交響曲第9番 (ベートーヴェン) 曲の構成

交響曲第9番 (ベートーヴェン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/27 06:25 UTC 版)

曲の構成

一般的な交響曲の「アレグロソナタ - 緩徐楽章 - 舞曲 - 終楽章」という構成と比べ、第2楽章と第3楽章が入れ替わり、第2楽章に舞曲由来のスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章が来ている。このような楽章順は初期のハイドンなどには見られたが、次第に第2楽章が緩徐楽章、第3楽章がメヌエット(舞曲)という構成が固定化していた。ベートーヴェンによって再び取り上げられた形となり、以後この形式も定着し、後の作曲家はこの形式でも交響曲を作るようになった。

また、第3楽章と第4楽章が共に変奏曲に基づく楽曲であり、交響曲のみならず他のジャンルの絶対音楽を含めても、2つの楽章が続けて変奏曲であることは極めて異例である。

第1楽章

Allegro ma non troppo, un poco maestoso ニ短調 4分の2拍子

音楽・音声外部リンク
第1楽章
Allegro ma non troppo, un poco maestoso
ケルンWDR交響楽団他 - ユッカ=ペッカ・サラステ指揮。ケルンWDR交響楽団公式YouTube。
ガリシア交響楽団他 - ヴィクトール・パブロ・ペレス(Víctor Pablo Pérez)指揮。ガリシア交響楽団(Orquesta Sinfónica de Galicia)公式YouTube。

ソナタ形式。革新的要素の多い楽章。

冒頭の、弦楽器のトレモロとホルンの持続音にのせて、調性の長短が不明な断片的動機空虚五度の和音で提示され、それが発展して第1主題になるという動機の展開手法は非常に斬新なものである。第1主題は、ニ音イ音による完全五度を骨格とした力強い主題であり、一度目は主調のニ短調で、冒頭がリピートされたのち二度目は変ロ長調で立ち現れるが、すぐにニ短調に戻り、強奏でこれが定着される。第2主題導入部は、第4楽章で現れる「歓喜」の主題を暗示するような優しいものであるが、これも変ロ長調で、通常、主調の平行調または属調で現れる提示部第2主題が下属調平行調になっている。それを引きついだコデッタは形式どおり長調で展開されるが、弦と木管の応答部分では、同じフレーズが短調と長調で交互に繰り返されるなど、長調と短調の葛藤が垣間見られる。提示部はベートーヴェンの交響曲で最も長大なためもあってか反復指定がない。

展開部は再び、冒頭の和音で始まるが、すぐに短調となり、第1主題がほぼ提示部と同じ長さ、変奏、展開される。

再現部は展開部のクライマックスを兼ねるようなものとなっており、冒頭の和音と主題がffの全奏で再現される。ティンパニもffのロールを持続しながら「ニ、イ」の主題動機の強打に参加し、圧巻のクライマックスが築かれる。(提示部と再現部の冒頭の変奏の差はこれまでのベートーヴェンの交響曲にも見られたが、ここでは特に大きい)第2主題は再現部の定型通りニ長調で演奏され提示部以上に歓喜の歌を連想させが、すぐさまニ短調に押し流され、以降、短調による激しい展開となる。コーダは最後、半音階をすべり落ちるような不気味なオスティナートに導かれ、それに全弦が誘い込まれたところで全奏となり、第1主題のユニゾンで締めくくられる。

第2楽章

Molto vivace ニ短調 4分の3拍子 - Presto ニ長調 2分の2拍子 - Molto vivace - Presto

音楽・音声外部リンク
第2楽章
Molto vivace - Presto
ケルンWDR交響楽団他 - ユッカ=ペッカ・サラステ指揮。ケルンWDR交響楽団公式YouTube。
ガリシア交響楽団他 - ヴィクトール・パブロ・ペレス(Víctor Pablo Pérez)指揮。ガリシア交響楽団(Orquesta Sinfónica de Galicia)公式YouTube。

複合三部形式をとるスケルツォ楽章である。スケルツォ部分だけでソナタ形式をとる。提示部、展開部・再現部ともに反復指定あり。

序奏として、第1楽章を受け継ぐような、ニ短調の主和音の降下が、弦楽器のユニゾンとティンパニで出るが、ユニークなことに、主和音でニ短調を決定づけるF音のオクターブに高低2音ともティンパニが調律されている。(通常、ニ短調の場合、ティンパニはAとDに調律される。ベートーヴェンは、既に第8番の終楽章(ヘ長調)で、Fのオクターブに調律したティンパニを使っているが、それはヘ長調の主音であり、この9番の楽章はより冒険的である)このオクターブの基本動機がスケルツォ部分を支配している。提示部では冒頭にこのオクターブの動機を置いた第1主題が疾走するように出、フーガのように重なって増幅し、全奏で確保される。経過句ののち第2主題に移るが、主調が短調の場合、第2主題は通常平行調(ニ短調に対してはヘ長調)をとるところ、ここではハ長調で現れる。また、1小節を1拍として考えると、提示部では4拍子、展開部では3拍子でテーマが扱われる。展開部ではティンパニが活躍する。(このことから、この楽章はしばしば「ティンパニ協奏曲」と呼ばれることがある)再現部はオクターブの主動機をティンパニが連打しながら導く。(ティンパニ奏者が高いFと低いFを両端に配置した場合、この部分で非常に派手なマレット(ばち)捌きを見せる場合があり、演奏会では視覚的にも見所である)再現部がティンパニのロール調の連打を加えた強奏で戻ってくるところも第1楽章と類似している。最後、突然4分の4拍子となり、それが4分の4拍子の中間部(トリオ)を導く。

中間部(トリオ)の旋律もまた、最終第4楽章の歓喜の主題を予感させる。(スケルツォの第1主題も短調だが歓喜の主題に似ているといわれることがある。これらは意図的でなく、単に同一作曲時の類似だといわれることもある)速度は更に速められてプレスト。オーボエによる主題提示の後、弦楽器群のフーガ風旋律を経てホルンが同じ主題を提示する。フルートを除く木管楽器群の主題提示の後、今度は全合奏で主題を奏する。

三部形式後半のスケルツォは前半のリピート。しかし最後にまた突然4分の4拍子となるので、中間部の旋律が顔を出してしまう。それに突然気が付いたように1小節全休符となり、スケルツォの最終部分で締めくくり直す。

第3楽章

Adagio molto e cantabile 変ロ長調 4分の4拍子 - Andante moderato ニ長調 4分の3拍子 - Tempo I 変ロ長調 4分の4拍子 - Andante moderato ト長調 4分の3拍子 - Tempo I 変ホ長調 4分の4拍子 - Stesso tempo 変ロ長調 8分の12拍子

音楽・音声外部リンク
第3楽章
Adagio molto e cantabile - Andante moderato
ケルンWDR交響楽団他 - ユッカ=ペッカ・サラステ指揮。ケルンWDR交響楽団公式YouTube。
ガリシア交響楽団他 - ヴィクトール・パブロ・ペレス(Víctor Pablo Pérez)指揮。ガリシア交響楽団(Orquesta Sinfónica de Galicia)公式YouTube。

2つの主題が交互に現れる変奏曲の形式と見るのが一般的であるが、一種のロンド形式、また一種の展開部を欠くソナタ形式と見ることもできる。

A B(ニ長調) A第I変奏 B(ト長調) A第II変奏(変ホ長調) A第III変奏 コーダ
第1主題 第2主題 第1主題 第2主題 コーダ
提示部 再現部

神秘的な安らぎに満ちた緩徐楽章であるが、拍子、調性、テンポを変えることによって、変化がつけられている。木管の短い導入部のあと透明感のある第1主題を第1ヴァイオリンが静かに歌いだす。第2主題は4分の3拍子、ニ長調、アンダンテ・モデラートに変わり、やや動きを帯びる。続く第1主題の第1変奏では、第1主題が16分音符に分解されて奏され、木管による第2主題の変奏がそれに続く。そのまま木管による第1主題の第2変奏を経て、また第1主題の、第3変奏と続くが、ここでは8分の12拍子に変わって、動きが大きくなる、長さも倍加するなど、第2主題を吸収したかのような変化が加わっている。末尾において、それまで沈黙していたトランペットとともに管楽器が鋭い歓声をあげ、弦楽器がそれに応えてクライマックスを迎える。しかしすぐにもとの安らぎと静けさをとりもどし、同音の三連符の伴奏に乗って静かに終結に向かう。

4番ホルンの独奏は、当時のナチュラルホルンでは微妙なゲシュトプフト奏法を駆使しなければ演奏することができなかった(ちょうど作曲当時はバルブ付きの楽器が出回り始めたころだったので、この独奏はバルブ付きホルンで演奏することを前提にしていたという説もある)。これは当時ホルン奏者のみならず、指揮者なども大変気を遣った難しいパッセージであったことで有名。

この楽章の形式は後世のブルックナーのアダージョ楽章などに大きな影響を与えた。ピエール・モントゥーは第三楽章からattaccaで第四楽章に入るのを提唱していたが、ベートーヴェンの原譜にそんな指示はない。

第4楽章

音楽・音声外部リンク
第4楽章
Presto - Allegro assai …
ケルンWDR交響楽団他 - ユッカ=ペッカ・サラステ指揮。ケルンWDR交響楽団公式YouTube。
ガリシア交響楽団他 - ヴィクトール・パブロ・ペレス(Víctor Pablo Pérez)指揮。ガリシア交響楽団(Orquesta Sinfónica de Galicia)公式YouTube。

管弦楽が前の3つの楽章を回想するのをレチタティーヴォが否定して歓喜の歌が提示され、ついで声楽が導入されて大合唱に至るという構成。変奏曲の一種と見るのが一般的であるが、有節歌曲形式の要素もあり、展開部を欠くソナタ形式という見方も可能である("Freude, schöner Götterfunken"が第1主題、"Ihr, stürzt nieder"が第2主題、Allegro energico, sempre ben marcatoが再現部)。

Presto / Recitativo ニ短調 4分の3拍子
管楽器の強烈な不協和音で始まる。しかし、すぐさま低弦(チェロとコントラバス)のレチタティーヴォがこれに答える。
Allegro ma non troppo ニ短調 4分の2拍子
管弦楽が第1楽章冒頭を出す。しかし、再び低弦のレチタティーヴォがこれに答える。
Vivace ニ短調 4分の3拍子
今度は第2楽章の主題が木管で出される。しかし、再度低弦のレチタティーヴォに中断される。
Adagio cantabile 変ロ長調 4分の4拍子
第3楽章をやはり木管が回想するが、これも低弦のレチタティーヴォに中断される。
Allegro assai ニ長調 4分の4拍子
管楽器が、新しい動機を出す。(これは前の三つの楽章で断片的に姿を見せていた動機でもある)この動機に低弦が生き生きとした調子に変わり、他の楽器群も応答する。やがて低弦が静かに第1主題(「歓喜」の主題)を奏しはじめる。ヴィオラがそれに続き、ファゴットとコントラバスの対旋律がそれを支える。さらに、歓喜の主題は第1ヴァイオリンに渡され、四声の対位法によって豊かなハーモニーを織り成す。最後に管楽器に旋律が渡され、全管弦楽で輝かしく歌い上げられる。
Presto / Recitativo ニ短調 4分の3拍子
"O Freunde"
再び冒頭部の厳しい不協和音が、今度は管弦楽の全奏で演奏される。バリトン独唱が低弦のレチタティーヴォと同じ旋律のレチタティーヴォで"O Freunde, nicht diese Töne!"(「おお友よ、このような音ではない!」)と歌う。ここで初めて、冒頭から繰り返された低弦のレチタティーヴォの意味が、第1〜第3楽章までの音楽の否定であったことが明らかとなる。
今日の出版譜ではバリトンの歌い出しには「ラ→ミ」の跳躍に加え「ラ→ド♯」が記されているが、レチタティーヴォ後半部の高いファ#を出せない初演ソリストのために変更された代替パートで稀にしか歌われない。(このメロディーを選んだために音程が悪いと酷評されている大歌手もいる)初演ではまた細かい上下(メリスマ)部分のカットも検討されたようである。最後期筆写スコアには他にも代替案が残っているが、出版譜には反映されなかった。
Allegro assai ニ長調 4分の4拍子
"Freude, schöner Götterfunken"
Freude!(歓喜よ)の掛け声をバリトン独唱と合唱のバス(テノールも一緒に歌われることもある)が掛け合うと、バリトン独唱によって"Freude, schöner Götterfunken"「歓喜」の歌が開始される。旋律後半部を合唱がリピートする形で続く。次に独唱4人となり、やはり旋律後半部を合唱がリピートする。決め台詞の様に入るGott!で自筆スコアはアクセントではなくデクレシェンドを指示しており、現在も指揮者間で解釈が分かれる。
Alla marcia Allegro assai vivace 変ロ長調 8分の6拍子
"Froh, wie seine Sonnen"
行進曲である。それまで沈黙を守っていた打楽器群が弱音で鳴り始め次第に音量を増し、その上を管楽器が「歓喜」の主題を変奏する。続いて、テノール独唱が「歓喜」の主題の変奏の旋律で"Froh, wie seine Sonnen"「神の計画」を歌い、それに男声三部合唱(第1テノール・第2テノール・バス)、続き管弦楽の伴奏が力強く重ね入ってきてひとつの頂点を作る。
シンバルやトライアングルといったトルコ起源の打楽器が使われているためこの部分を「トルコ行進曲」と呼ぶ事があるが、拍子も装飾の付け方も(新しい研究では恐らくテンポも)本来のトルコ音楽とはかけ離れている。『第九』の30年前にベートーヴェンの師の一人であったヨーゼフ・ハイドン交響曲第100番『軍隊』でこれらトルコ起源の打楽器を使用しており、当時の流行が伺えるものの、時代を下るにつれ欧州各国の軍楽隊でシンバルやトライアングルは常備されるようになっていた。ベートーヴェンの後の世代となるロッシーニなどはもはやシンバルもトライアングルも軍隊と無関係な音楽で導入している。
高らかな男声合唱の余勢を受けて、管弦楽のみによるスケルツォ風のフガートの長い間奏が力強く奏される。それがおさまったあと、全合唱が「歓喜」の主題と最初の歌詞を総括的に歌う(「第九の合唱」としてもっともよく聴かれる部分である)。
Andante maestoso ト長調 2分の3拍子
"Seid umschlungen, Millionen!"
初めて登場するトロンボーンの旋律をなぞりながら「抱擁」の詩が合唱により、中世の宗教音楽のように荘重に歌われる。
Adagio ma non troppo, ma divoto 変ロ長調 2分の3拍子
"Ihr, stürzt nieder"
「創造主の予感」が引き続き歌われる。
Allegro energico, sempre ben marcato ニ長調 4分の6拍子
"Freude, schöner Götterfunken" / "Seid umschlungen, Millionen!"
「歓喜の歌」の旋律による「歓喜」と「抱擁」の2歌詞が二重フーガで展開される。
Allegro ma non tanto ニ長調 2分の2拍子
"Freude, Tochter aus Elysium!"
独唱4人で、第1の「歓喜」の歌詞をフーガ風に歌う。それがからみあうところに合唱が入ってきてそれを引き継ぐと、今度は逆に4人の独唱が入ってきて交替し、アダージョで順に(ソプラノ→アルト・テノール→バリトン)3連符や16分音符で細かく余韻を持たせながら静まっていく。これ以降独唱の部分はない。
Prestissimo ニ長調 2分の2拍子
"Seid umschlungen, Millionen!"
第4楽章のクライマックスで、最もテンポが速い。自筆スコアは851小節にPrestissimoではなくPrestoを置いており、ベーレンライター版が採用した。916小節から4分の3拍子で4小節間Maestosoとなり、この曲でシラーの歌詞として冒頭に出た"Freude, schöner Götterfunken"が壮大に歌われたのち、再びPrestissimo(Presto)となり管弦楽のみの後奏で曲を閉じる。
尚、919小節の部分オーケストラスコアでは、トライアングルにトレモロの指示があるが、実際の演奏ではトレモロ奏法されているのは少ない[28]。この演奏法は1972年5月収録のシカゴso、ゲオルグ・ショルティの指揮による演奏で確認できる。
歌詞 ソナタ形式としてとらえた場合
叙唱
第1・第2・第3楽章の回想と新しい主題の着想
第1主題 提示部第1主題
第1主題の変奏I II III
叙唱
第1主題の変奏IV V VI VII VIII 1番、2番、3番、4番、1番
第2主題a 5番 第2主題
第2主題b 6番
第1主題と第2主題aの対位(変奏IX) 1番と5番 再現部第1主題
第2主題b 6番 第2主題
第1主題の変奏X 1番 コーダ
第1主題と第2主題aによる変奏(XI) 1番と5番
コーダ

この最終楽章に合唱が入る形式は後にメンデルスゾーン、リストマーラーショスタコーヴィチなどが取り入れている。

歓喜の歌

フリードリヒ・フォン・シラーフリーメイソンリーの理念を書いた[29]詩作品『自由賛歌』(Hymne à la liberté 1785年)がフランス革命の直後『ラ・マルセイエーズ』のメロディーでドイツの学生に歌われていた[30]。そこで詩を書き直した『歓喜に寄す』(An die Freude 初稿1785年、改稿1803年)にしたところ、これをベートーヴェンが歌詞として1822年から1824年に書き直したものである。

「歓喜のメロディー」は、交響曲第9番以前の作品である1808年の『合唱幻想曲』作品80と、1810年ゲーテの詩による歌曲『絵の描かれたリボンで Mit einem gemalten Band』作品83-3においてその原型が見られる。

歌詞(ドイツ語原詞・日本語訳)

An die Freude

O Freunde, nicht diese Töne!
Sondern laßt uns angenehmere
anstimmen und freudenvollere.
(ベートーヴェン作詞)

Freude, schöner Götterfunken,
Tochter aus Elysium
Wir betreten feuertrunken.
Himmlische, dein Heiligtum!

Deine Zauber binden wieder,
(1803年改稿)
Was die Mode streng geteilt;
Alle Menschen werden Brüder,
(1785年初稿:
Was der Mode Schwert geteilt;
Bettler werden Fürstenbrüder,)
Wo dein sanfter Flügel weilt.

Wem der große Wurf gelungen,
Eines Freundes Freund zu sein,
Wer ein holdes Weib errungen,
Mische seinen Jubel ein!

Ja, wer auch nur eine Seele
Sein nennt auf dem Erdenrund!
Und wer's nie gekonnt, der stehle
Weinend sich aus diesem Bund!

Freude trinken alle Wesen
An den Brüsten der Natur;
Alle Guten, alle Bösen
Folgen ihrer Rosenspur.

Küsse gab sie uns und Reben,
Einen Freund, geprüft im Tod;
Wollust ward dem Wurm gegeben,
und der Cherub steht vor Gott.

Froh, wie seine Sonnen fliegen
Durch des Himmels prächt'gen Plan,
Laufet, Brüder, eure Bahn,
Freudig, wie ein Held zum Siegen.

Seid umschlungen, Millionen!
Diesen Kuss der ganzen Welt!
Brüder, über'm Sternenzelt
Muß ein lieber Vater wohnen.

Ihr stürzt nieder, Millionen?
Ahnest du den Schöpfer, Welt?
Such' ihn über'm Sternenzelt!
Über Sternen muß er wohnen.

「歓喜に寄せて」

おお友よ、このような音ではない!
我々はもっと心地よい
もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか
(ベートーヴェン作詞)

歓喜よ、神々の麗しき霊感よ
天上の楽園の乙女よ
我々は火のように酔いしれて
崇高な汝(歓喜)の聖所に入る

汝が魔力は再び結び合わせる
(1803年改稿)
時流が強く切り離したものを
すべての人々は兄弟となる
(1785年初稿:
時流の刀が切り離したものを
貧しき者らは王侯の兄弟となる)
汝の柔らかな翼が留まる所で

ひとりの友の友となるという
大きな成功を勝ち取った者
心優しき妻を得た者は
彼の歓声に声を合わせよ

そうだ、地上にただ一人だけでも
心を分かち合う魂があると言える者も歓呼せよ
そしてそれがどうしてもできなかった者は
この輪から泣く泣く立ち去るがよい

すべての被造物は
創造主の乳房から歓喜を飲み、
すべての善人とすべての悪人は
創造主の薔薇の踏み跡をたどる。

口づけと葡萄酒と死の試練を受けた友を
創造主は我々に与えた
快楽は虫けらのような弱い人間にも与えられ
智天使ケルビムは神の御前に立つ

天の星々がきらびやかな天空を
飛びゆくように、楽しげに
兄弟たちよ、自らの道を進め
英雄のように喜ばしく勝利を目指せ

抱擁を受けよ、諸人(もろびと)よ!
この口づけを全世界に!
兄弟よ、この星空の上に
ひとりの父なる神が住んでおられるに違いない

諸人よ、ひざまずいたか
世界よ、創造主を予感するか
星空の彼方に神を求めよ
星々の上に、神は必ず住みたもう




  1. ^ 第10番は断片的なスケッチが残されたのみで完成されていない
  2. ^ ローデシアの概要
  3. ^ “「第九」手書き楽譜を公開 NY、楽聖のコメントも”. 共同通信47NEWS. (2003年5月10日). オリジナルの2014年12月28日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20141228094438/http://www.47news.jp/CN/200305/CN2003051001000055.html 2017年4月22日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  4. ^ ドイツ語の原題ではこの曲は Sinfonie mit Schlusschor über Friedrich Schillers Ode "An die Freude" (フリードリヒ・シラーの頌歌『歓喜に寄す』に基づく終結合唱を伴う交響曲)とされており、ドイツ語では "Chor"(合唱)であり "Choral" ではない。日本でCDの表記などに一般的に用いられている "Choral" は英語であり、「合唱の」「合唱」という一般的な形容詞名詞だと考えられる。英語の "Choral (Chorale)" には「コラール」にあるように「賛歌」「賛美歌」という意味もあるのだが、ドイツ語においては "Chor" と "Choral" は明瞭に区別されているので、この交響曲のニックネームである "Choral" をコラールに結びつけるのは適当ではない。
  5. ^ Beethoven Symphony No.9”. rovimusic.rovicorp.com. 2019年11月21日閲覧。
  6. ^ 初演を報じるイギリスの新聞では「ちょうど1時間と5分」という数字も伝えられている。会話帳にはこの次に「45分」という記述もある(第2楽章から第4楽章まで何分ですかという問いが消失した可能性がある。)が、あまりに短すぎるということで『第九』全曲の演奏時間とは見なされていない。また第1楽章のテンポも「4分音符=88」が採用されているが、自筆スコアでは「メルツェル=108から120」という数字が書かれており、実行すれば3分以上の短縮になる。これも不自然に速過ぎ、ベートーヴェンの勘違いではないかと考えられている。
  7. ^ 大町陽一郎「指揮者としてのリヒャルト・シュトラウス」日本リヒャルト・シュトラウス協会編『リヒャルト・シュトラウスの「実像」』音楽之友社、2000年、115頁。
  8. ^ カール・ベームが最晩年の1980年に録音した演奏は18:34/13:22/18:15/28:35で78分を超える。
  9. ^ PRESTO CLASSICAL - クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
  10. ^ 1979年(昭和54年)からCD の開発に当たったフィリップスソニーはディスクの直径を11.5cmとするか12cmとするかで何度も議論を重ねており、大きさを基準に考えるフィリップスに対し、記録時間を優先したいソニーで話し合いは難航していた。11.5cmであることの様々な利便性は明らかであったが、当時のソニー副社長でバリトン歌手の大賀典雄は、親交のあったカラヤンに、11.5cm(60分)と12cm(74分)との二つの規格で二者択一の段階に来ていることを話すと、カラヤンは「ベートーベンの交響曲第九番が1枚に収まったほうがいい」と提言した。カラヤンの「第9」は約63分~69分であり、ほとんどの指揮者による演奏時間は60分を超えているからだ。この「カラヤン裁定」を要因として、最終的に12cmに決定したというもの。
  11. ^ Symphony No.9”. images-na.ssl-images-amazon.com. 2019年11月15日閲覧。
  12. ^ BEETHOVEN Symphony No 9 (Zander)”. www.gramophone.co.uk. 2019年11月15日閲覧。
  13. ^ Beethoven: Symphony No. 9 "Choral"”. www.allmusic.com. 2019年11月15日閲覧。
  14. ^ クリスチャン・ヤルヴィ指揮ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団 King International KKC-5119 (59分44秒)
  15. ^ 楽譜を複数人で視唱するやり方は楽譜複製を筆写に拠っていた18世紀中は珍しくなかったようで、その様子を描いた画も残っている。これはバッハマタイ受難曲における「合唱は1パート1人ずつ」という学説の反証の一つともなっている。
  16. ^ エステルハージ家の秘書官だったJ.C.Rosenbaum(1770-1829)の日記より。"The diaries of Joseph Carl Rosenbaum"はHaydon Yearbook V所収。日本語ではC.ダールハウス著/杉橋陽一・訳「ベートーヴェンとその時代(西村書店,1997)」p.384で紹介。
  17. ^ これはベートーヴェンに限った問題ではなく、クレメンティも自作の交響曲の際にピアノを用い、ピアノの音とオーケストラの音が度々ずれると記録が残されている。(クレメンティ 生涯と音楽 - レオン プランティンガ、ISBN 978-4276222175 音楽之友社)
  18. ^ ワーグナー改変版は販売されなかったが、ピアノ編曲版が販売された。外部リンク
  19. ^ 捕虜作成の測量図「正確」 板東収容所跡調査まとめ - 徳島新聞2012年4月24日《2017年4月22日閲覧;現在はインターネットアーカイブ内に残存》
  20. ^ 『鳴門の第九』というブランド (PDF) 」 『広報なると』第723号、鳴門市秘書広報課、2011年7月1日、 1-7頁、2017年4月22日閲覧。“全7頁構成。4頁目左上『第1回鳴門「第九」演奏会』欄中に「第九の日」制定に至る経緯に関する記述有”→アーカイブ (PDF)
  21. ^ “第九 鳴門で初演100周年 再現に喝采 歓喜の歌声響く”. 毎日新聞. (2018年6月3日). https://mainichi.jp/articles/20180603/ddl/k36/040/335000c 2018年6月5日閲覧。 
  22. ^ 黒柳徹子は父の黒柳守綱(新交響楽団(現在のNHK交響楽団)の元コンサートマスター)から聞いた話として、学生合唱団を加えた演奏を行うことにより、合唱団員の家族などがチケットを購入することで年末の演奏会の入場者数を増やして、楽団員のもち代を稼ぐというアイディアだったと説明している。「TOKYO発 年末第九再発見-演奏年200回超 誕生を探る」 東京新聞 2007年12月25日朝刊、中日新聞東京本社。
  23. ^ NHK プロジェクトX〜挑戦者たち〜 第127回 「第九への果てなき道」(群馬交響楽団 10月14日)
  24. ^ トスカニーニとフルトヴェングラーの芸術性の違いを示す例として、音楽著述家のハンス・ケラーはドキュメンタリー「アート・オブ・コンダクティング」でトスカニーニ指揮の『第九』演奏会で客席に居たフルトヴェングラーが第1楽章冒頭の弦楽器による6連符刻みを聴くなり「時間刻み屋!(time beater)」と大声で野次を飛ばし退席したエピソードを示し、不明瞭に演奏されたフルトヴェングラー指揮の冒頭部分と比較している。
  25. ^ 音質の弱みに関しては「視界に入ると気が散る」と言ってマイクロフォンを撤去させる事もあったフルトヴェングラーにも一因はあろう(デッカのジョン・カルショウによる)。レッグが妻も出演したこの演奏を名演と認めていなかったのは明らかで、指揮者の妻エリザベート夫人の証言によればこの日の終演後楽屋を訪れ感想を求められたレッグは「今日の出来は今一つ。昔はもっと良かった」と言ってフルトヴェングラーを落ち込ませたという。モノラルLP盤からCD化を行ったグランドスラム盤解説に祥訳あり。
  26. ^ レコード芸術誌に載った中村政行の報告によると、バイエルン放送のテープはEMI盤でも音質変化の認められる2か所で編集が施されているだけでなく、「断片的であっても放送利用は禁止」という指示が添えられているが、今日では経緯や理由を知る関係者はなく、解明も進んでいない。
  27. ^ 佐野之彦『N響80年全記録』文藝春秋、2007年
  28. ^ 井上道義『第九をうたおう』〈NHK趣味講座〉、日本放送出版協会、1986年、61頁で金子建志が指摘している。ベートーヴェンはトレモロの要求を"tr."と波線、あるいは斜線付きの音符という方法で書き分けている。トライアングルには自筆スコア以降斜線が二本付けられており、分割すると16分音符=ヴァイオリン2音ごとにトライアングルが一音叩く計算になる。
  29. ^ VIII. Die "Ode an die Freude"”. Unser Namenspatron. Freimaurerloge 'Schiller' (unter der Großloge der Alten Freien und Angenommenen Maurer von Deutschland). 2013年8月19日閲覧。
  30. ^ Symphonie zum Frieden 平和の交響曲 (PDF)”. 大阪教育大学 亀井研究室. 2013年8月19日閲覧。
  31. ^ 旋律線強化の目的で行われた各種編曲の実態は『ある指揮者の提言』で、マーラー版については『マーラーの交響曲』で詳しく紹介されている。長年マーラー自身の書き込みがある楽譜が使われて来たが、近年は校訂版もマーラーが編曲したベートーヴェンの交響曲3,5,7,9番や序曲「レオノーレ」2番、3番のJosef Weinberger版(David Pickett校訂、貸し譜のみ)が利用可能で、2006年クリスチャン・ヤルヴィ指揮ウィーン・トーンキュンストラー管弦楽団の演奏がSACD化された。
  32. ^ 第1楽章81小節に行われた全集版独自の改変などはどの資料にも存在しない音形であるにも関わらず、本格的な原典版が演奏されたときには衝撃をもって迎えられた。同じ改変が最新のハウシルト版でも分析検証の上ではあるが、採用されている。
  33. ^ 有名なのが第1楽章300小節のティンパニとトランペット。自筆スコアでは16分音符だが筆写時の誤りで以降の版が全て8分音符になっている。第3楽章の旋律、第4楽章330小節のティンパニに付けられたデクレッシェンドの処理なども聴いて判りやすい。
  34. ^ その研究を参考に音楽学者・指揮者の金子建志も演奏史を含めて自らの著作で言及している。この研究は実際に原典資料を演奏に用いるなどの実践に裏付けられたものである。
  35. ^ この版の出版直後「ベーレンライター版使用」と明記した演奏・録音が流行したが、デルマー版は演奏者が違和感を拭えない箇所が随所にあると見なされ、実際には「新版の改訂を一部だけ採用し、大部分は旧来の楽譜のまま」という扱いだった。昨今では「ベーレンライター版使用」と銘打つ演奏会は鳴りを潜めている。デルマー版の知名度を大いに上げたのはアッバード指揮のベルリン・フィル盤(1996年)やデヴィッド・ジンマン指揮のチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団盤(1998年。いずれも旧全集版と新版の差異をまとめた訂正表を参照し新版刊行以前に演奏に用いた「試運転」の例)だが、これらは殆ど原典資料による改訂箇所ではなく指揮者独自の改変が「ベートーヴェンの楽譜に記されている」という誤った期待とともに広まっている
  36. ^ 例えば先述の第4楽章330小節について、デルマーは自筆スコアにはデクレッシェンド無し、残存する初演用弦楽器パート譜には全て、初演用のスコアではティンパニだけ、とまちまちであること、また諸説ある初演の合唱団人数を少なく見積もった上「ティンパニに合唱がかき消されないよう、その場で指示された処置ではないか」と考えてこの指示を削除したが、ハウシルトは最後発の筆写スコア(ベートーヴェン自身が校閲したプロイセン王への献呈譜。クルト・マズアらが参照している)に従い、合唱以外の全楽器にデクレッシェンドをつけている。この箇所を研究動機の一つとした金子建志は、生前の朝比奈隆にインタビューした際「噪音の多い」ティンパニはあまり大きく叩かせたくないという発言を得ており、またリストワーグナーによるピアノ編曲版も考慮した上で、ティンパニが低音域で「ラ」=和音の第3音を叩くことが聴感上アンバランスである、と旧全集版のティンパニのみのデクレッシェンドを評価し直している。(『レコード芸術』誌2007年10月号、p164-)
  37. ^ ヘンレ社は室内楽・管弦楽曲のパート譜は基本的に供給せず、新ベートーヴェン全集の管弦楽曲はヘンレ社が新全集版を刊行した数年後、校訂報告が付属しない新全集版スコアをパート譜セットと共にブライトコプフ&ヘルテル社が販売するのが通例。同社が2007年までに刊行したハウシルトとブラウンによる新校訂版とは別系統のシリーズとなる。ヘンレ社の告知が2019年初旬に行われた後実際の刊行は同年中には行われず、ブライコプフ社がスコアとパート譜の告知を始めた2020年1月にようやく新全集版本体の価格が発表されるなど、予定は遅れている。
  38. ^ 外部リンク




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