ワカメ 語誌と歴史

ワカメ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/06 01:06 UTC 版)

語誌と歴史

ワカメは乾燥が容易で、軽く運搬も容易であったこともあり、先史から日本で広く食べられていたことが確認されている。縄文時代の遺跡からは、ワカメを含む海藻の植物遺存体が見つかっており[6]、この時代から食されていたことが明らかになっている。

和語では古くは、藻類の「も」に対し、食用の海草一般を「め」と呼んでいた。漢字では、古くは「海藻」(平城宮木簡)、「軍布」(『万葉集』、藤原京木簡)、「和布」(色葉字類抄)などと当てられていた。古代に食されていた海藻の主体はワカメであったらしく、この「め」は、特にワカメを指していた[7]。また一説には女性(海女)の手で採られたことから「メ」と云われたとも伝わる。後にカジメ(搗布)・ヒロメアラメ(荒布)・ホソメ(細海布)等々の海藻にも「布(メ)」があてられた。ワカメという語は、「ワカ+メ」、つまり若い(新しい)海藻に由来する。

「ワカ」を「タマ(玉)」などと同じ美称と捉えれば、古代にあっては海藻類一般を指していた可能性があり、それがワカメを特定する名称となったのは中世以降かもしれない[8]。万葉集には「和可米」「稚海藻」(いずれも訓は「わかめ」)の他、「和海藻」(「にぎめ」、やわらかいワカメのこと)が見られる。他に、万葉集に頻出する「玉藻(たまも)」も、歌によってはワカメを指すかも知れない。

各地で採れたワカメを朝廷への献上品としていたことが確認できる(平城宮木簡)。『延喜式』(927)によれば、ワカメを含む多くの海藻が神饌として奉納されており、さらには『正倉院文書』などによると、給与としても用いられていた[9]


  1. ^ 吉田忠生・吉永一男 (2010) 『日本産海藻目録』(2010年改訂版), 藻類 Jpn.J.Phycol. (Sorui) 58:69-122, 2010 Archived 2014年4月16日, at the Wayback Machine.
  2. ^ a b c d Guiry, M.D. & Guiry, G.M. (2013年). “Undaria pinnatifida (Harvey) Suringar”. AlgaeBase. World-wide electronic publication, National University of Ireland, Galway. 2013年8月14日閲覧。
  3. ^ 大辞林』にある「裙蔕菜(裙蒂菜)」はワカメの漢名であるが、貝原益軒の『大和本草』などごく一部書物を除いて、日本で実際に使われることは極めて稀である。
  4. ^ Epstein, Graham; Smale, Dan A. (2017-09-22). Undaria pinnatifida: A case study to highlight challenges in marine invasion ecology and management”. Ecol Evol. 7 (20): 8624–8642.. doi:10.1002/ece3.3430. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5648660/ 2018年2月20日閲覧。. 
  5. ^ 震災漂流物と漂着外来生物笹川平和財団海洋政策研究所【Ocean Newsletter】第312号(2013年8月5日発行)2019年2月10日閲覧。
  6. ^ 日本ひじき協議会わかめ健々学々
  7. ^ 「め」は、元々ワカメを指していたが、やがて海藻一般を指すようになったとする説もある。小島憲之 他(校注・訳), 『新編 日本古典文学全集7 萬葉集(2)』, 東京, 小学館, 1995, 225頁.
  8. ^ 日本国語大辞典』第2版, 小学館, 2000-2002年。
  9. ^ 二野瓶徳夫, 「和布」の項, 『国史大辞典』より, 吉川弘文館, 1979-1997.
  10. ^ http://ndb.nal.usda.gov/
  11. ^ 海藻の食物繊維に関する食品栄養学的研究、吉江由美子、『日本水産学会誌』、Vol.67 (2001) No.4 P619-622
  12. ^ 【こぐれひでこの食悦画帳】新ワカメ タラとしゃぶしゃぶ『読売新聞』夕刊2019年1月26日(2面)。
  13. ^ 原点 - わかめスープ理研ビタミン株式会社HP。
  14. ^ 末綱邦男・前川敬世・陳俊栄、わかめペプチドによる高血圧自然発症ラットの血圧降下作用 (PDF) 『水産大学校研究報告』第51巻 第4号(2003年3月発行) p.141-146
  15. ^ 金沢和樹 「フコキサンチン」『日本食品科学工学会誌』55号、2008年、194頁
  16. ^ 宮下和夫・細川雅史「海藻中に含まれる多機能性カロテノイド:フコキサンチン」 『日本水産学会誌』 Vol.74 (2008) No.2 P261-262


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