中野区
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 07:42 UTC 版)
概要
旧東京府東多摩郡の東半にあたる。現在は東京都区部の西部にあり、地形的には武蔵野台地の一角である。
鉄道交通では多摩地域と東京都心・副都心を結ぶ位置にあり、JR中央線および相互直通運転する東京メトロ東西線のほか、西武新宿線、東京メトロ丸ノ内線と東西に鉄道が通っている。区役所や中野ブロードウェイ、中野サンモール商店街などがある中野駅周辺は繁華街となっているほか、さらに大きな繁華街である新宿とは鉄道・路線バスの両方で、池袋や渋谷とは路線バスで結ばれており、利便性が高い。
産業は、江戸時代には畑作を中心とする近郊農業と製粉、味噌・醤油醸造など食品工業が整備され、江戸町民の旺盛な食料消費を支える立場にあった。明治中期以降、都心からの転居者などにより人口が増加する。特に1923年の関東大震災以降は浅草から新井薬師周辺へ仏教寺院の移転が始まり、近隣の落合斎場(新宿区上落合)との相乗効果もあって葬祭関連の産業もみられる。第二次世界大戦前は東中野1丁目・2丁目界隈は帝国軍人の街として知られていた。
東京の人口増加に伴い、住宅地化も急速に進んだ。1960年代までに農地はほとんど姿を消した。明治以降、工場立地もある程度進んだが、企業城下町のような工業的発展はない。その他商業、オフィス街としての発展は戦後それなりにあったが、道路網が全般的に脆弱であるため、中野駅周辺は東京の都心や新宿・池袋の副都心地域、さらには都心隣接の旧下町エリアほどの大規模な商業地区化には至らなかった。近年は、新宿に近い中野坂上地区が再開発されて超高層ビルも建ち、コンピュータ・ソフトウェア関連など会社も進出し、中野坂上は「新宿副都心」と呼ばれている。中野駅周辺でも2012年には駅北西の警察学校跡地が再開発されて「中野四季の都市(なかのしきのまち)」が街びらきした。「囲町(かこいちょう)」「なかの新都心」などと呼ばれることがある。
中央線沿線地区を中心に専門学校が数多く存在する。また1950年代以降、多くの漫画家が住んだため、現在も漫画・アニメーション制作は、隣接する杉並区や練馬区、三鷹市などと並んで盛んであり、日本有数のアニメ制作会社の集積地である。
人口密度は22,238.87人/km2(2024年1月1日推計)で日本で第2位[2]。なお、1位は東京都豊島区22,569.41人/km2。市では埼玉県蕨市13,986.69人/km2が最高。
上記のように道路都市基盤が脆弱であり、2012年4月1日時点、道路率は12.8%で23区中21位。狭幅員道路率は84.0%で23区中最下位である。また、一人当たりの公園面積率は2012年4月1日時点1.33%で、東京23区中22位である。南部を神田川が東流するほかは大きな川がなく、公園を含む緑地が少ない結果として人口密度が高くなっている。
住宅地
区内全域にわたり戸建住宅や集合住宅が密集して広がっている。低層建築物がほとんどを占めているが、主要道路に面した地域には中層〜高層マンションが多い。区内には木造住宅密集地域(木密地域)が多く[3]、また賃貸住宅の比率が高いため、人口の流動性が高い。建蔽率が高く、隣家との間隔が1m未満の場合であることも珍しくない。緊急車両の進入が困難な狭隘道路が網の目のように存在する。近年では道路拡張などが行われ、耐震構造の住宅も増加しつつあるが、ほとんどが木造住宅であることから、大地震の際には火災危険度が非常に高い[4]とされる。そういった地域は家賃が安く交通が便利なことから、20〜30歳代の若年層の居住がきわめて多く、子供が少ない。
商業地
区の中心となる中野駅周辺には複合商業施設である中野ブロードウェイと丸井中野店のほか、中野サンモール商店街などが立地する。丸井は中野駅前が創業の地であり、現在も本社がある。その他、各所に個人経営が中心の商店街が存在する。
注釈
出典
- ^ a b c d 中野区の位置と面積 中野区役所(2023年3月20日閲覧)
- ^ “【全国の区(特別区・政令区)】人口ランキング・面積ランキング・人口密度ランキング”. 【全国の区(特別区・政令区)】人口ランキング・面積ランキング・人口密度ランキング. 2024年4月14日閲覧。
- ^ “木造住宅密集地域の状況について”. 東京都. 2022年1月12日閲覧。
- ^ [1]
- ^ 東京都編集『東京都の昼間人口2005』(平成20年発行)pp.128-129
- ^ 「西武線などで深夜運転」『日本産業経済新聞』1944年6月9日(昭和ニュース編集委員会編『昭和ニュース事典第8巻 昭和17年/昭和20年』本編p.243)
- ^ 日外アソシエーツ編集部編 編『日本災害史事典 1868-2009』日外アソシエーツ、2010年、65頁。ISBN 9784816922749。
- ^ 中野区パートナーシップ宣誓について 中野区役所(2023年3月20日閲覧)
- ^ 中野区初の文学賞 授賞式/大賞は原浩一郎さんの「悔いの華」『東京新聞』朝刊2023年3月20日(都心面)同日閲覧
- ^ 東京都品川区 編『品川県史料』〈品川区史〉1970年。 NCID BN05722063。
- ^ 明治4年太政官布告第594号 国立国会図書館近代デジタルライブラリー
- ^ 中野区民生活史編集委員会 編『中野区民生活史』 1巻、中野区、1982年、79頁。全国書誌番号:83003326。
- ^ 神奈川県管地ヲ東京府ニ分属 - 国立公文書館デジタルアーカイブ
- ^ 昭和35年4月2日、総理府告示第116号
- ^ 練馬ナンバー割り当て地域は他に新宿区、文京区、豊島区、北区、練馬区がある。東京運輸支局管轄区域 国土交通省関東運輸局( 2021年7月16日閲覧)。
- ^ 東京都選挙管理委員会 | 都内選挙スケジュール | 任期満了日(定数)一覧 Archived 2015年11月19日, at the Wayback Machine.
- ^ 2018年7月14日新しく副区長が任命されました | 中野区公式ホームページ
- ^ “2018年10月17日 新しく副区長が任命されました | 中野区公式ホームページ”. www.city.tokyo-nakano.lg.jp. 2021年5月24日閲覧。
- ^ “2024年4月1日 教育長が就任しました | 中野区公式ホームページ”. www.city.tokyo-nakano.lg.jp. 2024年4月13日閲覧。
- ^ “中野区民 刷新を支持 新区長に酒井直人さん”. 東京新聞. (2018年6月12日) 2018年6月17日閲覧。
- ^ 地域センターは、平成23年7月19日に、「区民活動センター」と「地域事務所」に再編しました 中野区役所(2011年3月17日更新)2021年7月16日閲覧
- ^ 2015年4月26日執行中野区議会議員選挙の記録 | 中野区公式ホームページ
- ^ 会派等の構成(第22期)、中野区議会
- ^ キリンビバレッジ株式会社と中野区立総合体育館にかかるネーミングライツ契約を締結します 中野区役所(2020年8月27日最終更新)2023年3月20日閲覧
- ^ [東京大改造]桜の名所で進む「開かずの踏切」解消工事、西武新宿線の連続立体交差事業日経XTECH(2022年3月18日)2023年3月20日閲覧
- ^ “上高田小学校・新井小学校統合統合委員会ニュース第11号” (PDF). 上高田小学校・新井小学校統合委員会. 中野区 (2019年4月23日). 2019年9月23日閲覧。
- ^ “上高田小学校・新井小学校統合新校校舎等の整備について”. 中野区 (2019年1月31日). 2019年9月23日閲覧。
- ^ https://en.tokyo-cowboys.com/thebenza-cast-inko
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- ^ 飯塚幸三「硬さ標準の研究三昧の時代 第1回」『精密工学会誌』、doi:10.2493/jjspe.73.1131、2019年4月21日閲覧。
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- ^ “女子力就活! 内定率100%の就活スクールの最強メソッド/野村絵理奈/著 会田幸恵/著 本・コミック”. トーハン(出典:トーハンほか3社「BOOK」データベース). 2022年5月2日閲覧。
- ^ “竹内 由恵|アナウンサーズ|テレビ朝日”. 2019年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年9月16日閲覧。
- ^ “中野の病院「大規模クラスター」”. 読売新聞 (2020年4月14日). 2020年4月14日閲覧。
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