一向聴 黄金の一向聴

一向聴

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/12 15:39 UTC 版)

黄金の一向聴

タンピン三色一気通貫の両方が見えるくっつきテンパイの形を黄金の一向聴(おうごんのイーシャンテン)と呼ぶ。下例のような形である。

(例)黄金の一向聴の一例

   ドラ表示牌 
のくっつきテンパイの形で、を引けば高目一気通貫のテンパイに、を引けば高目タンピン三色のテンパイになる。
このような三色と一通の両天秤は、手作り・役作りのお手本とされることも少なくない。また、得点的にも期待値の高い一向聴である。
なお、黄金の一向聴と呼ばれる形は、三色同順になるほうにくっついた場合タンヤオの三色になるような形でなければならない。タンヤオにならない123や789の三色同順は、一気通貫との両天秤の形になることはあるが、「黄金の」とは言わない。また、一気通貫と黄金の両天秤を取れるタンピンの三色同順は「234の三色」「345の三色」「567の三色」「678の三色」の4種に限られ、456の三色と一気通貫は黄金の両天秤を取ることができない(下例)。
(例)
456の三色と一気通貫の両天秤だが、456の三色になっても九萬が残ってタンヤオにならないため、黄金の一向聴の定義から外れる。

仮り聴と0.5向聴

聴牌しているが、待ちの形や枚数が充分でなく、あと一牌の手変わりが欲しい状態を、仮り聴(かりテン)と呼ぶ。また、仮り聴の状態を、充分な聴牌(零向聴)と一向聴の中間と捉え、0.5向聴と比喩することがある。両者とも同じような状態の手牌を指すが、どちらかといえば「仮り聴」が出あがりの利く形まで含めた呼び方であるのに対し、0.5向聴は、向聴数がゼロではないという点で、出あがりが利かない状態であることを含意する。ただし、0.5向聴という言い方は古くからある言い方ではなく、仮り聴とのニュアンスの違いも明確に分かれているわけではない。

(例)タンヤオのみの仮り聴

   ドラ表示牌 (東1局の西家、10巡目)
この牌姿ではもしくはを引くことで待ちも広がり、456の三色も狙える。したがってこのようなケースでは、手変わりの可能性を考慮し、リーチをかけないことのほうが多い。

(例)0.5向聴

   ドラ表示牌 (東1局の東家、8巡目)
形的には単騎のテンパイだが、萬子か字牌を引けばメンホンになる牌姿である。ドラが暗刻だからと言ってこの状態から六筒単騎のリーチをかけることは通常考えられず、巡目も比較的早いことから、あくまで大物手を狙って手変わりを待つ。を引いて高目一通の六門張になるのが理想形だが、ほかの萬子でも充分に広いテンパイ形となる。この形のまま六筒をツモってきた場合は思案どころで、ツモドラ3の4000オールというアドバンテージを取るもよし、跳満や倍満の見込める和了形には不要と考えてツモ切ってしまうもよし。堅実な打ち手なら前者ツモ和了を取るであろうし、一撃必殺となる高い手が好きな打ち手なら後者ツモ切りを取る。どちらを取るかは打ち手の好き好きだが、六筒のツモ和了を拒否する打ち手にとっては、この形はテンパイであってもテンパイでない「0.5向聴」の牌姿である。

向聴取らずと向聴戻し

待ちが悪い、手が安い、危険牌が切りづらい、などの理由で、敢えてテンパイに取らないことを聴牌取らず(テンパイとらず)もしくは一向聴戻し(イーシャンテンもどし)と言う。同様に、なんらかの理由により一向聴に取らないことを、一向聴取らずもしくは二向聴戻しと言う。すなわち、シャンテン数を1つ下げられる局面であるにもかかわらず、敢えて現状を維持する牌を切るのが向聴取らず(シャンテンとらず)、もともとの状態から何らかの理由で敢えてシャンテン数を上げるのが向聴戻し(シャンテンもどし)である。

(例)テンパイ取らずの例

  ツモ   ドラ表示牌 (南3局の北家、10巡目、トップと約10,000点差)
ドラの五筒を切れば辺七萬のテンパイになる牌姿だが、南場の親も落ち、トップと離された状況にあって、愚形のリーチドラ1を和了っている場合ではない。したがってテンパイには取らず、を払って五筒のくっつきを狙う。三筒や四筒を引く前に五索を引けば、二索と振り替えて三色も見える手組みである。

(例)一向聴取らずの例

  ツモ   ドラ表示牌 (南3局の北家、8巡目、トップと約10,000点差)
この牌姿はすぐ上の例の2巡前の牌姿である。ここから字牌を切れば上のようなの一向聴になる。しかし、どのみちドラの五筒を切らないのであれば、受け入れが狭くタンヤオもつかない辺張を残して一向聴に取る意味はない。ドラ周りで2面子、索子のリャンメンも残してあわよくば三色も、という手組みを考えるなら、辺七萬の受けは既にこの段階から不要である。そのような思考のもと、西ではなく八萬か九萬を切るのが一向聴取らずである。

(例)テンパイ崩しの例

  ツモ   ドラ表示牌 (東1局の南家、14巡目、は場に0枚で生牌)
東家          
テンパイしている状態から何らかの理由により一向聴に戻すことを、特にテンパイ崩しと言う。
上の牌姿例は、数巡前からテンパイしていたが13巡目に親が白をポン、その直後に發を掴まされた図である。このような場合、テンパイしているからと言ってドラの發を切るのはまごうことなき暴牌であり、切った發にロンが掛ればただごとでは済まない。發単騎の小三元だったとしてもダブ東混一色がついて親倍24000点、さらにチャンタ対々がついていれば三倍満36000点。大三元または字一色なら親役満48000点、場合によっては大三元+字一色のダブル役満96000点になっているかもしれない。いずれにしても即死の牌であり、發を止めてテンパイを崩す一手であるのみならず、現物牌以外の牌は切れない。迂闊に一萬や九索を切って發との双碰に刺されば、混老頭がついて数え役満となり、發を止めてテンパイを崩した意味がないからである。

  1. ^ 日本プロ麻雀協会. “日本プロ麻雀協会 麻雀用語講座バックナンバー”. 2012年5月31日閲覧。沼崎定跡の項に「戦前の理論」「現在でいう完全一向聴」とある。
  2. ^ 浅見了. “沼崎雀歩”. 2012年5月31日閲覧。
  3. ^ 浅見了. “ポンチーよし”. 2012年5月31日閲覧。


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