五大湖 接する州

五大湖

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/17 04:22 UTC 版)

接する州

アメリカ合衆国
カナダ

湖岸の主要都市

トロントはオンタリオ湖沿岸に位置し、五大湖メガロポリスの東部にあたる
シカゴはミシガン湖南端にあり、五大湖メガロポリスの西部に位置する。また、ミシシッピ川水系にいたる水路の起点でもある
デトロイトはデトロイト川沿いに位置し、五大湖メガロポリスの中央部に位置する

五大湖周辺は北アメリカ有数の工業地帯であり、湖岸には五大湖・セントローレンス水路港湾都市が多数発達している。また、全般的に夏に冷涼であることから、避暑地・保養都市も点在する。五大湖沿岸はアメリカ合衆国最大の都市的地域のひとつとなっており、オンタリオ湖南岸のロチェスターから、エリー湖南岸のバッファローエリークリーブランドトレド、そしてデトロイトと、人口10万人以上の規模の都市が連続して存在する。ミシガン湖の南西岸には五大湖岸最大の都市であるシカゴが存在し、ゲーリーなどのシカゴ都市圏に含まれる都市や、シカゴ都市圏と半ば連続した都市圏を形成するミルウォーキーといった大都市が集中している。五大湖岸の重要性はカナダにおいてはさらに高く、エリー湖北岸からオンタリオ湖北岸を通りセントローレンス川の河口までの線は、カナダの人口の実に半分以上が集中する一大産業地帯となっている。カナダの五大湖岸最大の都市はトロントであるが、トロントは同時にカナダ最大の都市でもある。オンタリオ湖北東端にあるキングストンからオシャワトロントハミルトン、エリー湖西端にありデトロイトと隣接するウィンザーなどの都市がこの地域に点在している。また、この二つの大都市列は湖を挟んで隣接しており、アメリカ・カナダ両国間に移動の障害が存在しないことから、事実上大都市圏として一体化しており[7][8]、五大湖メガロポリスと呼ばれる人口集中地帯を形成している。

一方、人口の集中するエリー湖、オンタリオ湖、ミシガン湖南部と異なり、ヒューロン湖、スペリオル湖、ミシガン湖北部には目立った都市は数えるほどしかなく、人口密度も非常に低い。

五大湖岸に存在する100万都市はシカゴとトロントの2つであり、このほかデトロイト、ミルウォーキー、クリーブランド、バッファローはかなりの大きさの都市圏を持つ。

以下に列挙するのは五大湖岸にある著名な都市である。

スペリオル湖
ミシガン湖
ヒューロン湖
ヒューロン湖岸は人口の密度が低く、目立った保養・観光都市もない。人口数千人〜3万人ほどの小都市・町村がほとんどである。
  • サーニア(オンタリオ州) - ヒューロン湖南端に位置する。ヒューロン湖周辺では最大の都市であるがそれでもその人口は7万人ほどに過ぎない。
エリー湖
オンタリオ湖

周辺の気候

湖水効果雪をとらえた衛星画像。筋状の雲が湖から湧き出るようにして発生し、西風によって運ばれて五大湖東岸に大雪を降らせている
スノーベルト

北緯42-50度と全般的に緯度が高く、かつ内陸であるため、は非常に寒い。も、湖の水が冷却水の役割を果たしている影響もあって、気温の高くなる地域でも体感的には涼しく感じ、わりあい凌ぎ易い。ケッペンの気候区分では五大湖・セントローレンス水系の全域がDf冷帯湿潤気候)に属する。スペリオル湖北岸やセントローレンス川の河口付近では平均気温摂氏10度以上の月が3ヶ月しかなく、かなり冷涼である。あまりに寒いため、五大湖はその大きさにもかかわらず、ほとんどの部分が冬季には結氷する。そのため五大湖を経由する河川運輸は冬には停止される。湖岸域の氷の厚い部分の氷上での天然のアイススケートは冬の風物詩である。

また、シカゴの別名をWindy Cityということからもわかるように、五大湖周辺は(特に冬場の)風が強いことでも有名である。また、冬季には北からの寒気団が温かい湖面を通過する際に大気の湿度が増し、とりわけ風下にあたる東岸のミシガン州オンタリオ州ニューヨーク州ではブリザードが吹き荒れ、大量の降雪が見られる。これはシベリア気団日本海を通過する際に湿度を増し、日本の北陸地方に大雪を降らせるのに似ている[9]。ただ、日本海でみられるような日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)のような現象は、五大湖の風上側に白頭山のような高い山地がないため、五大湖では発生しない点が異なる。そのため、日本近海で五大湖に似た気象条件を表すのは、五大湖と同緯度で同じ気候帯(湿潤大陸性気候)に属し、かつJPCZの影響がない北海道の日本海側である。この現象は五大湖で起こるものが最もよく知られていることから、湖水効果雪との呼び名がある。また、この五大湖南岸にひろがる豪雪地帯はスノーベルトと呼ばれる。


注釈

  1. ^ 厳密には“湖峡”であるが、: straits にあたる日本訳語が“海峡”以外にない。
  2. ^ 現在発見されている隕石孔としては南アフリカフレデフォード隕石孔に次ぐ世界第2位の大きさがある。衝突により五大湖に匹敵する大きさのクレーター湖が出現したと考えられるが、痕跡はいまでは地下構造のみが残る。このときの隕石を起源とするニッケル鉱床が形成された。

出典

  1. ^ National Geophysical Data Center, 1999. Bathymetry of Lake Erie and Lake Saint Clair. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5KS6PHK [access date: 2015-03-23].
  2. ^ National Geophysical Data Center, 1999. Bathymetry of Lake Huron. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5G15XS5 [access date: 2015-03-23].
  3. ^ National Geophysical Data Center, 1996. Bathymetry of Lake Michigan. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5B85627 [access date: 2015-03-23].
  4. ^ National Geophysical Data Center, 1999. Bathymetry of Lake Ontario. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V56H4FBH [access date: 2015-03-23].
  5. ^ National Geophysical Data Center, 1999. Bathymetry of Lake Superior. National Geophysical Data Center, NOAA. [access date: 2015-03-23]
  6. ^ National Geophysical Data Center, 1999. Global Land One-kilometer Base Elevation (GLOBE) v.1. Hastings, D. and P.K. Dunbar. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V52R3PMS [access date: 2015-03-16].
  7. ^ 「ベラン世界地理体系18 カナダ」p143 田辺裕・竹内信夫監訳 朝倉書店 2009年7月15日初版第1刷
  8. ^ 「ベラン世界地理体系17 アメリカ」p108 田辺裕・竹内信夫監訳 朝倉書店 2008年6月30日初版第1刷
  9. ^ 「世界地誌シリーズ4 アメリカ」p17 矢ヶ崎典隆編 2011年4月25日初版第1刷 朝倉書店
  10. ^ 「舟運都市 水辺からの都市再生」p31 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行
  11. ^ 「舟運都市 水辺からの都市再生」p27 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行
  12. ^ 「世界地誌シリーズ4 アメリカ」p29 矢ヶ崎典隆編 2011年4月25日初版第1刷 朝倉書店
  13. ^ 「世界地誌シリーズ4 アメリカ」p46 矢ヶ崎典隆編 2011年4月25日初版第1刷 朝倉書店
  14. ^ 「世界探検全史 下巻 道の発見者たち」p111 フェリペ・フェルナンデス-アルメスト著 関口篤訳 青土社 2009年10月15日第1刷発行
  15. ^ 「アリステア・クックのアメリカ史(上)」p82 アリステア・クック著 鈴木健次・櫻井元雄訳 NHKブックス 1994年12月25日第1刷発行
  16. ^ 「商業史」p197 石坂昭雄、壽永欣三郎、諸田實、山下幸夫著 有斐閣 1980年11月20日初版第1刷
  17. ^ 「舟運都市 水辺からの都市再生」p36 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行
  18. ^ 倉田亮 『世界の湖と水環境』p67 成山堂書店、2001年、ISBN 4-425-85041-6


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