信貴山城 城郭

信貴山城

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/19 21:47 UTC 版)

城郭

安土城図

この山城は大きくわけて、雄岳部分とその裾の扇型に派生した部分の2つからなる。曲輪の数は110以上あり、奈良県下最大規模の中世城郭である。

『和州信貴山古城図』では、空鉢堂が建っている部分を本丸、少し下ったところにある細曲輪が二の丸、ハイキングコースがある部分を三の丸と記載されている[1]

『探訪日本の城』によると、この本丸跡に4層の天守櫓が建っており、伊丹城(1521年)につぐ日本で2番目に建造された天守で、織田信長の安土城もこの天守を参考にしたのではないかと思われ、松永久秀は築城の才覚も備わっていたと記載されている[16]

信貴山城の天守については、『甲子夜話』に天守の始まりとして登場する[17]。実際の遺構については確認されていないが、文献上の建造年では伊丹城、楽田城(1558年)に次ぐ。この建物の名称については「高殿(たかどの)」や「高櫓(たかやぐら)」と呼んだという[18]

雄岳部分以外に、扇型に派生した曲輪群がある。

松永屋敷の東側にある階段曲輪

信貴山城の「古城図」において「立入殿屋敷」や「松永屋敷」と呼ばれている曲輪は、その形状からも屋敷地であったと考えられる[1]。『図説中世城郭事典』によれば、城域からは割られた石臼が発見されているが、これは石垣に用いられたもので、破城の際に崩された石垣の残骸であると考えられる[2]。そして、それは「立入殿屋敷」や「松永屋敷」の存在した曲輪の壁面に設けられていたが、破城時に石垣を崩したのではないかと考えられるという[2]

山城は、多人数で攻め込む敵に対して、少数の人数で守る事ができる利点がある。しかし、信貴山城は山全体に曲輪があり、兵力が散漫になり拠点防衛出来にくい難点がある。『風雲信長記』によると、松永久秀は散漫となっていた防御施設を松永屋敷を中心に、木沢長政時代の曲輪を一部破棄し土塁、東側の階段曲輪、堀切など拠点防衛が可能なように大幅改修したのではないかと指摘している[19]

更に『風雲信長記』によると、上洛前、織田信長系統の山城築城技術に「横堀」という防御施設はなく「堀切」を使用していた[19]。松永久秀は天理にある豊田城で横堀の防御施設を設けており、信貴山城でも松永屋敷の東側に土塁の防御施設があり、横堀と同様の効果があるとされている[19]。横堀はそのまま鉄砲の射撃陣地となり、鉄砲出現以降重要な防御施設とされていく[19]。織田信長系統でも、松永久秀の築城ノウハウを取り入れ、伊賀国丸山城以降横堀があらわれてくる[19]。しかし横堀は逆に城から討って出る時に邪魔になる弱点があり、虎口の効果を半減してしまう[19]。そこで、天正時代になると虎口に一定の空間を造るなどして弱点を克服していく[19]。このように織田信長系統の築城技術は、畿内もしくは松永久秀の築城技術を取り込んでいき、その弱点も改良していくが、逆にそのことが松永久秀の織田方での地位を徐々に弱体化していき、謀反の理由とも関係しているのではないか、と解説している[19]

信貴山山頂からの眺望。空鉢堂から南側を撮影、後方が金剛山

  1. ^ a b c d e f g 平井他 1980, pp. 323–326.
  2. ^ a b c d e f g 村田 1987, pp. 337–338.
  3. ^ a b c 中川 2017, p. 181.
  4. ^ a b c 中川 2017, p. 167.
  5. ^ 中川 2017, pp. 167–168.
  6. ^ 中川 2017, p. 168.
  7. ^ a b 中村, pp. 170–171.
  8. ^ http://www.shigisan.org/images/shigisancastlepamphlet.pdf
  9. ^ 谷口克広:織田信長家臣人名辞典第2版p443
  10. ^ a b c 中川 2017, pp. 171–172.
  11. ^ 中川 2017, p. 191.
  12. ^ 中川 2017, pp. 172–173.
  13. ^ 中川 2017, p. 172.
  14. ^ a b c 中川 2017, p. 178.
  15. ^ a b c d e f 中川 2017, pp. 179–181.
  16. ^ 小学館 1977, pp. 140–141.
  17. ^ 西ヶ谷恭弘監修『復原 名城天守』学習研究社 1996年[要ページ番号]
  18. ^ 平井聖監修『城 5 近畿』毎日新聞社 1996年[要ページ番号]
  19. ^ a b c d e f g h 学習研究社 1998, pp. 150–153.






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