ヴァルター・ベンヤミン 死について

ヴァルター・ベンヤミン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/11 19:31 UTC 版)

死について

ベンヤミンは第二次世界大戦中、 ナチスの追っ手から逃亡中、ピレネーの山中で服毒自殺を遂げたとされてきた。リーザ・フィトコが「ベンヤミンの黒い鞄」[4]を出版したことで、死の直前の状況に関する断片的ではあるが新しい情報が提出され、近年、話題になっている。映画監督David Mauasはドキュメンタリー映画「Who Killed Walter Benjamin?」において、さまざまな人にインタビューをし、自殺というのはありえないとする証言を多く引き出してる。暗殺説もあるが、では誰が何のために暗殺したのかは特定されたわけではなく、いまだ真相は不明である[5][注釈 4]

主要概念

アウラ

ヴァルター・ベンヤミンが『写真小史』や『複製技術時代の芸術作品』で定義した概念。ベンヤミンは、写真や複製技術時代の芸術作品においてはアウラが凋落すると指摘している。そのアウラの内容については、「エロス的な欲情を喚起するような対象が発するものであり、幼年期に特有の至福の神的経験において現れる対象がもっているような性質」[6]、「われわれが芸術文化にたいして抱く一種の共同幻想」[7]、「同一の時空間上に存在する主体と客体の相互作用により相互に生じる変化、及び相互に宿るその時間的全蓄積」[8]等、様々な学説が提出されている。

関連文献

関連項目


注釈

  1. ^ この修正についてベンヤミンは始終気にしていた様子である。ヴェルナー・クラフト宛て1936年8月11日の書簡では初稿のフランス語版の構成について心配している様子が伺える。[2]
  2. ^ 「概要」「覚え書および資料」と内容が重複するため、日本語版では割愛されている。
  3. ^ 「概要」「覚え書および資料」と内容が重複するため、日本語版では割愛されている。
  4. ^ 著作家アーサー・ケストラーは自叙伝『目に見えぬ文字』中、同じくナチスからの逃亡中に旧友のベンヤミンと邂逅し、彼が所持していたモルヒネを半分分けて貰ったという回想をしている。ベンヤミンはこれを捕まったら使用するつもりであったようで、本人曰く「これだけあれば馬も殺せる」ということであった。ケストラーによると、ベンヤミンがモルヒネを使ったのは、ピレネーを越えスペインで捕まりフランスに送還すると通告された直後であったとのことである

出典

  1. ^ リーザ・フィトコ『ベンヤミンの黒い鞄』晶文社、1993年。映画「Who Killed Walter Benjamin?, a documentary film about the circumstances of Benjamin's death」 David Mauas監督公式サイト下記項目「死について」参照
  2. ^ 野村修編集解説『書簡II 1929-1940 ヴァルター・ベンヤミン著作集15』晶文社1987年。(77 p.176)
  3. ^ 「パサージュ論」第1巻(岩波現代文庫)所収「『パサージュ論』のテクスト成立過程の素描」
  4. ^ リーザ・フィトコ『ベンヤミンの黒い鞄』晶文社、1993年。
  5. ^ 映画「Who Killed Walter Benjamin?, a documentary film about the circumstances of Benjamin's death」 David Mauas監督公式サイト英語版本項目参照
  6. ^ 村上隆夫『人と思想88 ベンヤミン』清水書院、1990年、142頁。
  7. ^ 多木浩二『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』岩波書店、2000年、47頁。
  8. ^ 秋丸知貴「ヴァルター・ベンヤミンの『アウラ』概念について」『モノ学・感覚価値研究』第6号、京都大学こころの未来研究センター/モノ学・感覚価値研究会、2012年、137頁


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