基づいて被保険者に対して休職・降格等の不利益処分を企業が行った場合の訴訟リスクを抱えるため、通常はない。
  7. ^ 第99条の表記は「労務に服することができない期間」であるが、実際に事業主が証明するのは「労務に服さなかった期間」(休業期間)である(昭和9年10月4日保険発498号)。
  8. ^ 事業主が所在不明となり又は労働争議によりストライキ継続中事業主において被保険者の動静を知悉することができない理由で証明を拒み証明書添付不能の場合には、事業主所在不明のときは、請求書にその事由を記載した書面を添付させ、調査の結果、労務不能の事実を確認し得たものに対しては支給して差し支えないが、労働争議により被保険者の動静を知悉できない場合であっても、事業主は、労務不能の証明を拒むことはできない(昭和6年7月25日保規158号)。
  9. ^ がん患者の就労等に関する実態調査東京都福祉保健局、平成26年5月





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