中選挙区制 政治的帰結

中選挙区制

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/06 09:10 UTC 版)

政治的帰結

戦前の二大政党制

戦前は政友会民政党の二大政党が、中選挙区制の下で過半数の議席を争い、政権交代を繰り返した。川人貞史によれば、候補者擁立の失敗や票の均等化の失敗は、二大政党に互いに相殺される傾向にあったのに加えて、1930年台は支持率の増減が激しかったので、それほど大きな問題にならなかった[19]

55年体制

55年体制において一強政党であり政権与党であった自民党は、高度に集権化された政党ではなかったため、支持者からの票を候補者間で均等に票割りすることは困難であった。このため、同党の公認候補が選挙区に2人以上いると、特定の候補者のみに票が集中してしまうことがしばしばあった[20]完全連記制制限連記制単記移譲式投票も参照)。

これについて、J・マーク・ラムザイヤーフランシス・ローゼンブルースは、選挙区内での集票の棲み分けを図るために、個人後援会と自民党部会を通じた特定業種への利益誘導によって、各候補が特定の有権者を囲いこむ戦略を自民党は採用したという[21]。しかし、川人貞史は、自民党は過剰公認をコントロールすることは出来たが、得票の不均等配分を是正することはできなかったとし、ラムザイヤーとローゼンブルースはそもそも事実を誤認していると指摘している[22]

野党については、日本社会党は過半数の候補を立てたのは大選挙区制を含めて3度だけだったが、1960年代までは1選挙区で複数候補を擁立した例は多かった。しかし田中善一郎[23]、自民党候補者は当選回数を重ねるごとに強くなっていくのに対し、社会党候補者は当選回数と選挙の強さの相関がほとんどなく、党の看板に頼った選挙戦だったと結論づけている。社会党は1970年代以降、大部分の選挙区で単独擁立が常態となり、共産党民社党公明党といった他の野党も、一部例外を除いて1選挙区で複数候補を立てる力はなく、一党をもって過半数を狙える勢力には成長しなかった。


  1. ^ 川人 貞史 中選挙区制研究と新制度論 選挙研究 15号 2000年
  2. ^ 村瀬信一「選挙法改正問題と伊藤新党」史学雑誌108-11 1999年
  3. ^ 朝日新聞1898年5月24日東京/朝刊 1頁 5段
  4. ^ 朝日新聞1900年3月25日 東京/朝刊 1頁 4段
  5. ^ 林田亀太郎「改正衆議院議員選挙法釈義」1902年 東京専門学校出版部
  6. ^ 林田亀太郎「普選のしおり」 第六章 1925年 公民会
  7. ^ 尾崎行雄, 林田亀太郎「普選読本」模範図書刊行会 1926
  8. ^ 岡義武『山県有朋』(岩波書店、岩波新書、1958年)P79-80
  9. ^ 杣正夫『日本選挙制度史』(九州大学出版会、1986年)P44
  10. ^ 朝日新聞 1962年10月14日 東京/朝刊
  11. ^ 選挙制度及び政治資金制度の改革についての答申
  12. ^ 越山康 人口較差の利用による衆院定数配分是正の功罪
  13. ^ 越山康 (1991)「人口較差の利用による衆院定数配分是正の功罪」選挙研究6巻
  14. ^ 讀賣新聞 「次の総選挙から実施を」1963年10月11日 朝刊
  15. ^ 讀賣新聞 「解説 区制また見送り 選挙制度改正答申の問題点」1963年10月16日 朝刊
  16. ^ 杣正夫 1967年 小選挙区制の政治的意味 「小選挙区制」潮出版所収
  17. ^ 石田 諭司 衆議院議員選挙制度の変遷
  18. ^ 石田 諭司 衆議院議員選挙制度の変遷
  19. ^ 川人貞史 2004 第6章
  20. ^ 川人貞史 2004 第7章
  21. ^ ラムザイヤー 1995, p. 24-25.
  22. ^ 川人他、2001年、136-138頁。川人貞史 2004年 第7章
  23. ^ 田中善一郎 「日本の総選挙 1946-2003」 第7章 2005年 東京大学出版会
  24. ^ 『産経ニュース』2011年11月17日 19:24
  25. ^ 『朝日新聞デジタル』2012年4月5日
  26. ^ asahi.com(朝日新聞社):民主政権は「旗印絞れ」 細川元首相インタビュー - 2009総選挙”. www.asahi.com. 2021年7月5日閲覧。
  27. ^ なんと「94年政治改革の失敗」を細川・河野両氏が認めた!” (日本語). ダイヤモンド・オンライン. 2021年7月5日閲覧。
  28. ^ http://www.tachiagare.jp/pdf/newsrelease_101029.pdf[リンク切れ]
  29. ^ 選挙制度改革 たちあがれ・園田博之幹事長 中選挙区で2人連記[リンク切れ]
  30. ^ 野中広務さん 武村正義さん 小選挙区制、見直し訴える[リンク切れ]
  31. ^ 二大政党は時代遅れ?|公明党”. www.komei.or.jp. 2021年7月5日閲覧。
  32. ^ http://www.komei.or.jp/news/detail/20100525_2277[リンク切れ]
  33. ^ http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110901-OYT1T00002.htm[リンク切れ]
  34. ^ http://www.jiji.com/jc/zc?k=201108/2011081700601[リンク切れ]


「中選挙区制」の続きの解説一覧



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「中選挙区制」の関連用語

中選挙区制のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



中選挙区制のページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの中選挙区制 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2021 GRAS Group, Inc.RSS