人事院 沿革

人事院

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/23 23:37 UTC 版)

沿革

  • 1947年昭和22年)11月1日 - 国家公務員法に基づいて、内閣総理大臣の所轄の下に臨時人事委員会が設置される。国の機関としての正式な「人事委員会」の開設日が「昭和23年7月1日から昭和24年1月1日までの間」と設定されたため、それまでの臨時代替機関として発足した。ただし、この時点では人事委員会発足に備える準備をするための権限に限られ、人事行政に関して対外的に命令を発するなどの本格的な権限は与えられなかった。
  • 1948年(昭和23年)7月1日 - 人事委員会発足まで、臨時人事委員会が人事行政に関する権限を行使することが認められた。
  • 1948年(昭和23年)12月3日 - 国家公務員法(第1次改正)により、当初予定していた「人事委員会」としての発足を見ないまま、内閣の所轄の下に「人事院」が設置される(臨時人事委員会は廃止)。
  • 1965年(昭和40年)5月19日 - ILO87号条約の批准に伴う国家公務員法等の改正により、内閣の指揮監督に関する事項を扱い、政府の対組合の窓口となる機関として総理府に人事局(現在の内閣人事局)が設けられ、人事院の機能の一部が移管された。
  • 2008年平成20年)6月13日 - 人事院の機能の一部を移管して新たに内閣官房に内閣人事局を設置することなどを定めた国家公務員制度改革基本法が公布・施行される。

所掌事務

国家公務員法により、人事院は、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、採用試験及び任免、給与、研修、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保及び職員の利益の保護等に関する事務をつかさどる(第3条第2項)。

「給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告」は人事院勧告と通称され、その一つに給与勧告がある(詳細は人事院勧告を参照)。これは国家公務員の給与水準を民間に均衡させること(民間準拠)を原理として運用されている。具体的には「民間給与実態調査」で従業員50人以上の事業所を対象に給与制度や金額を調査し、そのデータをもとにして官民給与較差を算出し、その分だけ給与水準の上下を勧告している。国家公務員の給与水準の決定に強い影響をおよぼすことから、人事院の権限中、重も重要視される。

組織

人事院の内部組織は「人事院規則二―三―二五(人事院事務総局等の組織)が規定している。国家公務員法第4条第4項により、「人事院は、その内部機構を管理する」とされているためであるが、会計検査院では、法律で各局の設置を規定し、細目を会計検査院規則で定めるのに対し、人事院では、国家公務員法自体には事務総局を置く規定のみで、「事務総局の組織及び法律顧問に関し必要な事項は、人事院規則でこれを定める。」(第13条第2項)とすべて人事院規則によるとしている。

人事官・人事院会議

  • 人事院総裁(人事官)
  • 人事官(人事院総裁のほか2名)

人事院は人事官3人をもって組織される(詳細は人事官を参照)。「人事官は、人格が高潔で、民主的な統治組織と成績本位の原則による能率的な事務の処理に理解があり、且つ、人事行政に関し識見を有する年齢35年以上の者の中から、両議院の同意を経て、内閣が、これを任命する」こととされている(国公法第5条)。また、その任免は天皇認証する。人事官のうち1人は人事院総裁として任命され、院務を総理し、人事院を代表する。

人事官の任命条件には「人事官の任命については、その中の2人が、同一政党に属し、又は同一の大学学部を卒業した者となることとなつてはならない」(第5条第5項)という規定も置かれている。このように出身大学学部の重複が禁止された官職は他になく、国家公務員法の制定・一次改正を主導したGHQのブレイン・フーヴァー(Blaine Hoover)公務員課長が東大法科出身の官僚による学閥支配を防ぐことを意図して設けた規定と言われる[7]。第2代目(1953年)から2009年まで、人事官は事務系官僚が1人、技術系が1人、全国紙やNHKなどのマスコミ系が1人という出身構成が慣例であった[7][8]。人事官の任期は1期4年、最長で3期まで再任できる。また国公法で定める場合を除き、その意に反して罷免することはできず、強くその身分が保障されている。そのため、内閣が交代しても人事官の人事は直接影響を受けない。

人事院会議は少なくとも週1回は開くことが常例とされ、その議決を要する事項には、人事院規則の制定改廃、人事院勧告、公平審査の判定などが国家公務員法第12条第6項に列挙されている。なお、事務総長は会議に幹事として出席し、議事録を作成する。人事院の下には事務総局、国家公務員倫理審査会、法律顧問、人事院総裁秘書官を置く。事務総長は総裁の職務執行の補助者となり、その一般的監督の下に、人事院の事務上及び技術上のすべての活動を指揮監督する。

事務総局

国家公務員法第13条により、人事院の下に事務総局がおかれている。事務総長以下の機関は「人事院規則二―三―二五(人事院事務総局等の組織)」が規定している。長は事務総長で、事務総局の事務を総括する。内部部局として5課4局が置かれ、5課は省庁における国家行政組織法上の官房に相当する。内部部局の外には公務員研修所、地方事務局等、委員会等が置かれ、それぞれ国家行政組織法上の施設等機関、地方支分部局、審議会等に準ずるものとされる。

  • 事務総長
  • 総括審議官
  • 審議官兼公文書監理官
  • サイバーセキュリティ・情報化審議官
  • 政策立案参事官
  • 総務課 - 広報室
  • 企画法制課 - 法制調査室
  • 人事課 - 能率厚生管理室
  • 会計課
  • 国際課
  • 職員福祉局 - 職員福祉課、審査課、補償課
  • 人材局 - 企画課、試験課、研修推進課、首席試験専門官
  • 給与局 - 給与第一課、給与第二課、給与第三課、生涯設計課
給与第二課は、給与についての法令の実施、級別定数の設定及び維持管理を所掌。歴代課長は1953年4月より財務省(旧大蔵省)からの出向者が務めてきた[9]。元人事院公平局審議官の川村裕三は、この人事の理由について級別定数が「予算の範囲内で」設定することになっている(給与法第8条第1項)からかもしれないと述べている。また給与第二課長だけが専用の課長室があり、他の課長のように大部屋ではなかったと振り返っている[10]
  • 公平審査局 - 調整課、職員相談課、首席審理官

公務員研修所

主に各府省の推薦する上級管理者・職員や合同研修対象職員に対して行う合同研修をつかさどる施設である。埼玉県入間市に所在。教務部のほか教授14人(うち10人は併任)を置き、教授、演習の指導及び調査研究を行う。また、事務組織として教務部をおく。

地方事務局等

地方事務局は各管轄区域における人事院の事務計画の実施をつかさどる。全国に8つの地方事務局があり、それぞれに総務課、第一課、第二課の3課が置かれている。なお、沖縄は当分の間那覇市にある沖縄事務所が管轄することになっており、こちらは総務課と調査課の2課を置く。

各地方事務局等の所在地と管轄区域は次の通りである。

  • 人事院北海道事務局 - 札幌市。北海道
  • 人事院東北事務局 - 仙台市。青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
  • 人事院関東事務局 - さいたま市。茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、新潟県、長野県
  • 人事院中部事務局 - 名古屋市。岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、富山県、石川県、福井県
  • 人事院近畿事務局 - 大阪市。滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
  • 人事院中国事務局 - 広島市。鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
  • 人事院四国事務局 - 高松市。徳島県、香川県、愛媛県、高知県
  • 人事院九州事務局 - 福岡市。福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
  • 人事院沖縄事務所 - 那覇市。沖縄県

委員会等

  • 公平委員会
  • 苦情審査委員会
  • 災害補償審査委員会
  • 健康専門委員
  • 安全専門委員
  • 試験専門委員

国家公務員倫理審査会


注釈

  1. ^ 1982年に財政難、2011年東日本大震災で行政措置要求の実施が見送られた[4]
  2. ^ 衆議院議長参議院議長最高裁判所長官、会計検査院長は、各省各庁の長である。

出典

  1. ^ 我が国の統治機構 内閣官房 2022年3月22日閲覧。
  2. ^ a b 人事院規則二 ― 一四(人事院の職員の定員)(最終改正:平成31年3月29日人事院規則二 ― 一四 ― 一五) - e-Gov法令検索
  3. ^ a b c 令和4年度一般会計予算 (PDF) 財務省
  4. ^ 藤井(2017),p.110
  5. ^ 佐藤達夫「国家公務員法-第8次改訂版」学陽書房、2009年6月。
  6. ^ a b c 内政問題研究会 編 『官僚の系譜 権力の座に居る人たち』 厚文社 p.124–125
  7. ^ a b 川村裕三『ものがたり公務員法-あらためて公務の原点を考える』日本評論社、1997年9月。
  8. ^ “人事院首脳ポストは 「マスコミOB指定席」だった”. J-CASTニュース. (2009年2月4日). http://www.j-cast.com/2009/02/04035401.html 2010年1月10日閲覧。 
  9. ^ 第171回国会 衆議院 予算委員会 第21号 平成21年2月26日
  10. ^ 中野雅至『天下りの研究-その実態とメカニズムの解明』明石書店、2009年9月。
  11. ^ 独立行政法人一覧(令和3年4月1日現在) (PDF)”. 総務省. 2021年4月16日閲覧。
  12. ^ 所管府省別特殊法人一覧(令和3年4月1日現在) (PDF)”. 総務省. 2021年4月16日閲覧。
  13. ^ 特別の法律により設立される民間法人一覧(令和3年4月1日現在:34法人) (PDF)”. 総務省. 2021年4月16日閲覧。
  14. ^ 一般職国家公務員在職状況統計表 (PDF) (令和3年7月1日現在)
  15. ^ 令和2年度 年次報告書(公務員白書) 「第1編第3部第6章:職員団体 - 資料6-2;職員団体の登録状況。2021年3月31日現在。 (PDF)
  16. ^ 人事院 令和4年2月1日現在 (PDF) 人事院






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