ヴィントン・サーフ
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ヴィントン・サーフ Vinton Gray Cerf | |
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2010年9月ヴィリニュスにて | |
生誕 |
Vinton Gray Cerf 1943年6月23日(80歳) アメリカ合衆国・コネチカット州ニューヘイブン |
居住 | アメリカ合衆国 |
国籍 | アメリカ合衆国 |
研究分野 | 計算機科学 |
研究機関 |
IBM[1] UCLA[1] スタンフォード大学[1] DARPA[1] MCI[1][2]、CNRI[1]、Google[3] |
出身校 |
スタンフォード大学 UCLA |
主な業績 |
TCP/IP インターネット協会 |
主な受賞歴 |
アメリカ国家技術賞(1997) チャールズ・スターク・ドレイパー賞(2001) チューリング賞(2004) IEEE栄誉賞(2023) |
プロジェクト:人物伝 |
かつてアメリカ国防総省国防高等研究計画局(DARPA)でプログラムマネージャを務め、TCP/IP関連技術を開発する様々なグループに出資した。1980年代末ごろインターネットが商用化される際、MCIに移って初期の商用電子メールシステムMCI Mailを開発し、それをインターネットに接続した。
ICANNの創設に尽力。後にICANNの理事となり、最終的に会長を務めた。2012年5月、Association for Computing Machineryの会長に選ばれた[10]。
経歴
コネチカット州ニュー・ヘイブン生まれ。父は航空宇宙企業の重役だった[11][12]。バン・ナイズ・ハイ・スクール卒。同級生にジョン・ポステルやスティーブ・クロッカーがおり、どちらもサーフと同じくインターネットの誕生に関わっている。早くからコンピュータに興味を持ち、スタンフォード大学に入学して夏休みにはノースアメリカンやロケットダインといった企業で働いた。1965年、数学の学士号を取得し、卒業後IBMに就職。IBMではQUIKTRAN(FORTRANの一種)の開発に関わった[1]。もっとコンピュータについて学ぶことを決意して1967年には大学に戻り、カリフォルニア大学ロサンゼルス校 (UCLA) で計算機科学を学んだ。1970年に修士号、1972年に博士号を取得[13]。 UCLA時代にはジェラルド・エストリン教授の下で学び、レナード・クラインロック教授の下で世界初のパケット通信コンピュータネットワークであるARPANETにも関わり[14]、ARPANETでのホスト間通信プロトコル開発に貢献した[15]。同時期にARPANETのハードウェアアーキテクチャについて仕事していたロバート・カーンにも出会っている[15]。そのころからサーフはいくつものRFCを執筆している。博士号取得後1972年にスタンフォード大学の教授となってからもコンピュータネットワークに関わり続け、カーンと共同でTCP/IPの設計を行った[15]。1976年、サーフは国防高等研究計画局(DARPA)に招かれ、1982年までその分野の研究開発計画に関わることとなった。
その後、1982年から1986年まで通信企業MCIの副社長を務め、世界初のインターネット接続された商用電子メールサービスMCI Mailの開発などを指導した。1994年にも再びMCIに戻り、技術戦略担当上級副社長を務めた。
さらにサーフは1986年にカーンが設立したCorporation for National Research Initiatives(CNRI)に参加し、1994年までとどまった。そこで彼は電子図書館やKnowbotなどのプロジェクトを指導した。
サーフは1992年、ロバート・カーンと共にインターネット協会(ISOC)を設立した。ISOCはインターネットの一般ユーザーへの普及促進を図るとともに、各種関連技術団体(IETFなど)のまとめ役にもなっている。サーフはISOCの初代会長を1999年まで務めた。
彼は聴覚障害者であり[16]、1997年に聴覚障害者のための大学であるギャローデット大学の評議会のメンバーとなった[17]。
2005年9月8日、Googleはサーフを副社長兼チーフ・インターネット・エバンジェリストとして雇った[3][18]。
1999年から2007年まで、ICANNの理事を務めている[19]。
2002年3月8日、ブルガリアの大統領ゲオルギ・パルヴァノフのIT諮問委員会のメンバーとなった(2012年1月まで)[20]。サーフは国際的リスクコンサルタント会社 Eurasia Group の諮問委員会のメンバーでもある[21]。
サーフはアメリカ航空宇宙局のジェット推進研究所と共に惑星間インターネット構想にも関与している。これは惑星から惑星への通信の標準規格となるもので、無線またはレーザー通信を使用して信号減衰への高度な耐性を目指している[22]。
2006年2月、サーフは上院商務科学運輸委員会で「ネットワーク中立性」について証言した[23]。Googleのチーフ・インターネット・エバンジェリストとして証言したもので、消費者の約半数はブロードバンドプロバイダーの選択肢がなく、インターネット中立性についての政府による規制がなければプロバイダーが独占状態からさらに消費者の選択肢を狭め、Googleなどの企業に帯域幅使用について課金する可能性があるとした。
2008年、IETFの国際化ドメイン名ワーキンググループの議長を務めた[24]。
2010年から、国連のデジタル開発のためのブロードバンド委員会の委員を務めている。
北米などを担当する地域インターネットレジストリであるARINの理事を務めている[25]。
反マルウェアの非営利団体 StopBadware の取締役も務めている。Googleはハーバード大学のBerkman Center for Internet & Societyのプロジェクトとして始まった当初からこれを支援している[26][27]。
バラク・オバマ大統領によるアメリカ初の最高技術責任者(CTO)の候補者としてサーフの名も挙げられていた[28]。
2012年5月24日、Association for Computing Machinery (ACM) はサーフが会長に選ばれ、2012年7月1日から2年間務めることを発表した[29]。
受賞歴など
サーフは、バレアレス諸島大学、チューリッヒ工科大学、ジョージ・メイソン大学、ピサ大学、レンセラー工科大学、トゥウェンテ大学、北京郵電大学、慶應義塾大学などから名誉博士号を含む名誉学位を授与された。
- 1996年 - ユーリ・ルビンスキー記念賞
- 1996年 - SIGCOMM Award[30]
- 1997年 - アメリカ国家技術賞。ロバート・カーンと共同受賞。ビル・クリントンからインターネットとTCP/IPの創造への貢献に対して授与された[31]。
- 2000年 - コンピュータ歴史博物館フェロー(コンピュータの殿堂)
- 2001年 - チャールズ・スターク・ドレイパー賞
- 2004年 - チューリング賞[8]。ロバート・カーンと共同受賞。「インターネットの基本通信プロトコル……を含むネットワーク間接続の先駆的貢献と……ネットワーク全般でのリーダーシップに対して」[32]
- 2005年11月 - カーンと共にジョージ・ウォーカー・ブッシュから大統領自由勲章を授与された[9]。
- 2006年7月 - カーンと共に「全米発明家殿堂」入り
- 2008年 - 日本国際賞。ロバート・カーンと共同受賞。受賞業績は「インターネットのネットワーク設計概念と 通信プロトコルの創成」[33]。
- 2010年 - アストゥリアス皇太子賞学術・技術研究部門
- 2010年 - YouTubeの5周年を記念して客員学芸員に選ばれ、YouTube上の印象的な動画6本を選んだ[34]。
- 2010年 - ハロルド・ペンダー賞(ペンシルベニア大学)。ロバート・カーンと共同受賞。
- 2012年 - 2012 インターネットの殿堂入り(インターネット協会)[35]
- 2013年 - クイーンエリザベス工学賞[36]
- 2016年 - IRIメダル
- 2018年 - ベンジャミン・フランクリン・メダル
- 2023年 - IEEE栄誉賞
- ^ a b c d e f g h i Cerf's curriculum vitae as of February 2001
- ^ Gore Deserves Internet Credit, Some Say, a March 1999 Washington Post article
- ^ a b Cerf’s up at Google
- ^ “ACM Turing Award, list of recipients”. Awards.acm.org. 2009年12月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月2日閲覧。
- ^ “IEEE Alexander Graham Bell Medal”. Ieee.org (2009年7月7日). 2011年12月2日閲覧。
- ^ (see Interview with Vinton Cerf Archived 2007年6月9日, at the Wayback Machine., from a January 2006 article in Government Computer News), サーフはロバート・カーンやレナード・クラインロックと共にインターネットの父の1人に挙げられることを快く思っている。
- ^ Cerf, V. G. (2009). “The day the Internet age began”. Nature 461 (7268): 1202–1203. doi:10.1038/4611202a. PMID 19865146.
- ^ a b Cerf wins Turing Award Feb 16, 2005
- ^ a b 2005 Presidential Medal of Freedom recipients from the White House website
- ^ ACM Elects Vint Cerf as President from the ACM website
- ^ Jerome, Richard (2000年9月18日). “Lending An Ear – Health, Real People Stories”. People. 2011年12月2日閲覧。
- ^ “Vinton Gray Cerf Biography”. BookRags.com. 2011年12月2日閲覧。
- ^ “UCLA School of Engineering Alumnus Chosen for Prestigious Turing Award”. UCLA Henry Samueli School of Engineering and Applied Science (Spring 2005). 2012年9月3日閲覧。
- ^ “Internet predecessor turns 30”. CNN. (1999年9月2日). オリジナルの2000年8月18日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c “INTERNET PIONEERS CERF AND KAHN TO RECEIVE ACM TURING AWARD”. ACM. (2005年2月16日). オリジナルの2012年7月1日時点におけるアーカイブ。
- ^ “Vinton Cerf – Father of the Internet, Vinton Cerf”. Deafness.about.com (2010年8月28日). 2011年12月2日閲覧。
- ^ Resolution: Vinton G. Cerf, from that university's website
- ^ Vint Cerf: Google's New Idea Man
- ^ “ICANN Board of Directors – Vinton G. Cerf”. Icann.org (2011年2月14日). 2011年12月2日閲覧。
- ^ Presidential
- ^ “Eurasia Group”. Eurasia Group. 2011年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月2日閲覧。
- ^ The InterPlaNetary Internet Project IPN Special Interest Group
- ^ Testimony before the U.S. Senate Committee on Commerce
- ^ “IDNAbis WG”. Tools.ietf.org. 2011年12月2日閲覧。
- ^ “ARIN Announces Newly Elected Board of Trustees”. Arin.net. 2011年12月2日閲覧。
- ^ “Board of Directors”. StopBadware (2009年3月25日). 2011年12月2日閲覧。
- ^ “Harvard's Berkman Center and the Oxford Internet Institute Unveil StopBadware.org Backed by Google, Lenovo, Sun; Consumer Reports WebWatch Takes Unpaid Special Advisor Role”. StopBadware (2006年1月23日). 2011年12月2日閲覧。
- ^ “The 5 best jobs Obama has yet to fill – Craig Gordon and Ben Smith”. Politico.Com. 2011年12月2日閲覧。
- ^ “ACM Elects Vint Cerf as President”. ACM. 2012年5月25日閲覧。
- ^ “SIGCOMM Awards”. Sigcomm.org. 2011年12月2日閲覧。
- ^ “Office of Science and Technology Policy | The White House”. Ostp.gov. 2011年12月2日閲覧。
- ^ “ACM: Fellows Award / Vinton G. Cerf”. amturing.acm.org (2011年6月4日). 2011年12月2日閲覧。
- ^ “ジャパンプライズ(Japan Prize/日本国際賞)”. 国際科学技術財団. 2022年9月4日閲覧。
- ^ FiveYear. “Vint Cerf's Top YouTube Videos”. Youtube. 2011年12月2日閲覧。
- ^ 2012 Inductees, Internet Hall of Fame website. Last accessed April 24, 2012
- ^ “Winners 2013 - Queen Elizabeth Prize for Engineering” (英語). Queen Elizabeth Prize for Engineering 2017年2月2日閲覧。
- ^ http://www.yale.edu/ypu/minutes/ypu-2009-04-15.html
- ^ “HPI Fellows & Guests”. 2011年5月27日閲覧。
- ^ British Computer Society. “Vint Cerf named BCS Distinguished Fellow”. 2011年9月28日閲覧。
- ^ “IP: Al Gore's support of the Internet, by V.Cerf and B.Kahn”. Interesting-people.org. 2011年12月2日閲覧。
- 1 ヴィントン・サーフとは
- 2 ヴィントン・サーフの概要
- 3 科学アカデミー会員
- 4 外部リンク
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