不当解雇 不当解雇の概要

不当解雇

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/07 02:37 UTC 版)

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どのようなケースがUnfairであるかは、各国の雇用保護規制において定義され、その範囲は国によって大きな差がある[1]。米国とカナダ(ケベック州を除く)では、その解雇理由が禁止事項に該当しない限り、従業員を理由なく解雇してもFairとされる[1]

不当解雇との訴えが正当とされた場合、原職復帰または金銭補償にて紛争解決がなされるが、どちらの対応が慣習であるかは国によって大きな差がある[1][2]

国際労働機関条約

使用者の発意による雇用の終了について、不当とされる基準が示されている。

第2条2 加盟国は、次の種類の雇用されている者をこの条約の全部又は一部の適用から除外することができる。

(b) 試用期間中の労働者又は雇用に係る資格の取得期間中の労働者。ただし、これらの期間は、あらかじめ決定された合理的なものでなければならない。
(c) 短期間臨時的に雇用されている者

第4条 労働者の雇用は、当該労働者の能力若しくは行為に関連する妥当な理由又は企業、事業所若しくは施設の運営上の必要に基づく妥当な理由がない限り、終了させてはならない。

第5条 特に、次の事項は、終了の妥当な理由とはならない。

(a) 労働組合員であること又は労働時間外に若しくは使用者の同意を得て労働時間内に労働組合活動に参加したこと。
(b) 労働者代表に就任しようとすること又は労働者代表の資格において行動すること若しくは行動したこと。
(c) 法令の違反を理由として使用者を相手方とする苦情の申立てを行い若しくは使用者を相手方とする手続に参加したこと又は権限のある行政機関に提訴したこと。
(d) 人種、皮膚の色、性、婚姻、家族的責任、妊娠、宗教、政治的意見、国民的出身又は社会的出身
(e) 出産休暇の間の休業

第6条

  1. 疾病又は負傷による一時的な休業は、終了の妥当な理由とはならない。
  2. 一時的な休業の定義、診断書が必要とされる範囲及び1の規定の適用を制限する可能性は、第一条に定める実施方法により決定される。
—  1982年の雇用終了条約(第158号)

日本

労働契約法第十六条
 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

使用者は法律等に定められた要件を満たしていれば基本的に解雇ができるとされているが、使用者自体が法律や労働慣例に詳しくなかったり(過失)、悪意(故意)を持っているなどで、必要な要件を満たさないまま解雇を行なおうとすることも少なくない。現在では、不況に伴いリストラの最終手段としての人員整理において、不当解雇の存在が見逃せなくなっている。近年では、会社側が内部告発をした社員などに対し、逆に社員に言いがかりを付けて懲戒にすること(不当懲戒解雇)も問題になっている。弁明の手続きがあっても、他の懲戒相当ケースと比べ明らかに重い処分をする場合は、不当懲戒処分である社員不平等扱いの可能性が高い。なお、退職強要も法律的な解釈から見れば、労働者の意思を制圧したことの要件が加わることになるので、不当解雇の要素の1つとなる。

不当解雇の救済手段は、法律上明文化されたものや明らかな判断がつく事項は労働基準監督署で扱うことができるが、それ以外の「合理的な理由」というものについては、個別の事案ごとに不当かどうかを検討しなければならず、結局民事的な紛争として解決するしか方法がない。裁判所に訴え出るとなると、それに費やす金銭、時間、人的余裕の少ない労働者にとっては負担が大きいことや、勝訴した場合でも被告である使用者からのケアが充分に行われなかったりする(使用者は与える仕事がないから解雇するのであって、解雇が無効であっても仕事が与えられないことに変わりはない)ことなどで、結局「泣き寝入り」となる労働者が少なくない。訴訟では地位保全の仮処分、賃金仮払いの仮処分を解雇後迅速に申請すれば、3か月以内に決定が下される。本訴の裁定までには数年かかる場合もある。

紛争解決

解雇は専ら使用者の意思で行なわれるので、すべて使用者の裁量によるものである。特に解雇の中の普通解雇に関しては、解雇要件が広義になっているので、社会通念や程度なども千差万別であり、就業規則や労働協約などの取り決めも含めて、解決方法の手段も異なってくる。労働組合が存在する会社では、労働組合を通じて交渉する手段があり、交渉が決裂した場合は、双方の主張を司法で判断すべく裁判となる。労働組合が存在しない場合は、一般労働組合と呼ばれる外部の労働組合に個人で加入するか、個人での交渉か弁護士社会保険労務士などの代理人を通じて行なうこととなる。また、厚生労働省労働局や地方自治体の労働委員会による個別労働紛争の調整など、行政の介入による解決も行われ、成果を挙げている。

労働審判法

2006年より労働審判法が施行される。内容としては現在の厚生労働省都道府県労働局長による個別紛争解決が司法の場に用いられ、その決定は強制力を持つ。形式としては刑事裁判の形式裁判に類似している。決定に不服な場合は正式裁判に移行する。

米国

米国では以下を理由とした解雇はUnfairと定められる。




  1. ^ a b c OECD Employment Outlook 2020, OECD, (2020-07), doi:10.1787/1686c758-en, ISBN 9789264459793 
  2. ^ OECD 2019.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 『データブック国際労働比較2019』 労働政策研究・研修機構、2019年。ISBN 978-4-538-49054-0 
  4. ^ a b c d e OECD 2019, Country: United Kingdom.
  5. ^ a b c d e f g h OECD 2019, Country: Netherlands.
  6. ^ a b c d OECD 2019, Country: Sweden.
  7. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p593.
  8. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p599.
  9. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p603 - p605.
  10. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p600.
  11. ^ a b Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p602.
  12. ^ Arturo S. Bronstein (1990) "Protection against unjustified dismissal in Latin America", p602. p610.


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