人間工学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/06 04:49 UTC 版)
代表的な人間工学の応用例
以下、代表的なものに限定して、人間工学の応用例を述べる。
航空産業分野
前述のとおり、ヒューマンファクターは、米国の航空産業から派生した考え方でもあり、航空機事故の原因を追求するとヒューマンエラーが必ずといって良いほど関わってくる。計器類の配置・デザインの改良、航空機の操作、そしてパイロットの疲労対策などあらゆる領域でエラー・リスクを軽減した結果、航空機の安全水準は、現在のレベルに至っている。
製造分野
人間工学の考えに基づいて設計された物の例としては、負担がかかりにくい椅子や、使用者の高さによってキーボードの高さを調節できるトレイがある机、長時間筆記しても疲れにくいシャープペンシルなどが挙げられる。
医療分野
例えば、医療ミスの1つである輸血ミスを防ぐためには、「研修を定期的に行い注意を徹底する」、「個人の努力任せ」というのが従来の対策であった。しかし、近年では人間工学を取り入れ、「文字を大きくする」、「血液型ごとに違う色のシールを貼り付けた袋を使う」、「差し込み口の形を変え一種類の管しか挿せないような構造にする(e.g. 酸素配管)」など、注意力が低下している時でも間違わないような対策が採られるようになってきている。
ICT分野
パソコン関連企業の中では、Appleが特に早い時期からソフトウェア人間工学に関心を寄せ、ユーザビリティに関する研究成果をマッキントッシュに結実させている。
従来のタイプライター由来の配列ではなく、指への負荷を考慮したエルゴノミクスキーボードが開発されている。
脚注
参考文献
- 正田亘『増補新版 人間工学』恒星社厚生閣,1997年
- 横溝克己・小松原明哲『エンジニアのための人間工学 第4版』日本出版サービス,2006年
関連項目
- ヒューマニクス
- ユニバーサルデザイン
- ヒューマンマシンインターフェース
- インダストリアルデザイン
- 日本経営学会
- 安全工学
- システム工学
- 芸術工学
- 建築計画学
- ユビキタスコンピューティング
- ユーザー中心設計
- ユーザーエクスペリエンス設計
- ^ 日本人間工学会「人間工学の歴史」
- ^ 「人間工学、その起源と歴史」
- ^ 上野継義「アメリカ人事管理運動と『人間工学』の諸相──人間工学ブームの盛衰──」福島大学『商学論集』83巻4号 (2015年3月): 93.
- ^ Winthrop Talbot, "A Study in Human Engineering," Human Engineering 1 (January 1911): 3-5.
- ^ 上野継義「アメリカ人事管理運動と『人間工学』の諸相──人間工学ブームの盛衰──」福島大学『商学論集』83巻4号 (2015年3月): 105-10.
- ^ JoAnne Brown, The Definition of a Profession: The Authority of Metaphor in the History of Intelligence Testing, 1890-1930 (Princeton: Princeton University Press, 1992), esp. chs. 7-8.
- ^ 坪内和夫『人間工学』(日刊工業新聞社, 1961), 12.
- ^ Gavriel Salvendy, ed., Handbook of Industrial Engineering, 3rd ed., 3 vols. (Hoboken, NJ: John Wiley & Sons, 2001).
- ^ 伊藤謙治ほか編『人間工学ハンドブック』(朝倉書店, 2003).
- ^ 松本亦太郎・田中寛一『人間工学』右文館,1921年
- ^ 正田亘『増補新版 人間工学』恒星社厚生閣,1997年,pp.7~8
- ^ ウエズレイ・E・ウドソン『人間工学』青木 和彦・野本 明訳,コロナ社,1956年
- ^ 倉田正一『人間工学』技報堂,1959年。「最初」の根拠は、正田亘『増補新版 人間工学』恒星社厚生閣,1997年,p8による。
- ^ 正田亘『増補新版 人間工学』恒星社厚生閣,1997年,p1
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