仕事 (物理学) 概要

仕事 (物理学)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/05 13:18 UTC 版)

概要

物体に複数の力がかかる場合には、それぞれの力についての仕事を考えることができる。ある物体 A が別の物体 B から力を及ぼされながら物体 A が移動した場合には「物体 A が物体 B から仕事をされた」、または「物体 B が物体 A に仕事をした」のように表現する。ただし、仕事には移動方向の力の成分のみが影響するため、力が物体の移動方向と直交している場合には仕事はゼロであり、「物体 B は物体 A に仕事をしない」のように表現をする。力が移動方向とは逆側に向いている場合は仕事は負になる。これらの事柄は変位と力のベクトル内積として仕事が定義されることで数学的に表現される。すなわち仕事は正負の符号をとるスカラーである。

仕事が行われるときはエネルギーの増減が生じる。仕事は正負の符号をとるスカラーであり、正負の符号は混乱を招きやすいが、物体が正の仕事をした場合は物体のエネルギーが減り、負の仕事をした場合には物体のエネルギーが増える。仕事の他のエネルギーの移動の形態としてがあり、熱力学においては仕事を通じて内部エネルギーなどの熱力学関数が定義され、エネルギー保存の法則が成り立つように熱が定義される。

運動の第3法則により力は相互的であるが、仕事は相互的ではない。物体 B が物体 A に力を及ぼしているとき、物体 B は物体 A から逆向きで同じ大きさの力を及ぼされている。しかし物体 B が物体 A に仕事をするときに、物体 B は物体 A から逆符号の仕事をされているとは限らない。例えば、物体が床などの固定された剛な面の上を移動するとき、床と物体との間の抗力により、床は物体に仕事をするが、床は移動しないため、物体は床に仕事をしない。


注釈

  1. ^ ここでは、フックの法則が成り立つような理想的なばね、すなわち調和振動子を取り扱う。現実的なばねであっても、加える力や変位の大きさによってはフックの法則が成り立っている。

引用

  1. ^ 佐藤 & 国友 1984, pp. 11–14.





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