依存症 依存症の概要

依存症

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/03 03:18 UTC 版)

日本語ではアルコール中毒薬物中毒のように、中毒と呼ばれることも多いが、現在医学用語として使われる物質の毒性に対する急性中毒慢性中毒(Intoxication)は、依存症とは異なる。たとえば腐った魚による食中毒は、まず依存症にはならないであろう[9]。自ら進んで腐った魚を繰り返し食するようにはならないからである[9]

関連の用語として嗜癖(しへき、: addiction)とは、物質使用を繰り返し、使用量が増加し、使用できない状態となると重篤な症状を呈し、使用に対する押さえがたい衝動が高まり、身体的・精神的悪化にいたる状態である[8]

渇望が生じている状態を「依存が形成された」と呼ぶ。依存対象の種類については、物質への依存(過食症、カフェイン依存症)や、ニコチン依存症アルコール依存症といった薬物依存症、過程・プロセスへの依存(ギャンブル依存症インターネット依存症借金依存症)、人間関係関係への依存(共依存、恋愛依存症、セックス依存症依存性パーソナリティ障害など)があり[9]、重大な精神疾患にいたるケースもある。

治療法としては、薬物療法認知行動療法動機づけ面接法などの有効性が確認されている[10]。また、自助グループへの参加も推奨されている[10][11]

依存症はモグラ叩きに相似する。ひとつの種類の依存が収まると、別の種類の依存が出現する。

  1. ^ “Chapter 15: Reinforcement and Addictive Disorders”. Molecular Neuropharmacology: A Foundation for Clinical Neuroscience (2nd ed.). New York: McGraw-Hill Medical. (2009). pp. 364–375. ISBN 9780071481274 
  2. ^ Nestler EJ (December 2013). “Cellular basis of memory for addiction”. Dialogues Clin. Neurosci. 15 (4): 431–443. PMC 3898681. PMID 24459410. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3898681/. 
  3. ^ Glossary of Terms”. Mount Sinai School of Medicine. Department of Neuroscience. 2015年2月9日閲覧。
  4. ^ “Neurobiologic Advances from the Brain Disease Model of Addiction”. N. Engl. J. Med. 374 (4): 363–371. (January 2016). doi:10.1056/NEJMra1511480. PMID 26816013. 
  5. ^ 中村春香、成田健一「嗜癖とは何か-その現代的意義を歴史的経緯から探る」『人文論究』第60巻第4号、2011年2月、 37-54頁、 NAID 120003802584
  6. ^ 世界保健機関 (1957) (pdf). WHO Expert Committee on Addiction-Producing Drugs - Seventh Report / WHO Technical Report Series 116 (Report). World Health Organization. pp. 9-10. http://whqlibdoc.who.int/trs/WHO_TRS_116.pdf. 
  7. ^ 世界保健機関 (1994) (pdf). Lexicon of alchol and drug term. World Health Organization. pp. 6. ISBN 92-4-154468-6. http://whqlibdoc.who.int/publications/9241544686.pdf  (HTML版 introductionが省略されている
  8. ^ a b c B.J.Kaplan; V.A.Sadock 『カプラン臨床精神医学テキスト DSM-5診断基準の臨床への展開』(3版)メディカルサイエンスインターナショナル、2016年5月31日、Chapt.20。ISBN 978-4895928526 
  9. ^ a b c d e f g h i j k l 信田さよ子 2000.
  10. ^ a b 佐久間寛之 (2021). “アルコール使用症群”. 精神科治療学 36: 160-161. 
  11. ^ 蒲生裕司 (2021). “ギャンブル症”. 精神科治療学 36: 175. 
  12. ^ 厚生労働省推計(平成11年調査)


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