九州 概要

九州

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/22 15:32 UTC 版)

概要

九州には7つの地方公共団体)があり、7県総人口は13,108,027人、沖縄県を含めた8県総人口は14,524,614人である。都道府県の人口一覧#推計人口(右表 九州地方のデータ参照)

九州の古代の呼称は、「筑紫島」・「筑紫洲」(つくしのしま)である(#歴史書における呼称)。

地理

九州島の主要地形
九州の地図
九州

地形

九州を大きく二つに分けると、北部九州南九州に分ける場合と、東九州日豊)と西九州(筑肥)に分ける場合がある。北部九州と南九州の中間となる地域を中九州ということもある。ただし、これらの地域区分は使用される側によって大きく変化する(詳細は北部九州南九州およびノート:南九州参照)。

中央に九州山地が形成されている。その中核をなす阿蘇山は東西18キロメートル (km) 、南北25 kmにも及ぶ世界最大級のカルデラを持つ。九州の地形は大きく3つに分けることができ、北部と中部の境界は松山-伊万里構造線で、中部と南部の境界は中央構造線の一部である臼杵-八代構造線で分けることができる。北部は比較的なだらかな山地、南部は白亜紀から第三紀にかけて生成された付加体であるため北部とは全く異なった地質であり、比較的険阻な山地になっている。また、中部は数十万年前まで瀬戸内海の延長の海で分かれており、それが阿蘇山の数回にわたる噴火によって溶岩で埋まり、一つの島になった。

平野・台地
筑紫平野熊本平野宮崎平野シラス台地
山地
筑紫山地九州山地
主な山:英彦山九千部山雲仙岳九重山祖母山傾山阿蘇山国見岳霧島山桜島(御岳)、開聞岳宮之浦岳屋久島
高地・盆地
人吉盆地大口盆地都城盆地日田盆地由布院盆地玖珠盆地
半島
国東半島四浦半島鶴見半島西彼杵半島島原半島薩摩半島大隅半島
川・湖
筑後川遠賀川嘉瀬川山国川球磨川大野川番匠川川内川大淀川池田湖

周辺

周辺は太平洋日本海東シナ海フィリピン海)に囲まれている。

九州周辺の主な島
対馬壱岐島平戸島深島大入島五島列島男女群島天草諸島甑島列島草垣群島宇治群島上三島
薩南諸島大隅諸島吐噶喇列島奄美群島
琉球諸島沖縄諸島先島諸島)、大東諸島

気候

九州地方は、日本の地域の中では小笠原諸島に次いで温暖な地域である。鹿児島県奄美地方以南の地域と、種子島・屋久島地方以北の地域では平均気温が大きく違う。

九州島や種子島・屋久島以北

九州島や種子島・屋久島以北の島嶼部は、は暑く降水量が多い。は寒さを感じるほどに気温が下がり、雪が降る。域内の南北で大きな気温の差は1~2℃ほどしかない。

九州山地周辺(熊本県阿蘇地方大分県の西部・宮崎県の北部山間部)では積雪は珍しくなく、年に数日は真冬日となり希に根雪になることもある。しかし暖かい日もあるため中国地方以東とは異なり豪雪地帯は存在せず、積雪は比較的少ない方である。

南部の太平洋沿岸に当たる大分県の南部・宮崎県鹿児島県の大隅地方、種子島・屋久島地方は夏に降水量が多い太平洋側気候の南海型で、台風の襲来も多く、鹿児島県は1951年昭和26年)以降の台風上陸数が日本一である。その中でも日本列島に大被害をもたらした台風として「枕崎台風」「ルース台風」「洞爺丸台風」「台風13号(1993年)」「台風16号(2004年)」などがある。夏から秋にかけては台風が襲来することから「台風銀座」と呼ばれる。冬の気候も温暖で降雪もほとんどなく、晴天の日が多い。

福岡県北九州地方の瀬戸内側と大分県の北部・中部は瀬戸内海式気候の特徴を持ち、降水量の多い梅雨時を除けば九州の中では降水量が少ない地域(大分市の年間降水量:約1,680 mm)であるが、それでも関東以北の東日本太平洋側と比べると多い。特に、北九州地方では九州型の影響との遷移地域で梅雨時の降水量が非常に多い。大分県中部では太平洋側気候の南海型ほど影響がないものの、梅雨時の降水量と台風の接近による降水量もやや多いなど山口県の東部以東の瀬戸内海式気候の地域と比べると、夏季の降水量が少ないという特徴は薄くなっている。冬季は北九州地方では曇天が多く降雪も珍しくない。大分県北部、中部では、雲が九州山地に遮られる為に晴天の日が多い。積雪はどの地域でも少ないが、九州山地にあたる地域ではやや多くなる。

福岡県の北九州地方の大部分を除く地域・佐賀県長崎県熊本県・大分県の西部・鹿児島県の薩摩地方は太平洋側気候(九州型)で、冬は降水量が比較的多いが、1 mm以上の降水が観測される降水日数の最多月は日本海側気候のように冬季(1・2・12月のいずれか)ではなく、他太平洋側気候各地と同様に春季 - 秋期(3 - 11月のいずれか)で、年間降水量が少なく、北西からの季節風の影響で曇天が多いなど島根県の石見地方や山口県の北部と似た気候が現れる。一方で、朝鮮半島のある関係で降雪日数は福岡市で約17日と東京・大阪よりは多いが、積雪は少なく首都圏京阪神などと同じように5 cm程度の積雪でも大雪とみなされ交通機関が麻痺してしまう。また、夏の降水量の傾向として、華南、南西諸島からの熱帯モンスーン気団による湿舌などの影響を直接受けやすく初夏から梅雨時に降水量が非常に多くなる。なお、秋雨時の降水量は少ない。台風の影響は東シナ海側から朝鮮半島、日本海側を進んだ場合に降水量が多くなる傾向がある。

奄美以南

奄美地方以南の地域は南日本気候(南西諸島気候)で、大東諸島を除きどの島でも年間降水量は2,000 mm以上と多く、一年中降雨がある。年間の気温の差が小さく、1年を通して気温が高い。降雪の記録は過去に数回しかない。また一日の気温差も小さい。盛夏時は晴天が多く日照時間も非常に多いが、にわか雨が多い。台風の襲来が多く、時々強い台風が襲来して被害をもたらす。なお、冬季は北西からの季節風で曇天と雨天が多く、日照時間も少ない。梅雨時の降水量は、九州本島程ではないが、かなり多い。

九州の範囲

歴史書における呼称

日本は6,852ので構成される島国であるが[注 1]日本最古の歴史書古事記』 (和銅5年(712年)献上) では、「日本」を「大八島国」(おおやしまのくに)と呼び、「八つの」の総称としている(登場順に現代の呼称表記で、淡路(あわじ)四国隠岐(おき)、九州、壱岐(いき)対馬(つしま)佐渡本州 )。

その『古事記』での九州の呼称表記は「筑紫島(つくしのしま)」である[7]

日本書紀』(養老4年(720年)完成)では、「日本」を「大八洲国」(おおやしまのくに)、「九州」を、「筑紫洲(つくしのしま)」と表記している。

「九州」の由来

16世紀戦国時代を描いた軍記物語として知られる『陰徳太平記』(享保2年(1717年出版)序に、「山陰山陽四国九州」の記載があり、このような近世の書物においては、明確に「九州」という名称を見出すことができる。しかしこの名称がいつ生まれたか正確な時代は不明である。鎌倉時代後期に作成された吾妻鏡元暦2年(1185年2月13日2月14日の記事では、源範頼が「九州」を攻めようとしていることが記載されている。もともと中国では代以前、全土を9つの州に分けて治める習慣があったことから、九州とは9つの国という意味ではなく、天下のことを指す(参考:九州 (中国))が、平安時代後期に朝廷が発した保元新制で使われている「九州」の意味も、こちらである。また新羅の九州の実例もある[8]

令制国上の「九州」

一般に「九州」とは、令制国西海道のうち筑前国筑後国肥前国肥後国豊前国豊後国日向国大隅国薩摩国の9の総称とされている[9]四国と同じ理屈で、九国(きゅうこく、くこく)とも呼ばれたといわれる。

この令制国に基づく定義だと、九州島の九国と、この九国に編入された周辺の附属島嶼が「九州」の範囲となる。ただし周辺の島嶼が九国の令制国に編入された時期はそれぞれ異なるため、歴史を通し一義的な範囲には定まらない。

このように編入時期が異なる事による意識および解釈の差が存しうるが、少なくとも一度も編入された事がない壱岐、対馬、および沖縄県の領域は、令制国上の「九州」には含まれないことになる(なお、奄美群島は日本本土における廃藩置県・府県合併および琉球処分の後に大隅国《鹿児島県》に編入されたため、行政区分としての「九州」に組み込まれたのはそれ以降である)。さらに後述の太平洋戦争終戦後のアメリカ統治時期も令制国の範囲に変更はないので、この定義に変化はない事になる。

上記九国とともに対馬、壱岐を含む西海道は、九国二島九州二島とも呼ばれた。また、西海道の別名として鎮西とも呼ばれていた。

近現代の「九州」

廃藩置県・府県合併以降[注 5]は、福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県8を指して「九州地方」とされ[10]、これにより令制国上の「九州」には含まれなかった対馬壱岐奄美群島・沖縄県の領域をも含む事となった。

一方、単に「九州」とする場合はそのうち沖縄県を除いた7県がその対象とされる[11]。よって、令制国上の「九州」と比較すると対馬壱岐奄美群島が加わる事となった。

トカラ列島の一部、奄美群島および沖縄県の領域は太平洋戦争終戦後、アメリカに占領され日本に返還されるまでの間に一時的に日本の施政権が停止されるが、実質的取扱(実効支配)はともかく、「九州」の範囲に影響を与えたことはない。(なお、トカラ列島は上三島が日本に残留し、下七島が施政権停止されたため、両者間で地方公共団体が分離される事となった。)

九州・沖縄地方

以上のように単に「九州」と言うと西海道九国の領域、あるいは廃藩置県・府県合併以降の7県(福岡県佐賀県長崎県熊本県大分県宮崎県鹿児島県)の領域を指す。いっぽう「九州地方」に沖縄県を含める百科事典が多いが[12][9][12][注 6]、実際には沖縄県を含めた8県の場合は「九州・沖縄地方」との呼び方が使われている。

歴史上も、「九州地方」などと言う地方区分の概念が導入されたのは廃藩置県後の明治時代以降であると考えられる(それ以前は令制国による区分であった)。なお、近現代の法令上、行政上の区分は、個別の法制度に基づくため、必ずしもこれらとは一致しない。例として九州総合通信局の管轄範囲に沖縄県は含まれない。行政機関地方支分部局や企業の営業地域などでは沖縄県を九州地方に含む場合も多く、あるいは沖縄を含むことを明示するために「九州・沖縄地方」と表現する場合が一般的である。

例として『NHK年鑑』では見出しを「九州」とする一方で、本文中では「九州・沖縄」と表現している。テレビ番組としては九州朝日放送制作のブロックネット番組「スーパーJチャンネル九州・沖縄」などがある。

また、本州に位置する山口県は、令制国は山陽道周防国長門国に属し中国地方に区分されるが、北九州地方(かつての豊前国)に地理的にも近く歴史的な縁の深いこともあり、山口県を便宜上の同一区分に含めることもある。その場合は明示して九州・山口地方」と表現する[注 7]

「九州」に沖縄県を含む例
「九州」に山口県を含む例



注釈

  1. ^ a b 島国領土がすべてから成る国)である日本を構成する6,852のに対する『国土交通省』による区分け ⇒ 6,852島(本土5島・離島6,847島)。<出典>『国土交通省』サイト 離島振興課 離島とは(島の基礎知識)[1] 2009年11月27日閲覧。
    ただし、について地理学上はこのような分類・区分けはない。
  2. ^ 平成25年10月1日時点の島面積より 国土地理院 (注:表中の「沖縄島 おきなわじま」は、通称名「沖縄本島」の正式名称)
  3. ^ 【参考】 日本のの面積順上位10島 ⇒ 本州北海道九州四国択捉島国後島沖縄本島佐渡島奄美大島対馬
    [出典] 国立天文台 (編)理科年表 平成19年版 P565、ISBN 4621077635
  4. ^ 世界のの面積順位より抜粋、出典 List of islands by area (オーストラリア大陸の面積未満で、四方を水域に囲まれる陸地)
    第1位 グリーンランド

    第6位 スマトラ島インドネシア共和国
    第7位 本州
    第8位 ビクトリア島カナダ) * 人口1,707人(2001年)
    第9位 グレートブリテン島イギリスイングランドスコットランドウェールズ))

    第20位 アイルランド島アイルランド共和国およびイギリス北アイルランド))
    第21位 北海道
    第27位 デヴォン島カナダ) * 世界最大の無人島

    第36位 スピッツベルゲン島ノルウェー
    第37位 九州

    第49位 バナナル島ブラジル) * 世界最大の川の中の
    第50位 四国
  5. ^ 佐賀・宮崎の両県が再置または分立され現在の状態になったのは、1883年(明治16年)以降である。
  6. ^ 「九州地方」『コンサイス日本地名事典』三省堂、第4版、1998年、396頁。本来の範囲は「九州」と同じく7県としているが、現在は実質的に沖縄県を含めた8県が「九州地方」の範囲である、と解説している。
  7. ^ 産経新聞西部本部では「九州・山口特別版」を発行している。朝日新聞西部本社毎日新聞西部本社読売新聞西部本社発行の新聞記事中でも「九州・山口」は用いられる。テレビ番組としてはブロックネット番組「アサデス。九州・山口」がある。
  8. ^ 古事記・国産み神話においては、隠岐の次、壱岐の前に筑紫島(九州)は、四面をもって生まれたとされる。
    次生、筑紫島。此島亦、身一而、有面四。面毎有名。故、筑紫国謂、白日別。豊国、言、豊日別。肥国、言、建日向日豊久士比泥別。熊曾国、言、建日別。
  9. ^ a b この時期の南西諸島は未開の先史時代であるうえ、朝廷や周辺のヤマト(大和)諸国からの認識も疎かであったと考えられ、特定の島に比定することは困難を伴う。(「阿古奈波」は沖縄本島に比定)

出典

  1. ^ 平成28年全国都道府県市区町村別面積調 島面積 (PDF)”. 国土地理院 (2016年10月1日). 2017年2月27日閲覧。
  2. ^ 『日本統計年鑑 平成26年』(2013年)p.17 - 1986年昭和61年)、海上保安庁による計測。
  3. ^ a b 平成27年全国都道府県市区町村別面積調 都道府県別面積 (PDF)”. 国土地理院. p. 5 (2015年10月1日). 2016年2月29日閲覧。
  4. ^ 【参考】 島国一覧領土がすべてで構成される国)
  5. ^ 地球ダイナミクス講座”. 竹内 章 富山大学理学部教授. 2009年4月閲覧。
  6. ^ 本州島東北部の弥生社会誌. 六一書房. (2004年6月). ISBN 978-4947743220 
  7. ^ 伊東ひとみ『地名の謎を解く』新潮社、2017年、10頁
  8. ^ 古田武彦著『失われた九州王朝』朝日新聞 (1993/01)ISBN 4022607505 p330
  9. ^ a b 「九州地方」『日本地名大百科』小学館、1996年、380-381頁。
  10. ^ 『世界大百科事典 7』、188-189頁。
  11. ^ 「九州」『コンサイス日本地名事典』三省堂、第4版、1998年、396頁
  12. ^ a b c d 『世界大百科事典 7』、189頁。
  13. ^ a b 蟹江征治著、宇野俊一、小林達雄、竹内誠、大石学、佐藤和彦、鈴木靖民、濱田隆士、三宅明正編『日本全史(ジャパン・クロニック)』(講談社1990年)109頁参照。
  14. ^ 『続日本紀』巻第2、大宝2年8月丙申(1日)条、10月丁酉(3日)条。新日本古典文学大系『続日本紀』一の58-61頁。
  15. ^ 野澤ほか 2012, pp. 92-93.
  16. ^ 野澤ほか 2012, pp. 93-95.
  17. ^ 野澤ほか 2012, pp. 96.
  18. ^ 平成17年度県民経済計算について 九州経済産業局調査
  19. ^ 平成19年度県民経済計算 Archived 2010年12月20日, at the Wayback Machine.
  20. ^ World Economic Outlook Database







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