人生の意義
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文学における諸見解
ゲーテの見解
ゲーテの『ファウスト』においては金が欲しい、地位や名誉が欲しい、異性が欲しいなどの欲望は、欲望を満たしたとたんに次の新たな欲望が生じ、どこまでいっても満たされない、という「永遠の欲求不満」の状態に置かれてしまう[98]。 『ファウスト』における「人生の意味」「本当の幸福とは何か」「本物の満足とはどのようなことか」というテーマの答えは、自分の欲望の満足へのこだわりは突き抜けて、それを手放し、自己(小我)を超越し、利他の状態に至ったときにはじめて手に入るものだ、ということである[98]。
なお、ファウストの心の旅があらゆる学問への絶望から始まるように、人生の意味や真の幸福というのは、学問や思索によって得られるものではないのであり、「人生の意味は○○である」とか「真の幸福とは○○」であるということを書物や文章を読んで学んだところで、それで人生の意味や幸福が得られるわけではなく、実際に「自分の命を懸命に燃やす」ことによってのみ人生の意味や真の幸福はつかむことができる、と表現されているのである[98]。
各宗教における諸見解
仏教
原始仏教では四諦を示し、人生に存在する喜びと悲しみ(苦,ドゥッカ)を、渇愛の終止によって消滅させることを練習する(滅諦)[99]。人生の中で、喜びと悲しみの原因を見出すことを実践するのである。たとえば苦の原因の1つは、触(phassa)からもたらされる色への執着である[100]。それらはすべてサンカーラ(永続的でないもの)だからである[101]。
Attadatthaṃ paratthena bahunā'pi na hāpaye
Attadattham bhiññāya sadatthapasuto siyā.たとえ他人にとって、いかに大事であろうと、 他人の目的のために、自分の務めを捨て去ってはならない。
— パーリ仏典, ダンマパダ 12.Attavaggo 10, Sri Lanka Tripitaka Project
自分のなすべきことを熟知して、自分の務めに専念せよ。
奔流する渇愛の流れを、完全に枯渇させ、断ちきった修行僧は、
「今世」も「来世」もともに捨て去る。──蛇が古い皮を脱ぎ捨てるように。 — スッタニパータ 1.3
ヒンドゥー教
ヒンドゥー教において人生の目的は、ダルマ(道徳、倫理)、アルタ(富、財産、生計)、カーマ(欲望、性欲、情熱)、モークシャ(解脱,輪廻からの解放)である[102][103]。これら4つの目標はプルシャールタ(Puruṣārtha)と呼ばれている[104]。
キリスト教
イエス・キリストは、唯一の神を知り愛することこそ人間の最も大きな生きる目的だと教えた。そして他の人を愛することが次に大切なことであると教えた。これらの愛は無私の愛である。また、神を知る者には、永遠の命を与えられると述べ、命には永遠の意義があると説いている。イエスの弟子ヨハネも「神は愛である」と述べ、神の愛に倣って生きることが人間の本質であると書いた。[105]
イエスは言われた。「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』ー マタイ22章37-39(新共同訳)
「ただ一人のまことの神であるあなたと、あなたがこの地上にお遣わしになったわたしを知ること、それが永遠のいのちを得る道です。」ー ヨハネ17章3(リビングバイブル)
愛する者たち、互いに愛し合いましょう。愛は神から出るもので、愛する者は皆、神から生まれ、神を知っているからです。愛することのない者は神を知りません。神は愛だからです。ー ヨハネの手紙一4章7,8(新共同訳)
脚注
注釈
- ^ ゴーギャンたちは、タヒチの現地人が使う鮮やかな布地を「熱帯のエキゾチズムの典型」として描いたが、これらの布地はもとはフランスからの輸入品だった[1]。近代西洋の産物(○○イズム)が非西洋の土着文化として誤解・誤用されているという点で、反西洋主義や反合理主義は、タヒチの布地に喩えられる[1]。
- ^ 大脳の前頭前野は、人間の意志力・計画性・忍耐強さなどを──より専門的には「遂行(=エグゼクティブ)」機能を──担っている[38]。前頭前野は、企業の戦略計画を策定する「経営幹部(=エグゼクティブ)」と似ており、長期的な目標追求や大局的な分析のほとんどを行う[38]。対照的に、前頭前野よりも原始的な辺縁系は大脳の奥にあり、反射的で迅速な行動を促す[38]。
- ^ この数式の分母には小さな定数を加える必要があり、たいてい分母は定数1を加えられて「衝動性×遅れ+1」になる[40]。この定数が加えられる主な理由は、「衝動性」または「遅れ」が0に近い場合に計算結果(である動機づけ)が、現実を反映しなくなるほど極大化するのを防ぐため[40]。
- ^ "Additional research will be needed to determine whether finding purpose in life, even if a man does not feel it now, will lead to better health."[44]
- ^ 詳細は「人生の意義#遺伝子の乗り物・自然の手先」を参照
- ^ 諸宗教を科学や近代社会への対抗概念として、または新しい「科学」的概念として創り直した運動の中心は、ヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキー夫人らの神智学だった[89]。言い換えれば、近代に入って諸科学や経済が急速に発展しグローバル化する中で、世界各地の宗教・神話・伝統も一種の「グローバル化」を遂げていった[90]。そこでは多種多様な思想が、社会進化論をはじめとする疑似科学をも取り込んで、折衷的に融合していった[91]。その代表例として考えられているものは以下:
等[91]。
- ^ 具体例:
という思考[92]。「自分こそは他の人々に先んじて高度な霊性に到達した人間である」
精神的・霊的に「最高度」である者が崇拝され、他の成員たちは、その者の意思に全面的に服従しようとする[92]。こうした想い・考えについて理解しない者や批判する者に対しては、「霊性のレベルが低い」「低級霊や悪魔に取り憑かれている」「動物的存在に堕している」といった差別や攻撃を行う[92]。 - ^ 具体例:
という喜び・興奮・楽観と、その裏にある被害者意識や不安[92]。「目に見えない世界の法則をついに探り当てた」
自分たちの思想や団体が社会によって認知され、一定の批判を受けるようになると、精神的・魂的な楽観が被害妄想へと切り替わる[92]。しばしば陰謀論的であり、「目に見えない」闇の勢力やネットワークが、自分たちを「攻撃・迫害」しており、「真理」を「隠蔽」しようとしている等と思い込む[93]。 - ^ 具体例:
という原始的観念と、近現代科学(現代宇宙論)との混同[94]。「人間の霊魂は死後も永遠に存続する」
結果として、等の、超古代文明的・超古代史的な妄想が発展していく[94]。終末論(最後の審判や最終戦争論等)も関わっている可能性がある[94]。
出典
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